猫が血尿をしている場合、何らかの病気にかかっている可能性があります。なるべく早く原因を突き止め、治療などを行う必要があります。
この記事では、猫の血尿の原因や疑われる病気、対処法や動物病院での診療内容などについて、獣医師の平松育子先生監修のもと解説します。
猫の血尿の原因と対処法、受診すべき症状と治療費は?
―猫のおしっこが赤い、血尿を出す原因、理由について教えてください。
猫のおしっこの色が赤いからといって、必ずしも血尿とは限りません。血尿は腎臓から尿道までの泌尿器のどこかに出血が生じ、おしっこの中に血液が混じったものです。しかし、猫がたまねぎ中毒になり、赤血球が破壊される「溶血」によって、尿にヘモグロビンが混じる場合や、単純に食べ物に含まれている赤い色素が混じる場合も、おしっこが赤く見えます。
また、犬に血尿が見られる場合は発情出血の可能性も考えられますが、猫は発情出血をしません。そのため、猫に血尿が見られれば、何らかの病気が疑われます。
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猫の血尿で疑われる病気について
―猫が血尿を出すようになったら、どのような病気が考えられますか?
猫が血尿を出している場合、病気が原因で起こる場合もあれば、事故が原因で起こる場合もあります。
尿石症
尿石症は、膀胱や尿道など、おしっこの通り道である尿路のどこかに結石ができてしまう病気です。その症状は、血尿や頻尿(一日に5回以上おしっこをする)、排尿痛などが挙げられます。猫の尿石症は食餌が原因で起こる場合が多く、肥満気味の猫や、あまり水を飲まない猫によく見られます。
また、オスはメスより尿道が狭いため、結石が尿道に詰まる「尿道閉塞」を起こしやすい傾向にあります。尿道閉塞によっておしっこがまったく出なくなると、腎臓の機能が低下してしまう急性腎不全(急性腎障害)を引き起こします。腎臓には本来、老廃物を体の外に排泄させる働きがあります。しかし、腎障害を起こすと老廃物を排泄できなくなるため、老廃物が血液の中にたまって尿毒症を引き起こし、最悪の場合、数日で命を落としてしまいます。
膀胱炎
猫の膀胱炎には、「細菌性膀胱炎」と「特発性膀胱炎」と呼ばれるものがあります。細菌性膀胱炎はその名のとおり細菌感染が原因で起こり、高齢の猫に多く見られます。一方、特発性膀胱炎は10歳以下の猫に多く見られ、食餌やストレスなどの要因が関係しているのではないかと言われています。しかし、いまだに原因ははっきりしていません。症状はどちらでも同じで、尿石症と同様に血尿や頻尿、排尿痛などが見られます。
尿道炎
尿結石や細菌感染によって尿道に炎症が起こり、猫に血尿のほか、頻尿、排尿痛などの症状が見られます。
尿路感染症
尿路感染症とは、尿路のどこかに細菌感染が起こり、炎症を起こした状態です。尿路感染症も、血尿や頻尿、排尿痛などの症状が見られます。
腫瘍
猫ではあまり多くはありませんが、膀胱腫瘍や前立腺腫瘍などによっても出血が起こり、血尿が見られます。どちらの腫瘍も高齢の猫に見られますが、前立腺腫瘍は、去勢手術の有無に関係なく、オス猫のみに起こります。
そのほか
病気ではありませんが、交通事故や落下事故などによって腎臓や膀胱が破裂したり、損傷を受けたりして出血が起こった場合にも猫に血尿が見られます。見た目にはわからない場合もあるため、事故の後から血尿が見られる場合には、注意が必要です。
猫の血尿で気になる症状と動物病院に連れて行くタイミング
―動物病院を受診すべきタイミングについて教えてください。
猫に次のような症状が見られたら、すぐに動物病院に行きましょう。
- 元気や食欲がない
- ぐったりしている
- 交通事故などによりケガをした後から血尿の症状が見られる
- おしっこが少量(ポタポタ垂れる程度)しか出ない、またはまったく出なくなった
また、頻尿や排尿痛など、血尿以外に何かおしっこの症状が見られる場合も、早めに動物病院に行きましょう。
―どんな状態であれば、様子を見ていていいですか?
基本的には自宅で様子を見るのではなく、動物病院で尿検査を受けることをおすすめします。しかし、一過性のもので元気がある場合や、ほかに何も症状が見られない場合は、一旦様子を見ても問題ないでしょう。様子を見ていても血尿が治らない場合や何かほかの症状が見られるようなら、すぐに動物病院を受診してください。
猫の血尿の家庭内での対処
―猫が血尿を出したら、自宅でどのように対処すればいいのでしょうか?
家庭内でできる応急処置は基本的にはありません。動物病院を受診する場合は診察をスムーズに行うため、以下のような事柄をメモして持参しましょう。
- いつから症状が見られるのか
- 1日のトイレの回数はどれくらいか
- 血尿以外の症状にはどんなものがあるのかなど
また、動物病院では必ず尿検査を行うため、猫のおしっこを持参できるとより良いでしょう。ペットシーツを裏返した状態でトイレにセットしておくと、採尿しやすいのでおすすめです。ただし、猫が落ち着いてトイレができなくなってしまうと、ストレスを感じてしまう場合もあるため、無理に採尿しなくても大丈夫ですよ。
猫の血尿の診療内容とかかる治療費
猫の血尿の診療内容
原因によって若干診療内容は異なりますが、基本的には問診を行った後に尿検査を行い、必要に応じて血液検査やレントゲン検査、超音波検査なども行います。原因が特定できたら、抗生物質や消炎剤などの投与や、食事療法、手術などの治療を行います。
猫の血尿の治療費例
ここでは、猫の血尿の治療費について、尿結石により尿閉を起こし、急性腎不全になった場合を例に紹介します。
- 治療期間:7日
- 通院日数:0日
- 入院日数:7日
- 手術回数:0回
- 治療費 :102,000円
尿結石によって尿道閉塞を起こしている場合、すぐに尿道の詰まりを解除する必要があるため、その場で入院となります。そして、血液検査やレントゲン検査など、ひととおりの検査を行い、鎮静をかけて尿道にカテーテルを入れます。カテーテルから生理食塩水を流し、詰まった尿結石を膀胱に押し戻せれば、膀胱の洗浄も行い、一旦処置は終了です。
カテーテルはそのまま皮膚に縫いつけ、入院中は点滴や利尿剤などの投与を行いながら、腎機能の検査をこまめにチェックします。そして、カテーテルを抜いて自力でしっかりとおしっこができ、腎機能が正常に戻れば、いよいよ退院です。
ただし、尿石症は再発しやすい病気です。退院時には療法食が処方され、一か月に1回ほど尿検査を受ける必要があります。
※上記の診察内容や期間、治療費は、一般的な成猫を基にした一例であり、全国の平均や水準を示すものではありません。また、体格や病状、動物病院によって異なりますのでご了承ください。
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- 6kg 未満
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