猫が食べたらダメなものは?

「私が食べているものをいつも欲しがるのだけれど、猫も食べて良いの?」

猫と一緒に暮らす飼い主さまは、このような疑問を抱えていませんか?確かに、人間には良くても、猫にとって中毒を起こす危険な食べ物は意外とたくさんあります。

そこでこの記事では、猫が食べてはいけないもの食べていいもの誤食を防ぐ対策などを紹介します。

食いしん坊な猫と暮らす方はもちろん、愛猫に手作り食を作りたい飼い主さまも、ぜひ最後までご覧ください。

 

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目次

【猛毒】猫が食べると死ぬ可能性のあるもの

この章で紹介する食べ物は、猫が食べると下痢や嘔吐などの中毒症状を起こし、最悪の場合死に至る可能性があるものです。

以下の6点は絶対に食べさせてはいけないので注意してください。

  • 玉ねぎ・ねぎ類・ニラ・ニンニク
  • チョコレート
  • アルコール・生のパン生地
  • カフェイン
  • ユリ根
  • 人間用の医薬品

 

玉ねぎ・ねぎ類・ニラ・ニンニク

玉ねぎ・ねぎ類・ニラ・ニンニクには、アリルブロビルジスルファイドという赤血球を破壊する成分が含まれています。そのため口にすると、以下の中毒症状があらわれます。

  • 貧血
  • 血尿
  • 嘔吐

中毒量は猫の体重1kgあたり5g程度とされていますが、少量でも中毒症状があらわれる可能性を否定できません。「少しだったら問題ない」と甘く考えないようにしましょう。

また、加熱しても有毒成分は消えないため、ネギ類を使った料理にも注意してください。

関連記事:猫が玉ねぎを食べてしまった!食べると危ない量は?中毒症状や治療法を解説!

 

チョコレート

チョコレートに含まれるテオブロミンは、以下の中毒症状を引き起こします。

  • 嘔吐
  • 下痢
  • 頻尿
  • 興奮
  • けいれん

一般的なミルクチョコレートの場合、中毒量は猫の体重1kgあたり10g程度とされています。カカオ含有量が多いほどチョコレートに含まれるテオブロミンの量も多くなるため、高カカオのダークチョコレートはミルクチョコレートより危険といえるでしょう。

また、ココアにもカカオが含まれているため注意してください。

 

アルコール・生のパン生地

猫は、アルコールを肝臓で分解できません。個体差はありますが、アルコールを摂取してから早くて30分程度で、以下の症状があらわれます。

  • ふらつき
  • 嘔吐
  • 下痢

 少量でも酔っぱらった状態になるため、お酒だけでなくアルコールを含む消毒液除菌シートにも注意が必要です。

ちなみに、焼く前のパンは、発酵の際に炭酸ガスとアルコールを発生させます。自宅でパンを手作りする方は、パンを寝かせておく場所にも注意した方が良いでしょう。

 

カフェイン

 

コーヒーや緑茶などに含まれるカフェインの興奮作用によって、以下の症状が引き起こされます。

  • けいれん
  • 呼吸困難
  • 下痢
  • 嘔吐

カフェインはほかにも、コーラやエナジードリンク、チョコレートにも含まれ、加工品のコーヒーゼリーやチョコレートケーキなども与えてはいけません。

特に緑茶や紅茶などの茶葉は、飲み物の状態よりもカフェインの量が多いため、猫の手が届かないところに保管してください。

関連記事:猫がコーヒーを舐めたらどうなる?カフェイン中毒や対処法を解説!

 

ユリ根

お正月によく目にするユリ根は、ユリ科の植物の球根部分です。猫がユリ科の植物を口にすると、急性かつ重度の腎障害を引き起こし、以下のような症状があらわれます。

  • 大量のよだれ
  • 嘔吐
  • 食欲低下

ちなみに、毒性はユリの種類によって異なりますが、花や葉、茎だけでなく花粉やユリを生けている花瓶の水でもユリ中毒になるとされています。少量でも危険なため、ユリ根を食べるときはもちろん、調理するときも床に落としていないか、服についていないか注意してください。

 

人間用の医薬品

大きさからか、猫の誤飲のなかでも意外と多いのが人間用の薬です。猫と人間では体の仕組みが異なるため、人間には薬でも、犬や猫にとっては害になる可能性があります。

成分的には問題ない薬でも、獣医師から処方されたうえで用法・用量を守って与えないと危険です。特に、私たちが普段から服用している風邪薬や痛み止めにも使われているアセトアミノフェンは、1錠飲んだだけでも危険な状態になるため注意してください。

