トイレで排泄する猫

猫の胃や腸に炎症が起きると、突然の嘔吐や下痢といった症状がみられます。愛猫のつらそうな姿を見て、不安に思う方も多いでしょう。

この記事では、猫の胃腸炎の症状や考えられる原因、家庭での対処法、動物病院を受診するタイミングなどについて解説します。適切な対応で愛猫の苦痛を和らげ、早期回復を目指しましょう。

目次

猫の胃腸炎とは?どれくらいで治るの?

室内でぐったいりしている猫

猫の胃腸炎とは、何らかの原因によって胃や腸の粘膜に炎症が起こる病気の総称です。炎症が起きることで消化機能が正常に働かなくなり、嘔吐や下痢、食欲不振、腹痛といった症状を引き起こします。

胃腸炎の原因は、不適切な食事や異物の誤飲、感染症、ストレスなど非常に多岐にわたります。多くの場合は一過性で回復しますが、背景に重い病気が隠れている可能性もあるため注意が必要です。

 

猫の急性胃腸炎と慢性胃腸炎の違い

猫の胃腸炎は、症状が続く期間によって「急性」と「慢性」に分けられます。

急性胃腸炎は、急に症状があらわれるのが特徴で、数日で回復することが多いです。原因としては、食べ慣れないものを食べた、異物を誤飲した、環境の変化によるストレスなどが考えられます。

一方、慢性胃腸炎は、症状が3週間以上続いたり、良くなったり悪くなったりを繰り返したりします。原因が特定しにくく、炎症性腸疾患(IBD)や腫瘍、食物アレルギーなど、根本的な病気が隠れている可能性があります。

 

家庭での対処法│何日くらいで治る?

猫が胃腸炎の症状を見せた場合、家庭ではまず安静にさせ、落ち着ける環境を整えてあげることが基本です。

嘔吐や下痢が軽度で、猫自身に元気がある場合は、半日ほど食事を休み、胃腸を休ませることで回復することがあります。その後、お湯でふやかしたフードや消化性の良い食事を少量から与え始めましょう。

急性の胃腸炎であれば、通常2~5日ほどで症状は改善に向かいます。ただし、自己判断で絶食や絶水を長時間行うのは脱水症状のリスクを高めるため危険です。また、獣医師に相談せずに市販薬を与えることも避けてください。

 

動物病院を受診する目安│危険なサインは?

猫が、1日に何度も嘔吐や下痢を繰り返す、ぐったりして元気がない、食欲が全くない、嘔吐物や便に血が混じっている、などの症状がある場合は、危険な状態を示しています。悪化する前に、すぐ動物病院を受診してください。

特に子猫や高齢の猫は体力がなく、脱水症状が急速に進行しやすいため、早急な対応が求められます。また、お腹を痛がる様子をみせたり、体重が減少したりする場合も、ほかの病気が隠れている可能性があるため早期の受診をおすすめします。

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猫の胃腸炎でみられる代表的な症状

猫が胃腸炎になると、消化器系にさまざまな症状があらわれます。胃腸炎でよくみられる具体的な症状は以下のとおりです。

  • 嘔吐
  • 下痢・軟便
  • 血便
  • 食欲不振
  • 腹痛
  • 発熱
  • 震え
  • よだれ
  • 脱水症状  など

このなかでも特に代表的な4つの症状について、詳しく解説します。

 

食べたものや胃液を吐く「嘔吐」

胃腸炎の代表的な症状の一つが嘔吐です。胃の炎症により、食べた直後に未消化のフードを吐き出すことがあります。また、胃が空っぽの状態でも吐き気が続き、黄色い液体(胆汁)や透明な液体(胃液)、泡などを吐くこともあります。

嘔吐の回数が多い場合や、吐いたものに血が混じっている場合は、胃腸の粘膜がひどく傷ついている可能性があるため、特に注意が必要です。嘔吐の前には、よだれを垂らしたり、落ち着きなくうろうろしたりといった吐き気のサインがみられることもあります。
関連記事:猫が吐く原因と対処法、受診すべき症状と治療費は?

