犬を抱く獣医師

犬・猫などのペットも人間と同様、病気やケガで病院に行かなければならないこともあるでしょう。
近年では、大切な家族の一員であるペットの健康を守る「ペット保険」のニーズが高まっており、各保険会社がさまざまなサービスを提供しています。

しかし実際には、「ペット保険は本当に必要なのか」判断がつかない方も多いのではないでしょうか。

そこで今回の記事では、ペット保険の概要を踏まえつつ、加入の必要性やメリット・デメリット、選ぶ際にチェックすべき5つのポイントを解説します。

目次

そもそもペット保険(動物保険)とは?

ペット保険とは、ペットが病気やケガで治療を受けなければならないときに、治療費の一部を補填する保険のことです。

そもそも、犬・猫をはじめとするペットには、国民健康保険や社会保険といった公的な医療保険制度がありません。
そのため、動物病院にかかると、原則として治療費は飼い主さまがすべて自己負担しなければならないのです。
難病や慢性疾患などで長期的に通院したり、手術を受ける必要があったりする場合、どうしても治療費は高くなってしまいます。

このような負担を軽減するため、各保険会社が加入を勧めているのがペット保険です。

◇ペット保険で補償されるおもな内容
ペット保険では、おもに「通院」「入院」「手術」が補償対象となります。
具体的には、以下のようなものが補償されます。

  • 病気やケガによる通院費用
  • 薬剤料
  • 処置料
  • 入院費用
  • 手術費用

なお、補償の対象はあくまで「保険加入後に発生した病気やケガの治療」です。
加入前に発症した疾患などは対象外となるため、注意しましょう。

◇ペット保険の補償対象にならない内容
保険商品によって異なりますが、一般的に以下のようなケースは補償対象外です。

  • 先天性疾患
  • 去勢・避妊手術
  • 妊娠・出産
  • 健康診断
  • ワクチン接種
  • ワクチン接種で防げる感染症(狂犬病、フィラリアなど)の治療
  • 美容・病気予防目的の歯科治療

ペット保険の補償対象については、以下の記事でも詳しく解説しているので、ぜひご確認ください。

関連記事:ペット保険の補償範囲とは?適応対象の基準、特約などについて全解説

ペット保険の必要性|ペットの平均寿命・治療費の目安はどれくらい?

病気の犬

ペット保険の必要性を判断する際には、ペットの寿命と治療費についても考慮しなければなりません。


◇ペット(犬・猫)の平均寿命
ペットの寿命は種類や飼育状況によって変動しますが、一般的な調査データにおける平均寿命は犬が14年程度、猫が15年程度です。
犬は、大型犬だと平均寿命が10~13年程度とやや短くなる一方、猫には体格差によって寿命が上下する傾向は見られません。

また、獣医療の発展や室内飼育の普及により、ペットの寿命は時代とともに伸びてきています。
1980年代の平均寿命が犬・猫ともに3歳前後と非常に短かったことを踏まえると、驚くほどに長寿化が進んでいるとわかるでしょう。

家族の一員として10年以上一緒に過ごすことを考慮すれば、保険に加入する価値は十分にあるといえます。

◇ペット(犬・猫)にかかる治療費の目安
公益社団法人「日本獣医師会」が行なった調査『家庭飼育動物(犬・猫)の飼育者意識調査(平成27年度)』によると、ペット1匹あたりの治療費は平均7,408円です。

種類別に見ると、大型犬が最も高く9,281円でした。一方、猫は6,991円であり、犬よりもやや安くなっています。

また、年齢別に見た場合、13歳以上の犬が9,801円、同じく13歳以上の猫が7,991円でした。犬・猫ともに年齢が上がるほど、金額も比例して高くなる傾向にあります。

一方、ペット保険で支払う保険料は月々1,000円~数千円程度であるため、平均的な治療と比べてもかなり割安といえるでしょう。

ペット保険は必要?ペット保険に加入するメリット

ペット保険に加入するメリットは、いくつか考えられます。それぞれ詳しく解説するので、把握しておきましょう。

◇ペットの治療費による負担を軽減することができる
ペット保険は補償割合に応じて治療費を補填してくれるため、金銭面での負担を軽減できます。

前述のとおり、ペットの治療費は原則として飼い主さまの全額自己負担となります。
特に、ペットが病気にかかったり高齢になったりすると、継続的に通院する必要が出てくるため、支払いの機会も増えてくるでしょう。