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【禁止】猫に食べさせてはいけないもの

猫にアボカドはNG

この章で紹介するものは、上記で紹介したものと比べると亡くなる危険性は低いですが、猫に食べさせるべきではないものです。

猫にとって有害な成分を含むため、絶対に猫に与えないようにしましょう。

 

野菜

アボカド

アボカドに含まれるペルシンは、次のような症状を引き起こします。

  • 食欲低下
  • 下痢
  • 嘔吐
  • 呼吸困難

ペルシンは、私たちが食べる部分以外の葉や皮、茎、種子にも含まれているため注意しましょう。

 

フルーツ

ぶどう・レーズン

ぶどうやレーズンを猫が食べると、以下の症状があらわれます。

  • 無気力
  • 食欲低下
  • 下痢
  • 嘔吐

 少量でも腎障害を起こす可能性があるため、果汁が含まれるお菓子やジュースにも注意してください。

 

イチジク

イチジクに含まれるタンパク質分解酵素の「フィカイン(フィシン)」は、口内の炎症を引き起こします。また、光毒性をもつ「フラノクマリン(ソラレン)」は、日光に当たった皮膚の炎症や発疹を引き起こすことが知られている物質です。

 

パパイヤ

パパイヤに含まれるパパインと呼ばれる酵素によって、口の中や唇に炎症があらわれるアレルギー症状が引き起こされます。完熟前の緑色のパパイヤに多く含まれ、重度になると呼吸困難になる可能性があるため注意してください。

 

肉類

生の豚肉・鶏肉

猫は肉食動物のため、肉を食べること自体は問題ありません。しかし、生の豚肉にはサルモネラ菌やE型肝炎ウイルス、鶏肉にはカンピロバクター菌がついている可能性があります。

病原菌に感染させないためにも、生肉ではなく加熱した肉を与えるようにしましょう。

 

魚介類

イカ・タコ・エビ・カニ

イカ・タコ・エビ・カニには、チアミナーゼというビタミンB1分解酵素が含まれています。そのため猫が食べると、神経活動を正常に働かせる役割をもつビタミンB1が不足し、以下の症状があらわれるのです。

  • 食欲不振
  • 嘔吐
  • 神経症状

 

貝類

貝類にもチアミナーゼは多く含まれ、食中毒やビタミンB1欠乏症になる可能性があります。

 

また、アワビやサザエなどに含まれるピロフェオホルバイドαという有毒成分によって、猫が光過敏症になることもあります。光過敏症になると、次のような皮膚トラブルが起こります。

  • 炎症
  • 抜け毛
  • 出血

光過敏症を放置するとガンになることもあるため、早期治療が大切です。

 

菓子・加工品

ナッツ類

ピーナッツやマカデミアナッツなどのナッツ類に含まれるペニトリウムAによって、震えやふらつきなどの症状を起こす可能性があります。

また、ナッツ類は脂肪分が多いことからも、猫には与えない方が良いでしょう。

 

キシリトール

ガムや歯磨き粉に含まれるキシリトールは、血糖値を下げるインスリンの分泌を促します。そんなキシリトールを猫が食べると低血糖になり、以下の症状があらわれます。

  • 嘔吐
  • けいれん
  • 意識障害

 低血糖以外にも、肝機能障害や血液凝固障害などの原因にもなるため注意しましょう。

 

その他

鳥や魚の骨

鳥や魚の骨は、のどに詰まると危険です。また、歯を傷めたり消化器官を傷つけたりする可能性もあります。

魚を与えたい場合は、骨を取り除いてから与えてください。

 

生卵

生の卵は、サルモネラ菌や大腸菌などの病原菌による食中毒を起こす原因となります。また、白身に含まれるアビシンが皮膚や被毛のトラブルを引き起こす可能性もあります。

 

牛乳

猫は、牛乳に含まれる乳糖をうまく分解できません。そのため、人間の乳糖不耐症の方と同じように、お腹を壊してしまう猫は多いといわれています。

また、高カロリーな牛乳を与えすぎると肥満になる可能性があるため、飲ませない方が良いでしょう。

【注意】猫に食べさせない方が良いもの

ここから紹介するのは、猫になるべく食べさせない方がよいものや、与える際には注意が必要な食べ物です。

野菜 ごぼう・れんこん
春菊・たけのこ・ふきのとう
水菜
じゃがいも

春菊・たけのこ・ふきのとうには、尿路結石の原因となるシュウ酸が豊富に含まれます。

また、じゃがいもの芽や緑色の皮には、嘔吐・下痢を引き起こすソラニンという物質が含まれるため、しっかり取り除いたうえで加熱したものを与えましょう。

 

