ペット保険の補償内容は複雑？種類や注意点をFPがわかりやすく解説！

ペット保険の補償内容や仕組みとは？

ペット保険のもっとも基本的な補償は、ペットがケガや病気になった際に発生する動物病院の治療費の一部を補償するものです。

 

人間のような公的な健康保険制度がないペットの場合、動物病院での治療費は全額自己負担となります。治療費は、ケガや病気の種類、治療内容によっては高額になることも少なくありません。ペット保険に加入していれば、定められた補償割合や支払限度額に応じて保険金が支払われるため、飼い主さまの経済的な負担を軽減できます。

 

ただし、同じケガや病気であっても、保険会社やプランによって補償対象となる病気や支払限度額などが異なるため、事前に確認しておくことが重要です。

ペット保険の基本的な補償内容

ペット保険の主な補償内容は、通院、入院、手術の3つに分類されます。

さらに、通院、入院、手術を補償するプランを「フルカバー型」、通院補償がなく、入院や手術の補償に特化したプランを「特化型」と呼んでいます。

それぞれの補償内容を理解し、ご自身のペットに必要な補償が含まれているプランを選びましょう。

 

通院費用の補償

ペット保険における通院補償とは、ペットのケガや病気により、動物病院に通院した治療費を補償するものです。治療費には、診察料や処置費、処方される薬の費用などが含まれます。

健康診断やワクチンなどの予防目的の費用に関しては補償されません。

ペットのケガや病気の治療は、入院や手術にいたらず、通院のみになることも多く、軽度な症状であっても複数回の通院が必要となる場合もあります。

 

入院費用の補償

ペット保険の入院補償は、ペットが入院した際の入院費用（宿泊費用）や、入院中の診療料、投薬費などを対象とします。

自宅での十分な治療や療養が難しい場合など、ペットの病状によっては入院をすすめられるケースがあります。

 

手術費用の補償

ペット保険における手術補償は、ケガや病気の治療を目的として、ペットが手術を受けた際にかかる費用が対象です。手術費用には、麻酔費用や手術に使用する薬剤なども含まれます。

ペットの手術は高額になりやすいため、ペット保険に手術補償が含まれていれば、飼い主さまの経済的な負担を軽減できます。

避妊・去勢手術など、治療を目的としない手術は補償対象外です。

ペット保険の珍しい補償内容は？

（ことちゃん・雑種・7歳）

ペット保険の基本的な補償は通院、入院、手術ですが、一部の保険会社では、これらの基本的な補償に加えて、ユニークな補償や特約が用意されています。

この章でご紹介する補償内容は、すべてのペット保険につくものではありません。申し込み前に補償内容をよく確認しましょう。

 

時間外費用の補償

時間外費用の補償とは、夜間や休日に動物病院で診療を受けた際に発生する割増料金を補償するものです。

時間外費用は、動物病院によって異なりますが、数千円から1万円程度になることもあります。

 

診断書取得費用の補償

診断書取得費用の補償は、保険金請求のために、動物病院から診断書を発行してもらう際にかかる費用を補償するものです。

発行費用は数千円程度の場合が多いようですが、動物病院や書式の有無などによって異なります。

 

ペット賠償責任特約

ペット賠償責任特約とは、飼育しているペットが他人やモノに損害を与えてしまい、法律上の賠償責任を負った場合に発生する損害賠償金を補償する特約です。

たとえば、散歩中にペットが他人を噛んでケガをさせてしまったり、ペットが他人の物を壊してしまったりした場合などが該当します。事故の内容によっては高額になることもあります。

 

車椅子の作成費用の補償

車椅子の作成費用の補償は、事故の後遺症などにより自力での歩行が困難になったペットのために、車椅子の作成にかかる費用の一部を補償するものです。

ペット用の車椅子をオーダーメイドで作成する場合には費用がかかります。この補償が付帯していれば、車椅子作成にかかる費用の負担を軽減し、ペットのQOL（生活の質）向上をサポートすることができます。

 

ペットの火葬費用の補償

ペットの火葬費用の補償は、愛するペットが亡くなった際に発生する火葬や葬儀にかかる費用の一部を補償するものです。

この補償が付帯していれば、火葬費用や位牌の作成費用などに対して保険金が支払われるため、精神的な負担が大きい時期に経済的な心配を軽減することができます。

 

ワクチン後の体調不良の補償

ペット保険には、ワクチン後の体調不良にかかる治療費を補償するものもあります。

ワクチン接種は感染症予防のために重要ですが、まれに副反応によって体調不良を引き起こすことがあります。このような場合の治療費が補償されるため、安心してワクチン接種を受けさせることができるでしょう。

 

飼育費用補償

飼育費用補償とは、飼い主さまが亡くなったり高度障害状態になったりして飼育できなくなった場合に、保護団体への譲渡費用が補償されるものです。

飼い主さまにもしものことがあっても、ペットが安心して暮らす準備ができます。預け入れ先の条件や限度額などの詳しい内容については、重要事項説明書を確認しましょう。

ペット保険によって補償対象外の費用は違う

ペット保険は、ケガや病気の治療費を補償しますが、すべての費用が補償されるわけではありません。

 