 

便が緩くなる「下痢・軟便」

胃腸炎になると、腸の炎症により水分をうまく吸収できなくなり、形のない泥状の便(軟便)や、水のような便(下痢)になります。血便がみられることもあり、重症度を判断する材料の一つです。

下痢が続くと脱水症状に陥りやすく、体力を著しく消耗してしまいます。便の色や臭い、回数などを記録しておくと、診察の際に獣医師へ正確な情報を伝える助けになります。

関連記事:猫の下痢の原因と対処法、受診すべき症状と治療費は?

 

ごはんを食べたがらない「食欲不振」

胃腸の不快感や吐き気から、多くの猫は食欲不振に陥ります。いつもは食欲旺盛な猫が、フードを見せてもそっぽを向いたり、全く口をつけようとしなかったりします。

一時的な食欲の低下であれば様子を見ることもできますが、24時間以上何も食べない状態が続くと、脱水や栄養失調のリスクが高まります。

特に猫は絶食が続くと「肝リピドーシス」という重篤な肝臓の病気を引き起こす可能性があるため、食欲不振が続く場合は早めに動物病院に相談してください。

関連記事:猫の食欲不振の原因と対処法、受診すべき症状と治療費は??

 

お腹を触られるのを嫌がる「腹痛」

胃腸の炎症は、お腹に痛みを引き起こします。猫は痛みを隠す習性があって飼い主にも分かりにくい場合があるため、注意深い観察が必要です。腹痛のサインとして、体を丸めてうずくまる、頻繁に体を伸ばす、落ち着きなく歩き回るといった行動がみられます。

また、抱き上げようとしたり、お腹を触ろうとしたりすると、鳴き声をあげて嫌がる、または攻撃的になることもあります。無理に触らずに安静にさせ、獣医師に相談しましょう。

猫が胃腸炎を引き起こす5つの主な原因

誤飲しやすい猫用のおもちゃ

猫の胃腸炎は、さまざまな要因から引き起こされます。例えば、重篤な膵炎が胃腸炎を併発することもあり、原因を特定することが適切な治療につながります。ここでは胃腸炎の主な原因5つを紹介します。

 

キャットフードが体に合っていない

毎日の食事であるキャットフードが、胃腸炎の原因となることがあります。急に新しいフードに切り替えたことで、猫の消化器官が対応できずに不調をきたすのはよくある例です。また、特定の原材料に対するアレルギーや不耐性が原因で、慢性的な嘔吐や下痢を引き起こす場合もあります。

フードを切り替える際は、これまでの食事に新しいフードを少量ずつ混ぜ、1週間から10日ほどかけてゆっくりと慣らしていくことが推奨されます。特定のフードを与えた後に症状が出る場合は、その食事が体に合っていない可能性を疑いましょう。

 

食べ慣れないものを拾い食いした

猫が普段口にしないものを食べてしまうことも、急性胃腸炎の一般的な原因です。人間の食べ物、特に油分の多いものや香辛料が使われたものは、猫の消化器に大きな負担をかけます。また、テーブルの上やゴミ箱の中にある食べ物を盗み食いしてしまうケースも少なくありません。

腐敗した食べ物を口にした場合は、食中毒を起こす危険性もあります。猫が移動できる場所に食べ物を放置しない、ゴミ箱は蓋付きのものにするなど、拾い食いを防ぐための環境管理が重要です。

 

おもちゃや植物などの異物誤飲

猫は好奇心から、食べ物ではないものを誤って飲み込んでしまうことがあります。おもちゃの破片、ビニール、輪ゴム、ひも状のものは、誤飲しやすいため注意が必要です。

これらの異物が胃や腸の粘膜を傷つけたり、消化管を塞いで腸閉塞を起こしたりすると、激しい嘔吐や腹痛を引き起こします。

特にひも状の異物は、腸に絡みついて組織を壊死させるなど、命に関わる事態に発展する危険性が高くなります。また、ユリ科の植物など、猫にとって有毒な観葉植物をかじってしまうことも原因となります。