フルーツ りんご
みかん
レモン
グレープフルーツ
バナナ
マンゴー

みかんやグレープフルーツなどの皮には、手足の震えや皮膚のかぶれなどの症状を引き起こすリモネンが含まれます。

また、りんごやバナナなどは基本的に安全な果物ですが、市販のジュースやジャムなどは砂糖や添加物がたくさん使われている可能性があるため注意してください。

 

炭水化物 そば
パン

肉食動物の猫は、穀類の消化が得意ではありません。そのため、炭水化物であるそばやパンを食べると、消化不良を起こす可能性があります。また、そばアレルギーや小麦アレルギーの猫には絶対に与えないでください。

 

魚介類 アジ・イワシ・サバ・サンマ
カツオ
わかめ

アジやイワシなどの青魚には、強い腹痛を引き起こすアニサキスが寄生している可能性があります。また、青魚に含まれる不飽和脂肪酸の過剰摂取は、お腹の脂肪に炎症が生じる黄色脂肪症の原因となるため注意が必要です。

 

菓子・加工品 あんこ
かにかま
ツナ
ハム
にぼし
かつおぶし
海苔
豆腐

人間用のお菓子や加工品には、猫の体に悪い影響を及ぼす砂糖や塩分、添加物が多く含まれています。味が濃い人間の食べ物を好んで食べる猫もいますが、与えるべきではありません。

 

その他
ミネラルウォーター
麦茶

ミネラルウォーターには、尿路結石の原因となるミネラルが豊富に含まれています。猫の飲み水は水道水で問題ありませんが、水道水以外であれば軟水、またはペット用のミネラルウォーターを与えましょう。

【番外編】猫が食べてはいけない観葉植物や花

上記では猫が食べてはいけない食べ物や飲み物を紹介しましたが、猫にとって危険な“植物”もたくさんあります。以下の植物や花には注意してください。

ユリ科の花
ユリ、チューリップ、スズラン、ヒヤシンスなど
サトイモ科の花
ポトス、カラジューム、モンステラなど
ナス科の花
ホオズキ、チョウセンアサガオ、トマト、ナスなど
ツツジ科の花
ドウダンツツジ・アザレア・シャクナゲ・サツキなど
キンポウゲ科の花
キンポウゲ、アネモネ、ラナンキュラスなど
その他
アジサイ、カーネーション、菊、スイセンなど

例えば、ナス科の植物にはアルカロイド、ツツジ科の植物にはグラヤノトキシンという有害成分が含まれています。また、観葉植物として人気のセントポーリアやパキラ、ヤシ科の植物は、猫にとって安全とされていますが、絶対ではありません。誤食を防ぐためにも、猫がいる部屋に観葉植物や花を置かない方が良いでしょう。

中毒症状はどのようにあらわれる?

猫の中毒症状は?

上記でも少し説明しましたが、猫が危険な食べ物や飲み物を口にした際は、さまざまな中毒症状があらわれます。中毒の原因となっているものによって、症状や致死量、症状があらわれるまでの時間などが異なります。

なかでも、飼い主さまに知っておいてほしい症状は以下の通りです。

  • 貧血
  • 下痢
  • 嘔吐
  • 多飲、多尿
  • けいれん
  • よだれ
  • 食欲不振
  • 呼吸困難
  • 運動失調

この他にも、普段と違う様子が見られた場合は、動物病院の受診をおすすめします。

猫がNG食材を口にしたときの対処法

猫がNG食材を口にした際に、飼い主さまが自宅でできる応急処置はありません。自分で無理に吐かせようとすると、逆に状態を悪化させてしまうこともあるため、猫が誤食をした時点ですぐに動物病院を受診してください。その際は、いつ・何を・どのくらい食べたかを細かく伝えられると良いでしょう。

猫が誤飲したときの動物病院での治療法

この章では、猫の誤飲で動物病院を受診した際に、どのような治療が行われるのか詳しく説明します。

 