一般的なペット保険で補償対象外となるのは、下記のような項目があります。

ワクチンで予防できる病気には、犬ジステンパーウイルス感染症、狂犬病、猫ウイルス性鼻気管炎、猫白血病ウイルス感染症などが含まれます。先天性疾患や遺伝性疾患は、保険会社によっては補償対象になる場合があります。

 

補償対象外となる費用は、保険会社やプランによって異なるため、加入を検討する際には「何が補償されないのか」を理解することが大切です。

【Q&A】ペット保険の補償内容に関するよくある質問

ペット保険の加入を検討すると、さまざまな疑問点が生じるものです。

ここでは、ペット保険に関してよく寄せられる質問とその回答をまとめました。ぜひ、ペット保険への理解を深めるためにお役立てください。

 

ペット保険に入れるペットは？

ペット保険に加入できる一般的なペットの種類は、犬と猫です。

 

しかし、保険会社によっては、下記のような小動物や爬虫類、鳥類といったエキゾチックアニマルが入れるペット保険もあります。

 

ペット保険は補償開始に時間がかかる？

ペット保険は、申し込みをしてから補償が開始されるまでに1～2か月程度かかります。

 

時間がかかる理由として、申し込み後に、保険会社での手続きやペットの健康状態を審査する時間があるためです。また、多くのペット保険では「待機期間」が設けられており、この期間に発生したケガや病気は補償されないためです。

 

補償開始を急ぐ場合は、待機期間のないペット保険なども検討してみましょう。

 

ペット保険の補償割合とは？

ペット保険における補償割合とは、動物病院でかかった治療費のうち、保険会社が保険金として支払う割合のことです。

 

多くの保険会社で提供されているのは50%または70%のプランですが、なかには90%や100%といった手厚い補償割合のプランも存在します。補償割合が高いほど、いざというときの自己負担額は少なくなりますが、保険料は高くなる傾向があります。

 

ペット保険の免責金額とは？

ペット保険における免責金額とは、動物病院で発生した治療費のうち、飼い主さまが自己負担する一定の金額のことです。たとえば、免責金額が5,000円のペット保険の場合、治療費が5,000円を超える場合から保険金を請求することができます。

 

少額の治療費も保険金を請求したい方は「免責金額なしのペット保険」がおすすめです。

 

ペット保険の保険料は高い？

ペット保険の保険料は、プランや年齢によって異なりますが、高いといわれる場合もあります。

 

多くのペット保険は1年ごとに更新され、年齢に応じて保険料が上昇します。そのため、加入したタイミングの保険料は安くても、だんだんと保険料が上がり、経済的な負担が大きく感じられる場合もあるようです。

 

将来の保険料も確認し、長期的に無理なく続けられるペット保険を選ぶことが大切です。

 

ペット保険の保険金の請求方法は？

ペット保険の保険金の請求方法には、主に「後日精算（立替精算）」と「窓口精算」の2つの方法があります。

 

後日精算は、動物病院で治療費の全額を飼い主さまが支払い、必要書類を保険会社に送付して保険金を請求する方法です。多くのペット保険会社がこの方法を採用しており、全国どこの動物病院でも利用できるというメリットがあり、Webやスマホアプリで簡単に請求できるケースも増えています。

 

一方、窓口精算は、提携している動物病院の窓口で保険証を提示し、治療費から補償分が差し引かれた自己負担額のみを支払う方法です。窓口精算は便利ですが、窓口精算に対応している動物病院は限られており、保険料は高めの傾向があります。

ペット保険に加入する際の注意点をFPが解説！

ペット保険へ加入する際には、いくつかの注意点があります。「こんなはずじゃなかった…」という後悔を防ぐためにも、注意点を理解し、愛犬・愛猫にとって最適なペット保険を選びましょう。

 

契約前に確認すべき事項

ペット保険を検討する際には、下記のようなポイントにも注意しましょう。

ペットがかかりやすいといわれる病気がある場合、それらが補償対象となるかを重要事項説明書で確認することが大切です。もし病気になった場合に、どのくらい保険金が支払われるのかもシミュレーションしておくと良いでしょう。

シニア期の保険料が気になる方は、保険料の上昇がゆるやかなプランや、一定の年齢を超えると保険料が定額のプランの検討もおすすめです。

 

更新時に条件変更されるケースも

基本的にペット保険は、1年ごとに契約を更新していく仕組みとなっています。

更新時の条件が変わらないペット保険ももちろんありますが、条件変更や打ち切りの可能性があると定めているペット保険もあるため注意が必要です。

更新時の対応については、重要事項説明書などで確認しておくことが大切です。わからない点は、加入前に保険会社へ問い合わせて解決しておきましょう。

まとめ│ペットにぴったりのペット保険を見つけよう！

ペット保険の補償内容は複雑に感じられますが、ポイントをおさえれば選び方の基準が見えてきます。

大切な家族であるペットが、万が一のときにも安心して治療を受けられるよう、ライフスタイルや将来を見据えて、必要な補償内容をしっかり見極めましょう。

 

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