また、飼い主さまがどれだけ注意していても、病気やケガを防げないこともあり、急な出費が発生する可能性は常にあります。

「金銭的な心配をせずに大切なペットの健康を守り、1日でも長く一緒に過ごしたい」という方は、いざというときに備えてペット保険に加入することをおすすめします。

◇費用を気にせず、幅広い治療方法を検討できる
近年では、動物病院でも専門医療に対応するため、眼科、皮膚科、神経科、腫瘍科など、さまざまな診療科目に分かれて治療が行なわれるケースもあります。
それにともない、ペット向けのCT検査やMRI検査、腹腔鏡手術や再生医療といった高度医療が発達し、治療の選択肢も広がっている状況です。

これらの治療は総じて費用が高額なため、経済的な負担の大きさが気にかかるかもしれませんが、ペット保険に加入しておけば、そういった心配はいりません。
治療費の補償を受けられることで、費用を気にせず、より幅広い治療方法を検討できるようになります。

入院や手術も含めて、ペットに最高の医療を受けさせることができるので、飼い主さまも安心感を得られるでしょう。

◇病気やケガの早期発見・早期治療につながる
ペット保険に加入すると治療費の負担が軽減されるため、動物病院を受診するまでのハードルが下がることも大きなメリットの一つです。

例えば、ペットの様子がいつもと少し違ったり、些細な体調の変化があったりした際にも、費用を気にせず気軽に受診できるようになるでしょう。
その結果、病気やケガの早期発見・早期治療が見込めます。

発見・治療が早まれば、病気やケガを改善しやすくなるのはもちろん、再発のリスクも下がります。

◇損害賠償に対応可能な場合もある
ペット保険では、治療費を補填する主契約に加えて、オプションとして「特約」があります。
特約の内容はさまざまですが、ペットが原因による損害賠償責任を負った際に役立つ「ペット賠償責任特約」を付帯できる保険商品も少なくありません。

例えば、散歩中にペットが子供に噛みついてしまったり、他人の物品を壊してしまったりして損害賠償を請求された場合、その賠償金額を一定の範囲内で補償してもらえます。

ペットのしつけをきちんと行なっていても、万が一の事態が起こらないとは限りません。
少しでも不安がある方は、このようなペット賠償責任特約がある保険への加入を検討してもよいでしょう。

ペット保険はいらない?ペット保険に加入するデメリット

ペット保険には有益なメリットがある一方、デメリットもあります。加入を検討しているなら、デメリットを押さえておくことも大切です。

◇毎月の保険料がかかる
一般的なペット保険では、月々1,000円~数千円程度の保険料がかかります。
これは、実際に動物病院を受診したかどうかに関わらず、毎月支払わなければなりません。

ペットが病気やケガと無縁でいつも元気だと、毎月の保険料がかえって負担になる場合もあるでしょう。

また、ペット保険の大半は「掛け捨て型」です。補償を受けなくても、支払ったお金が返ってくることはないので、その点を了承したうえで加入する必要があります。

◇ペットの年齢に応じて保険料が上がるものが多い
人間が加入する生命保険や自動車保険と同様に、ペット保険はペットの年齢に応じて保険料が上がるように設定されています。
これは、加齢によって病気やケガのリスクが高まるためです。

また、保険料が毎年更新される点にも注意する必要があります。
加入当初は問題なくても、数年後には金額が高くなり負担になるかもしれません。

ペット保険を選ぶときは、徐々に保険料が上がっていくことを想定したうえで、加入するかどうか判断することが大切です。
1社だけではなく、複数社の保険料やシステムを比較して検討しましょう。

◇ペットの健康状態によっては保険に加入できないケースもある
ペット保険に加入する場合、まずはペットの病歴や健康状態について申告する必要があります。
申告後は保険会社で審査が行なわれますが、この審査に合格できなかった場合、保険に加入することができません。

確実に審査を通過したいなら、ペットが若くて元気なうちに加入しておくことが大切です。
年齢が上がるほど、加入のハードルも高くなります。

また、契約更新時にペットが病気やケガを抱えていると、保険の継続が認められないこともあるので、日頃から健康管理を行なうようにしましょう。

ペット保険を選ぶ際に確認すべき5つのポイント

ペット保険

ペット保険と一口にいっても、保険会社は数多く存在します。
また、各保険会社各社が取り扱っている保険商品ごとに条件やサービスも異なるため、自分に合ったものを選ぶことが大切です。