 

ウイルスや細菌、寄生虫による感染症

ウイルスや細菌、寄生虫などの病原体への感染も胃腸炎の原因となります。特に子猫では、致死率の高い猫パルボウイルス感染症が重篤な胃腸炎を引き起こすことで知られています。

そのほか、猫コロナウイルスや、サルモネラ菌、カンピロバクターといった細菌、回虫やコクシジウムなどの寄生虫が原因となることもあります。

これらの病原体は、感染した猫の便や、汚染された環境を介してうつることが多いため、多頭飼いの場合は特に注意が必要です。ワクチン接種や定期的な駆虫で予防できる感染症もあります。

 

引っ越しなど環境変化によるストレス

猫は非常にデリケートな動物であり、環境の変化が大きなストレスとなって胃腸の不調を引き起こすことがあります。引っ越し、部屋の模様替え、新しい同居人やペットの増加、長時間の留守番、騒音などは、猫にとってストレスの原因となり得ます。

ストレスを感じると自律神経が乱れ、胃腸の動きが過剰になったり、逆に鈍くなったりして、嘔吐や下痢につながることがあります。原因がはっきりしない胃腸炎が続く場合は、猫の生活環境にストレス要因がないか見直してみることも大切です。

動物病院で行われる検査・診断と治療法

動物病院では、まず飼い主からの詳しい問診と身体検査によって猫の状態を把握します。ここでは、猫の胃腸炎が疑われるときの検査や治療方法について解説します。

 

獣医師による問診・触診・便検査

診察では、まず飼い主から症状がいつから始まったか、嘔吐や下痢の回数・内容、食事内容、生活環境の変化などを詳しく聞き取ります。

次に、獣医師が猫の体を触って脱水の有無や腹部の痛み、しこりなどを確認する「触診」を行います。これらの情報と身体検査の結果を基に、原因を推測していきます。

下痢の症状がある場合は、「便検査」が非常に重要です。新鮮な便を持参すると、寄生虫の卵や細菌、潜血の有無などを調べることができ、診断の大きな助けとなります。

 

症状を和らげるための投薬治療

胃腸炎の治療では、つらい症状を和らげるための薬が処方されます。嘔吐がひどい場合には「制吐剤(吐き気止めの薬)」、下痢が続く場合には腸の動きを正常に整える「整腸剤」や「下痢止め」が用いられることもあります。

細菌感染が疑われるケースでは「抗生物質(抗生剤)」が投与され、炎症が重度で免疫が関わっていると考えられる場合には、ステロイド剤が使用されるケースもあるでしょう。これらの薬は、猫の状態や症状に合わせて獣医師が適切に選択します。

 

点滴による水分と栄養の補給

嘔吐や下痢によって体内の水分や電解質が失われると、脱水症状に陥ります。脱水は体力を奪い、回復を遅らせる原因となるため、水分補給は非常に重要です。食事がとれず、口からの水分補給も難しい場合には、「点滴」によって直接水分や栄養を補います。

軽度の脱水であれば、背中の皮膚の下に水分を補給する「皮下点滴」が行われます。重度の脱水や衰弱がみられる場合は、入院して血管から直接点滴を行う「静脈点滴」が必要になることもあります。

猫の胃腸炎にかかる治療費用の目安

猫の胃腸炎の治療費は、症状の重症度や検査・治療内容によって大きく異なります。通院での治療の場合、1回あたりの費用は診察料、便検査、皮下点滴、内服薬の処方などで5,000円〜15,000円程度が目安です。

 

血液検査やレントゲン検査、超音波検査など詳しい検査が必要になると、さらに10,000円〜30,000円ほど追加でかかることもあります。入院が必要な場合や、異物誤飲による内視鏡・外科手術が必要になった場合は、治療費は数十万円に及ぶケースもあることは留意しておきましょう。

猫の胃腸炎に関する6つのよくある質問!

