猫の尿路結石の手術費用

猫の尿路結石は非常に多くみられる病気であり、緊急手術を要する場合があります。

手術費用は基本的にペット保険で補償されますが、補償対象外となる場合があるため注意が必要です。

 

本記事では、以下の点を中心に解説します。

・手術費用や手術の成功率

・猫の尿路結石症はペット保険で補償対象か?

・猫の尿路結石症の原因

・症状と治療方法

・予防方法

尿路結石になりやすい猫におすすめのペット保険についても解説しますので、ぜひ最後までお読みください。

 

【ペット保険比較のピクシー】では人気ペット保険おすすめランキングもご紹介しております。
まだペット保険に加入していない方、これから加入する方、保険の乗り換えを検討中の方は参考にされてください。

目次

猫の尿路結石症(尿石症)について

猫の尿路結石症とは

手術費用や手術成功率について説明する前に、まずは猫の尿路結石症がそもそもどのような病気なのかを知っておきましょう。

 

猫の尿路結石症は、腎臓や尿管、膀胱、尿道などに結石が形成されてしまい排尿障害や腎障害を引き起こす泌尿器疾患です。

猫の尿路結石症では、主に「ストルバイト結石」と「シュウ酸カルシウム結石」の2つの結石の種類が多くみられます。

 

ストルバイト結石

ストルバイト結石は、尿のpHがアルカリ性に傾くことで形成される結石です。

体質的に形成しやすい子もいますが、細菌感染と併発してみられる場合もあります。

ストルバイト結石は、正しい治療と療法食を使用することで、溶解できる結石です。

しかし、治療反応が乏しい場合や排尿困難など緊急性がある場合には、手術を行う必要があります。

 

シュウ酸カルシウム結石

シュウ酸カルシウム結石は、尿のpHが酸性になると形成されやすくなる結石です。

療法食で溶かすことができないため、膀胱炎や尿路閉塞の原因となっている場合には、外科手術で取り除く必要があります。

猫の尿路結石症の手術費用はいくら?

猫の尿路結石症の手術費用は、尿路結石の形成されている場所や行う手術の術式によってさまざまです。

手術内容 手術費用
腎臓切開 62,500円
尿管切開 62,500円
膀胱切開 35,000円
尿道切開 35,000円
尿道瘻設置 62,500円

上記の金額はあくまで目安です。

手術にかかる費用は、手術を行う箇所や大きさによって変動します。

また、別途麻酔代や点滴代、入院処置代が必要になるため、総額で15〜20万円程度必要となることも多いでしょう。

 

猫の尿路結石症の手術成功率

手術成功率は、結石の状態や腎不全などの併発疾患の有無によります。

結石を摘出し、併発疾患が何もない場合は、成功率は高く、術後は元気に過ごしてくれることが多いでしょう。

しかし、重症度が高い場合には、手術に成功してもなかなか麻酔から醒めない場合や、腎不全によって死に至ることもあるため、注意が必要です。

手術や入院をしない場合の治療費用は?

手術や入院をしない場合の治療費は以下のとおりです。

処置内容 治療費
診察 750円
血液検査 6,250円
超音波検査 4,000円
レントゲン検査 4,000円
皮下点滴 2,500円
カテーテル尿閉解除 4,000円
食餌療法 6,000〜8,000円
抗生剤 1,000円/週

上記の金額はあくまで目安です。行う処置内容によって、治療費用は変動します。

重症度が高いほど、治療費用がかかる傾向にあるので、早期に動物病院を受診することがおすすめです。

猫の尿路結石症はペット保険で補償される?

それでは、こうした尿路結石症の治療費・手術費は、ペット保険で補償されるのでしょうか?

 

結論からお伝えすると、猫の尿路結石症は、多くのペット保険で補償されます。

しかし、保険会社によって補償対象外となる傷病が異なるため、加入前によく確認することが大切です。

 

猫の尿路結石症を一度発症してしまうと、保険加入時の審査によってペット保険に加入できない場合があるため、気をつけなければなりません。

「尿路結石症は補償対象外」という条件付きでの加入になることもあります。

 

ペット保険を選ぶ際には、「猫の尿路結石症が補償対象となるのか」を重視して加入を検討しましょう。この記事の最後には、尿路結石になりやすい猫におすすめのペット保険を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

猫の尿路結石症(尿石症)になりやすい猫種

尿路結石症の好発猫種

尿路結石症になりやすい猫種は以下のとおりです。

・スコティッシュフォールド

・マンチカン

・ヒマラヤン

・アメリカンショートヘア

主に純血種の猫に、シュウ酸カルシウムが形成されやすくなっています。

 

また、メス猫に比べてオス猫は尿道が細長く湾曲しているため、尿石が閉塞しやすい傾向にあります。肥満傾向の猫も結石になりやすいといわれているため、気をつけなければなりません。

猫の尿路結石症(尿石症)の原因となるのは?

