
愛犬のうんちが普段より黒いと、「何か悪い病気なのでは?」と不安になる飼い主は少なくないでしょう。この記事では、犬のうんちが黒くなる原因や危険な病気の可能性、そして動物病院へ行くべきかどうかの判断基準について詳しく解説します。
犬の黒いうんちは、食べ物、薬やサプリメントなどによる一時的な変化かもしれません。その一方で、消化管の出血による「タール便」の可能性もあるため注意が必要です。特に黒いうんちが続く、元気や食欲の低下、嘔吐などを伴う場合は早めに動物病院を受診しましょう。
犬の理想的なうんちの色は?黒は危険サイン?
健康な犬のうんちは、胆汁に含まれる色素の影響で茶色〜黄土色をしています。適度な硬さがあり、色や形が安定している状態が理想です。
一方で、真っ黒なうんちは正常とはいえず、注意が必要なサインです。黒いうんちの原因は、食べ物やサプリメント、薬の影響など一時的なものもありますが、病気が隠れているケースも少なくありません。
特に注意したいのが、「タール便(黒色便)」と呼ばれる状態です。黒いうんちが続く、元気や食欲がない、嘔吐などの症状を伴う場合は、早めに動物病院を受診しましょう。
犬の血便やタール便には要注意
犬の血便には、肛門に近い大腸や肛門からの出血でみられる「鮮血便」と、胃や小腸といった上部消化管からの出血で見られる「タール便(黒色便)」の2種類があります。
タール便は、胃や十二指腸などの消化管で出血した血液が、消化酵素の影響で黒く変色したものです。見た目はコールタールのようにドロっとしていて粘り気や光沢があり、強い鉄臭さや生臭い腐敗臭を伴うのが特徴です。
鮮血便に比べて原因の特定が難しく、より深刻な病気が隠れている可能性があるため、特に注意が必要です。
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食べ物によって犬のうんちが黒くなる3つのケース

犬のうんちが黒くなる原因は、病気だけではありません。普段の食事内容によっては、健康な状態でも一時的に便の色が黒っぽく変化することがあります。愛犬の元気や食欲に変わりがない場合は、まず食事内容を振り返ってみましょう。
鉄分を多く含むものを食べた
レバーや血を多く含む肉、あるいは鉄分補給のためのサプリメントなどを与えた場合、便が黒くなることがあります。これは鉄分が酸化することで黒く変色するためで、生理的な現象です。もし思い当たる節があり、犬の食欲や元気が普段と変わらないようであれば、過度に心配する必要はないでしょう。
炭を含む薬やサプリメントを与えた
犬が誤飲した際の応急処置や、治療の一環として獣医師から処方される活性炭など、炭の成分を含む薬やサプリメントを摂取すると、便が真っ黒になります。これは炭の色がそのまま便に排出されるためです。もし心当たりがないのに黒い便が出た場合は、犬が何かを盗み食いした可能性も考えられます。
フードを新しいものに切り替えた
ドッグフードを新しい種類に切り替えた際に、便の色が黒っぽく変わることがあります。これは、フードに含まれる肉の種類や鉄分の含有量、あるいは着色料などが影響している可能性があります。フードの切り替え後に見られる変化で、ほかに症状がなければ、しばらく様子を見ても良いでしょう。
犬の黒いうんちから考えられる危険な病気5選
食事内容に心当たりがなく、タール便のように見える黒いうんちが出た場合、消化管のどこかで出血が起きている可能性が考えられます。ここでは、犬の黒いうんちから考えられる代表的な病気を5つ紹介します。
胃や十二指腸に潰瘍ができている
ストレスや薬の副作用、基礎疾患などが原因で胃や十二指腸の粘膜がただれ、潰瘍ができることがあります。この潰瘍から出血すると、血液が消化される過程で黒く変色し、タール便として排出されます。
胃潰瘍や十二指腸潰瘍は強い痛みを伴うことが多く、食欲不振や嘔吐といった症状がみられることもあります。
消化管内に腫瘍が発生している
胃や小腸などの消化管に腫瘍(ポリープやがんなど)ができると、その腫瘍の表面がもろいために簡単に出血し、タール便の原因となることがあります。特に高齢の犬では腫瘍の発生リスクが高まるため注意が必要です。
腫瘍が大きくなると、消化管を塞いでしまい、嘔吐や便秘などの症状を引き起こすこともあります。
異物の誤飲で消化管が傷ついている
犬がおもちゃの破片や骨、串など、鋭利なものを誤飲してしまうと、食道や胃、腸などの消化管の粘膜が傷つけられて出血することがあります。
出血量が多い場合はタール便がみられ、消化管に穴が開いてしまうと命に関わる危険な状態に陥ります。何かを誤飲した可能性に気づいたら、すぐに動物病院を受診してください。
中毒や薬の副作用が出ている
玉ねぎや殺鼠剤など、犬にとって中毒性のある物質を摂取した場合、消化管が出血して黒い便が出ることがあります。
また、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などの特定の薬は、副作用として消化管粘膜にダメージを与え、潰瘍や出血を引き起こすことがあります。治療中の薬がある場合は、獣医師に相談しましょう。
ウイルス感染症にかかっている
犬パルボウイルスや犬コロナウイルスなどのウイルス感染症は、激しい胃腸炎を引き起こし、消化管の粘膜から出血させてタール便や血便の原因となります。特に子犬やワクチン未接種の犬では重症化しやすく、命を落とす危険性も高い感染症です。
また、寄生虫、特に「鉤虫」に寄生された場合も、吸血によって消化管から出血し、黒い便が見られることがあります。
犬は血便から疑われる病気は?原因や症状まで詳しく解説▼
犬の血便の原因と対処法、受診すべき症状と治療費は?