催吐処置

催吐処置とは、薬によって飲み込んだものを吐かせる方法です。比較的安全とされていますが、通常の薬の効果ではなく、薬の副作用によって吐かせるためリスクがないとは言い切れません。

 

胃洗浄

胃洗浄とは、口や鼻から管を挿入して胃の中を洗う方法です。麻酔をするリスクもあるため、中毒の危険度によって実施するかどうかが決められます。

 

吸着剤・下剤

体内に吸収されると害となるものを吸着する活性炭を飲ませ、下剤で便と一緒に排出させる方法もあります。ただし、この方法が使えない毒物もあるため、何を口にしたのか正確に伝えましょう。

 

点滴

誤飲したものによっては、毒物の吸収を減らす、または排泄を促す場合に点滴が行われます。また、嘔吐や下痢によって脱水した場合も、水分を補うために点滴を行います。

猫が誤飲をした際の治療費は?

治療費は、治療の方法や病院によってさまざまです。

誤飲の治療としてよく行われる催吐処置とその後の胃荒れを防ぐ薬のみの治療であれば、1万円程度で済むケースもあります。しかし、状態が悪く肝臓障害障や腎不全を起こして入院・手術が必要になれば、10万円以上かかることもあるでしょう。

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誤食を防ぐための対策方法

誤食を防ぐ対策方法

高額な治療費がかかり、猫の健康を損なう誤食を防ぐには、日頃から注意しておく必要があります。

この章では、すぐに実践できる対処法を紹介するので試してみてください。

 

人間の食事前にフードを与える

人間と同じように猫も空腹の方が食べ物に興味を持ち、誤食が起こりやすくなります。先に猫に食事を与えてお腹がいっぱいの状態にさせてから、人間が食事すると良いでしょう。

 

食事中に近寄らせない

食事中に猫を近寄らせないことも有効です。人間が食事をする部屋に猫が入れないように、ケージに入れる、別の部屋に移動させるなどの対策を行ってください。

 

生ゴミは蓋付きのゴミ箱へ

料理中や食事中だけでなく、調理後も注意が必要です。猫が生ゴミを誤食してしまうケースはよくあります。

猫がいたずらできないような、蓋がしっかりしまるゴミ箱に捨てるようにしましょう。

 

食材はすぐにしまう

スーパーから買ってきた野菜や常温で置いておく果物など、猫の手の届くところに出しっぱなしにしていませんか?少しの間でも猫が誤食をしてしまう可能性があるため、すぐに戸棚や引き出しにしまうようにしてください。

【安心】猫が食べてもいい野菜・果物など

これまでは、猫が食べてはいけないものについて解説しましたが、猫が食べてもいい野菜や果物もたくさんあります。

例えば、ビタミンCの豊富なレタス、キャベツ、みかん、キウイなどは病気や老化を予防する抗酸化作用が期待できます。また、βカロテンを含むきゅうりやにんじんは、皮膚の健康を保つのに役立つでしょう。

すべての猫に対して、積極的に与えることを推奨するわけではありませんが、おやつや手作り食で猫に与える際の参考にしてください。

野菜
きゅうり
果物
バナナ
オクラ いちご
ゴーヤ さくらんぼ
かぶ キウイ
れんこん スイカ
小松菜
大根
トマト びわ
パセリ メロン
白菜 ブルーベリー
レタス びわ
キャベツ
穀物
枝豆
にんじん 納豆
魚介類 マグロ きな粉

まとめ

この記事では、猫が食べてはいけないものや食べていいもの、誤食を防ぐ対策などを紹介しました。

最後にもう1度、この記事のポイントをまとめておきます。

  • 猫が食べてはいけないものは野菜から魚までさまざま
  • 危険な“植物”にも注意
  • 誤食を防ぐには飼い主さまの徹底した注意が必要

猫が口にすると体調を崩し、最悪の場合は死に至る可能性がある食べ物や飲み物は、意外とたくさんあることがお分かりいただけたかと思います。猫の健康を守るためにも、飼い主さまが猫のNG食材を把握し、十分に注意しましょう。

 

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獣医師平松先生
この記事の監修者 平松 育子
獣医師・ペットライター。山口大学農学部獣医学科(現:共同獣医学部)卒業。2006年3月~2023年3月、有限会社ふくふく動物病院・取締役、院長。ジェネラリストですが、得意分野は皮膚疾患です。獣医師歴26年(2023年4月現在)の経験を活かしペットに関する情報をお届けします。

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