キャットフードを食べようとする猫

ここでは、猫の胃腸炎に関して飼い主からよく寄せられる質問にお答えします。愛猫の健康を守るため正しい知識を身につけておき、気になる症状や心配なことがあれば、まずは専門家である獣医師に相談することが重要です。

 

猫の胃腸炎は自然に治る?

軽度の胃腸炎であれば、食事を調整し安静にすることで、1〜2日で自然に治ることもあります。しかし、胃腸炎が治らず、下痢や嘔吐を繰り返す場合は、ほかの病気が隠れている可能性も考えられます。自己判断で様子を見るのは危険なため、症状が続く場合は早めに動物病院を受診しましょう。

 

猫の胃腸炎はほかの猫や人にうつる?

胃腸炎が、ほかの猫や人にうつるかどうかは、原因によります。ウイルスや細菌、寄生虫が原因の胃腸炎は、ほかの猫にうつる可能性があります。

また、サルモネラ菌やカンピロバクターなど一部の細菌は、人間にも感染する「人獣共通感染症」です。感染が疑われる場合は、排泄物の処理を速やかに行い、手洗いを徹底することが重要です。

関連記事:猫の感染症がわかる!16種類の病気一覧!猫から人にうつる病気は?【獣医師監修】

 

猫の胃腸炎を予防するためには?

胃腸炎を予防するためには、食事管理として消化の良いフードを選び、急な食事内容の変更は避けるようにしましょう。猫が誤って口にしそうな小さな物やひも、猫にとって有毒な植物などは、室内に置かないように徹底します。

また、ストレスも胃腸の不調につながるため、猫が快適に過ごせる環境を整えることが予防になります。定期的なワクチン接種や駆虫薬の投与も、感染症による胃腸炎を防ぐために不可欠です。

 

猫が胃腸炎で食べない場合はどうしたらいい?

猫が全く食べない場合は、無理に食事を与えるのは避けましょう。24時間以上絶食が続く場合は、脱水や栄養失調、肝リピドーシスを引き起こす危険があるため、早急に動物病院を受診してください。獣医師の指示のもと、消化の良いフードを少量ずつ与えることから再開するのが一般的です。

 

猫は胃腸炎が原因で死に至ることはある?

重度の脱水や低血糖、または背景にある重大な病気が原因で死に至る可能性はあります。特に子猫がかかる猫パルボウイルス感染症は致死率が高く危険です。また、異物の誤飲による腸閉塞や、重い膵炎などを併発している場合も命に関わるため、早期の治療が不可欠です。

 

ストレスが原因の場合はどんな対策をすべき?

猫のストレス対策として、猫が隠れられる静かな場所を確保し、生活リズムをできるだけ一定に保ちましょう。トイレや寝る場所を清潔にしておくのも大切です。

引っ越しなどの環境変化があった場合は、猫が慣れるまで焦らず見守ってあげましょう。遊びの時間を設けて、ストレスを発散させることも効果的です。

まとめ│重症化させる前に動物病院を受診

猫の胃腸炎は、適切な治療法を行えば数日で回復することが多いですが、なかなか治らない場合や1週間以上症状が続く場合は、慢性化していたり、背景に別の病気が隠れていたりする可能性があります。愛猫の様子がいつもと違うと感じたら、重症化する前に獣医師に相談してください。

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この記事の監修者 ペット保険比較のピクシー編集部
ペット保険の専門家であるメンバーがコラムを監修しています。少額短期保険募集人、損害保険募集人、ファイナンシャルプランナー、愛玩動物飼養管理士、いぬ検定、ペット防災指導員、犬のしつけインストラクターなどの数多くの資格を保有。犬や猫などの動物が大好きで、飼育歴は10年以上です。知識や経験を活かして、さまざまなお役立ち情報をお届けします。

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