そこで、ペット保険を選ぶ際に確認すべき5つの重要ポイントを紹介します。

◇補償内容について
ペット保険を選ぶにあたり、最初に確認すべきポイントは補償内容です。
補償対象となる治療や費用、保険が適用される範囲などは保険商品によって異なります。

通院のみを補償する手頃な保険もあれば、入院・手術に特化した保険や、通院・入院・手術の3つを幅広くカバーする保険もあります。
基本的に補償内容が充実すればするほど保険料も高くなるので、保険に加入する目的を踏まえつつ、慎重に検討しましょう。

また、補償内容を確認する際には、特約に着目することも大切です。
前述した賠償責任のほか、お葬式・火葬や診断書作成に関わる費用をカバーする特約などがあります。

特約は主契約とセットで自動的に付帯する無料タイプ、任意で付帯する有料タイプの2種類に分かれているため、その辺りの条件も含めてチェックしましょう。

◇補償割合について
ペット保険からどの程度の保険金が支払われるかは、あらかじめ定められた補償割合によって決まります。
補償割合は治療費の50%、70%、100%など、 保険会社や保険商品によって変動するため、加入前に必ず確認しましょう。

例えば、補償割合が70%の保険に加入して治療費が2万円かかった場合、支払われる保険金は1万4,000円です。この事例だと、残りの6,000円は自己負担となります。

また、補償割合が高くなると、比例して保険料も高くなる傾向にあることを把握しておきましょう。
たとえ高額補償を受けられるとしても、月々の保険料の支払いに無理があってはいけません。
したがって、両者のバランスを十分に考慮することが重要です。

◇補償限度額・免責事項について
ペット保険には「補償限度額」があり、治療費をいくらでも補填してくれるわけではありません。
治療1回あたりに補償される上限額のほか、1年間の最大利用回数や最大支払金額などが定められているため、加入前に必ず確認しておきましょう。

また「免責金額」の有無も確認が必要です。
免責金額とは、保険を利用する際に飼い主さまが最低限支払う金額であり、設定されている場合、治療費から免責金額を引いた額が補償対象になります。
そのため、 かかった治療費が事免責金額より低い場合は補償を受けられず、飼い主さまの全額自己負担となります。

◇保険料について
月々の保険料についても、保険会社や保険商品によって異なるので、しっかりと確認しなければなりません。
ペットの種類や年齢によっても金額が変動するため、ペットの健康状態や家計の状況を踏まえつつ、無理のないプランを選択することが大切です。

各保険会社のホームページでは、保険料の目安を調べたり、無料で見積もりを出したりすることができます。
複数の保険会社から見積もりをとったうえで、結果を比較・検討しましょう。

◇保険金の請求方法について
ペット保険の保険金の請求方法には、大きく分けて「直接請求」と「窓口精算」の2種類があります。それぞれの特徴を正しく理解しておきましょう。

・直接請求(後日清算)
直接請求とは、動物病院でかかった治療費を 飼い主さまが治療費をいったん全額支払って、保険会社に後日請求する方法です。
通院先が限定されないというメリットがある一方で、後日、書類送付などの請求手続きが発生するというデメリットがあります。
なかには、アプリやWebサイトから簡単に請求手続きを行なえる会社もある ため、あらかじめ確認しておきましょう。

・窓口精算
窓口精算とは、動物病院での精算時、保険金が差し引かれた自己負担分の治療費のみを支払う方法です。
利用する動物病院によっては窓口精算ができない場合もあるため、事前確認は欠かせませんが、後日請求する手間を省けるという大きなメリットがあります。

まとめ

ペット保険に加入すると、病気やケガの治療費を一部補填してもらえるようになります。
月々の保険料を支払う必要はありますが、治療費の負担を軽減できたり、治療方法の選択肢が広がったりとそれ以上のメリットが得られるため、ぜひ加入したいところです。

また、ペット保険は種類が多いので、条件や金額をしっかりチェックし、最適なプランを見極める必要があります。
大切な家族の一員であるペットの健康を末永く守るためにも、じっくりと検討を重ねて保険を選びましょう。

監修者:石川美代子
監修者

ヤマザキ学園大学卒業。
認定動物看護師・JKC公認トリマー・認定動物技術師・犬の管理栄養士。(元生保・損保募集人)
動物看護師として動物病院に勤務し、看護業務をはじめ、ペット保険のレセプト作業等を行う。
現在はwebライターとして動物の病気や飼育方法、豆知識などペット関連コラムをメインに執筆している。

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