猫の尿路結石症の原因は、以下の2つが考えられます。

・尿のpHバランスが崩れる

・膀胱の水分量が少ない

尿のpHが酸性に傾いたり、アルカリ性に傾いたりすることで結石が形成されてしまいます。尿のpHが変化する原因としては、「細菌感染」や「食事」「ストレス」などが考えられます。

 

さまざまな要因が複雑に絡まっている場合には、原因をはっきりと診断することは難しくなるでしょう。

 

膀胱の水分量が少ない場合には、尿路結石に注意しなければなりません。

水分量が少ないと尿中のミネラルが濃縮され、結石を形成してしまうからです。

猫の尿路結石症(尿石症)の検査や診断方法

猫の尿路結石症の検査・診断方法は以下のとおりです。

・身体検査

・血液検査

・レントゲン検査

・超音波検査

・尿検査

尿検査とレントゲン、超音波検査などの画像検査は、実際に結石の場所を特定したり、結石の種類を想定したりするために重要な検査です。

結石の状態を確認すること以外にも、腎不全を引き起こしていないかどうかの確認も治療方針を決める上で欠かせません。

猫の尿路結石を診断するためには、さまざまな検査を行い、総合的に判断する必要があります。

 

猫の尿路結石症(尿石症)の症状

猫の尿路結石症の症状

猫の尿路結石症の症状は、結石がある場所や閉塞した部分、結石の大きさによってさまざまです。結石ができる場所別に症状と治療法を解説していきます。

 

腎結石の症状と治療法

腎結石は、閉塞する可能性が低い結石であるため、基本的に症状はみられません。

ごく稀に出血をひきおこし、血尿がみられる場合があります。

 

腎結石では、症状がないことが多いため、経過観察を行うことが多いでしょう。

しかし、結石の大きさや数によっては、外科的処置が必要になることがあります。

腎結石が多量にある場合には、腎障害や尿管結石を引き起こすことがあるため、気をつけなければなりません。

ストルバイト結石のような、食餌療法で溶ける結石の場合には、食事を療法食に変更するのも有効な治療法の1つです。

 

尿管結石の症状と治療法

尿管結石は、尿管を閉塞してしまうと急性腎不全を引き起こすことがあるため、早急な処置が必要です。

症状としては、嘔吐や排尿困難がみられます。

尿管結石が、完全に閉塞している場合には、排尿障害から急性腎不全に陥ることがあります。

早急に結石を取り除かないと死に至る場合があるので、結石を摘出する外科手術を行わなければなりません。再発リスクがある場合には、腎臓と膀胱をつなげるバイパス手術を行うこともあります。

 

膀胱結石の症状と治療法

膀胱結石は、膀胱粘膜を傷つけることにより、膀胱炎を引き起こします。

症状としては、血尿や頻尿、排尿ポーズを取るが尿が出ないなどが挙げられます。

膀胱結石の治療方法としては、外科手術で膀胱結石を摘出します。

術後は、摘出した結石の成分分析に従い、適切な治療方針を立てなければいけません。

療法食や内服薬の治療により再発を抑える必要があります。

 

尿道結石の症状と治療法

結石が尿道に閉塞すると、排尿困難を引き起こします。

排尿困難が最も認められる症状です。

排尿できない状態が続くと、急性腎不全に陥ることがあるため、早期の処置を行わなければなりません。

 

軽度な場合、カテーテルを尿道に挿入して、結石を膀胱へ押し戻します。

ただし、再発を繰り返す場合には、尿道を広げ開口部の位置を変更する手術を行わなければなりません。

 

尿路結石の根本治療にはならず、結石は体内で形成し続けるので、療法食での治療もあわせて行う必要があります。

猫の尿路結石症のおすすめ療法食

猫の尿路結石症には、ミネラル成分を適量に調節した療法食がおすすめです。

尿中のpHを一定に保つことができるため、結石形成の予防が期待できます。

結石症を発症したことがある子の場合には、再発を予防するために療法食を与えてください。

療法食を選ぶ際には、獣医師に相談して適切なものを食べさせるようにしましょう。

猫の尿路結石症(尿石症)の予防方法は?

猫の尿路結石症の予防方法

尿路結石を予防するためには以下のような対策が考えられます。

・療法食を与える

・水分を摂取させる

・ストレスを減らす

・トイレを清潔に保つ

・尿検査を行う

療法食は、尿中のミネラルを適切に保つため、結石形成を抑制します。

療法食の中でもウェットフードを使用して、なるべく水分を摂取させるようにしてください。

 

膀胱内に尿が貯留している時間が長いと結石が形成されやすくなります。

ストレスを減らし、トイレを清潔に保つことで、排尿しやすい環境を整えてあげましょう。

 

結石の早期発見のために、尿検査を定期的に行うこともおすすめです。

尿路結石症に関するQ&A!