【緊急度チェックリスト】こんな症状があればすぐに動物病院へ
犬のうんちが黒いことに加えて、以下のような症状がみられる場合は、緊急性が高いと考えられます。一つでも当てはまる場合は、夜間や休日であってもすぐに動物病院を受診してください。
元気や食欲が全くない
消化管からの出血による貧血や、病気による痛みや気分の悪さから、元気や食欲がなくなることがあります。ぐったりして動かない、大好きなおやつにも反応しないなど、普段と明らかに様子が違う場合は危険なサインです。特に、出血が続くと体力が著しく消耗するため、早急な対処が必要です。
嘔吐や下痢を併発している
黒いうんちとともに嘔吐や下痢の症状がみられる場合、消化器全体に深刻な問題が起きている可能性も考えられます。出血に加えて体液も失われるため、脱水症状に陥りやすく、急速に状態が悪化することがあります。吐瀉物に血が混じっている場合は、特に緊急性が高い状態です。
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お腹を触ると嫌がる・痛がる
犬を抱き上げようとしたときに「キャン」と鳴くなど、お腹のあたりを触られるのを極端に嫌がる場合は、胃腸の潰瘍や腫瘍、異物による腸閉塞なども考えられます。腹痛は犬にとって大きな負担やストレスを与えるため、我慢させずにすぐ病院へ連れて行きましょう。
関連記事:犬の腸閉塞の症状や手術費用は?異物誤飲を放置すると危険?【獣医師執筆】
歯茎や舌の色が普段より白い
歯茎や舌の色が普段のピンク色ではなく、白っぽくなっている場合、貧血がかなり進行していることを示します。これは、消化管で大量の出血が起きている可能性を示唆する非常に危険なサインです。
貧血が重度になるとショック状態に陥ることもあるため、一刻も早く獣医師の診察を受ける必要があります。普段から愛犬の歯茎の色を確認しておくと、いざという時に変化に気づきやすくなります。
愛犬の黒いうんちに気づいたときに飼い主がすべきこと

愛犬の黒いうんちに気づいて動物病院へ行く際には、事前に準備をしておくと診察がスムーズに進み、より的確な診断につながります。慌てずに、まずは状況を整理して記録することから始めましょう。
動物病院を受診する際は、可能であれば黒いうんちそのものを、ラップやビニール袋に包んで持参するのが最も確実です。それが難しい場合は、便の状態をスマートフォンなどで写真や動画に撮っておきましょう。
その際、明るい場所で撮影し、便の色や硬さ、粘り気、異物が混じっていないかなどが分かるように記録してください。
また、いつから黒い便が出ているか、元気や食欲、嘔吐の有無など、ほかに気になる症状を時系列でメモしておくと、獣医師に状況を正確に伝えられます。
犬の黒いうんちに関するよくある質問5選!
ここでは、犬の黒いうんちに関して飼い主からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。不安や疑問の解消に役立ててください。
犬が黒いうんちをした場合の余命は?
黒いうんちが出たというだけで、余命を判断することはできません。原因が食事による一時的なものであれば健康に影響はありませんが、悪性腫瘍などが原因の場合は、深刻な状況も考えられます。まずは動物病院で正確な原因を突き止めることが最も重要です。
老犬のうんちが黒いのは特に注意が必要?
犬はシニア期になると、消化管の腫瘍や慢性的な内臓疾患など、さまざまな病気のリスクが高まるため、特に注意が必要です。また、体力も低下しているため、出血による貧血などが重症化しやすい傾向にあります。
ストレスが原因でうんちが黒くなることは?
ストレスだけが原因で、うんちが黒くなることはありません。しかし、過度なストレスが引き金となって胃腸炎や胃潰瘍を発症し、その結果として消化管から出血してタール便が出ることがあります。環境の変化など、愛犬がストレスを感じる状況がないかを振り返ってみましょう。
元気があってもうんちが黒いなら動物病院へ行くべき?
食事内容に心当たりがなく、タール便のように見える場合は、元気や食欲があっても一度動物病院で相談することをおすすめします。病気の初期段階では、黒いうんち以外の症状がみられないこともあります。獣医師に診てもらうことで、早期発見・早期治療につながります。
動物病院へ行く前に食事は与えない方がいい?
自己判断で食事を抜くのは避けてください。まずは動物病院に電話で連絡し、黒い便が出ていることや現在の犬の様子を伝えて指示を仰ぎましょう。検査や処置の内容によっては絶食が必要な場合もありますが、病状によっては食事を摂った方が良いケースもあります。
まとめ│犬の黒いうんちは病気の可能性もある
犬の黒いうんちは、鉄分の多い食事による一時的な変化である場合もあれば、消化管からの出血という危険な病気のサインである可能性もあります。特に、コールタールのように粘り気があり、元気や食欲の低下、嘔吐などのほかの症状を伴う場合は、緊急性が高いと考えられます。
愛犬のうんちは健康状態を把握するための重要なバロメーターです。普段と違う色のうんちが出た際は、その状態をよく観察し、少しでも不安を感じたら迷わず動物病院を受診してください。
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