尿路結石症に関する質問についてお答えします。

愛猫の尿路結石症の治療で気になるポイントをまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。

 

Q. 猫の尿路結石症の手術時間はどれくらい?

A. 猫の尿路結石症の手術時間、摘出する結石の数や位置によって、難易度が変わるため、一概には言えません。

 

簡単な手術ならば1〜2時間程度で終了することがありますが、難易度が高い手術の場合3時間を超えることもあります。

 

Q. 猫の尿路結石症の入院期間は?

A. 猫の尿路結石症の入院期間は、手術術式や猫の状態によりますが、7〜10日程度です。

 

尿路結石の手術を行った場合には、しっかり排尿ができること、傷口が裂開しないこと、腎数値が正常に戻っていることを確認して退院となります。

 

Q. 尿路結石症は自然治癒する?再発する可能性は?

A. 尿路結石は、体の動きや点滴などによって、位置が変動し、症状が改善する場合があります。自然治癒したように見えますが、一時的なものであり、時間が経つと再発することがほとんどです。

また治療を行っても体質的に尿路結石を作りやすい猫もいます。

治療後は、療法食や内服薬でしっかりと結石を作らないように予防していかなければなりません。

尿路結石になりやすい猫の保険の選び方

尿路結石になりやすい猫の保険

尿路結石は、通院や入院、手術で高額な治療費がかかる可能性が高いでしょう。

通院から入院までしっかりと補償できるペット保険を選ぶことをおすすめします。

 

年間の支払い限度額や支払限度日数(回数)が多いものを選ぶと、再発して通院頻度が増えた際にも安心です。

尿路結石になりやすい猫におすすめのペット保険3選!

上記の保険の選び方をふまえて、尿路結石になりやすいとされる猫におすすめのペット保険を3つご紹介します。

保険会社
年間支払限度額/年間支払限度日数
年間補償
限度額
通院費用 入院費用 手術費用
PS保険/50%補償 1日あたり
1万円/
年間20日
1日あたり
2万円/
年間30日
1回あたり
10万円/
年間2回
110万円
SBIいきいき少短/プラン50 スタンダード 制限なし
(年間補償限度額以内)
制限なし
(年間補償限度額以内)
制限なし
(年間補償限度額以内)
50万円
アイペット損保/うちの子(50%プラン) 1日あたり
1万2千円/
年間22日
1日あたり
1万2千円/
年間22日
1回あたり
10万円/
年間2回
72.8万円

※SBIいきいき少短の補償プランは年間最大補償額の範囲内であれば制限なし。
※上記表はペット保険比較のピクシーで、「猫 0歳 補償割合50% フルカバー型 免責金額なし」という条件で比較した場合の補償内容となります。

ファイナンシャルプランナーのアドバイス

猫が尿路結石になってしまった場合には、通院から入院まで治療費がかかる可能性があります。そのため、尿路結石になりやすい猫には「フルカバー型のペット保険」がおすすめです。また、1回の手術で15〜20万円の治療費がかかる可能性を考えると、手術費用の1回あたりの限度額が高めに設定されているペット保険が良いでしょう。

ほかの条件でペット保険をお探しの方は、ぜひペットの情報やご自身の希望を入力して、「お見積り」をチェックしてみてください。

※本記事では、保険商品の概要をご案内しています。
※詳しい補償内容は重要事項説明書をご覧ください。

まとめ│猫の尿路結石症はペット保険で補償されることが多い!

本記事では、猫の尿路結石症について原因や症状、手術費用、診断方法などを解説しました。

 

重要な点をおさらいしておきましょう。

・猫の尿路結石症の症状は、排尿困難や嘔吐など

・尿路結石は再発するリスクが高い病気

・治療費は状態によってさまざまだが、15〜20万円程度必要

・予防するためには、食事やストレスなど適切な生活習慣が大切

高額な治療費と通院費を補償するペット保険を選ぶのがおすすめ

尿路結石症は、閉塞する箇所によっては緊急性が高く、死に至ることもある恐ろしい病気です。

 

普段から予防につとめ、異変があったらすぐに動物病院に連れていくようにしましょう。

 

※動物病院は自由診療のため、医療費が高額になる可能性があります。
ペット保険に加入していなければ、全額を自己負担で支払わなければなりません。
万が一の備えとしてペット保険に加入しておくと安心です。
また保険選びで迷われている方は、ペット保険の保険料や条件を一括比較できる「人気ペット保険おすすめランキング」もご覧ください。

獣医師入江悠先生
この記事の執筆者 入江 悠
宮崎大学農学部獣医学科では循環器内科を専攻。卒業後は、関西の動物病院に勤務する。 獣医師として、飼い主さんの悩みに寄り添うため、ペットに関するさまざまな情報を発信している。好きな犬種は柴犬。保有資格:獣医師国家資格
木内比奈子
この記事の監修者 木内 比奈子
ファイナンシャルプランナー。少額短期保険募集人、損害保険募集人。大学卒業後、保険代理店勤務を経て、ペット保険の重要さを感じ資格を取得。北海道犬と14年間、ヨークシャー・テリアと5年間暮らした経験を活かして、おもにペットやペット保険に関する記事を執筆、監修。ペットとの楽しい暮らしをサポートするため、正しく役に立つ情報を発信していきます。

この情報をシェアする

【ペット保険比較】10秒でカンタン比較

関連記事