猫の骨折

「猫が骨折したときの症状は?」
「飼い主ができる応急処置はあるの?」

愛猫が骨折をした可能性に気づいたら飼い主さまは、このように心配になりますよね?
そこでこの記事では、以下のことについて解説します。

  • 猫が骨折したときの症状や原因
  • 骨折したときの応急処置
  • 猫の骨折治療にかかる費用 

愛猫のケガや骨折について不安を感じている飼い主さまは、ぜひ最後までご覧ください。

 

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目次

猫の骨折について

猫の骨折は前足の方が多い

骨折とは、言葉通り骨が折れた状態です。ほかにも、骨にヒビが入ったり、一部が欠けたりした状態も骨折に含まれます。特に、猫は後ろ足に比べて前足の方が骨折しやすいといわれています。

そうはいっても、「猫はジャンプが得意で上手に着地できるから骨折しないのでは?」と思った方もいるかもしれません。確かに猫は運動能力が高い動物として知られていますが、状況によっては低いところから落ちても骨折することがあるため注意が必要なのです。

猫の骨折の症状とサイン

猫が手足を骨折した場合は、次のような症状がみられます。

  • 骨折箇所の痛みや腫れ、変形
  • 骨折箇所が熱を持つ
  • 手足をひきずる
  • 手足をかばうように浮かせて歩く

一方、手足以外の骨盤あごを骨折した場合は、上記の症状に加えて次のような症状もみられます。

  • 触られるのを嫌がる
  • じっとして動かない
  • 排泄がうまくできない
  • 食欲がない
  • よだれが多くなる

骨折と捻挫の見分け方は?

骨折は骨が損傷した状態であるのに対して、捻挫は靱帯や軟骨が損傷した状態です。捻挫と骨折を比較すると、それぞれ次のような傾向があります。

  • 骨折の方が、捻挫に比べて痛みが強い
  • 捻挫は内出血のみだが、骨折は出血する可能性もある
  • 捻挫は安静にしていれば治るが、骨折は数日経っても回復しない

部位によっては骨折と同じような症状がみられることから、骨折と捻挫を見分けるのは簡単ではありません。異変を感じたら、すぐに動物病院を受診してください。

猫の骨折の原因となるのは?

猫の骨折の原因

猫の骨折の原因で多いのは、「交通事故」と「落下事故」です。しかし、このほかにもさまざまな原因が考えられます。

この章では、猫の骨折の原因について詳しく見ていきましょう。

 

交通事故

野良猫はもちろん、屋外に出る猫は交通事故にあう危険性が高まります。交通事故では、手足だけでなく肋骨や脊椎、骨盤など複数箇所を骨折するケースが多くあります。

さらに、神経や内臓にもダメージを受けた場合は命にかかわるため、できるだけ早く動物病院を受診する必要があります。

 

落下事故

落下事故による骨折のリスクは、落ちた高さが関係しているわけではありません。猫は高いところから飛び降りるときに空中で体勢を変えることで安全に着地しますが、いつもうまく方向転換ができるわけではありません。次のような場合は着地に失敗して骨折してしまう可能性があります。

  • 空中で体勢を整える時間がない低さからの落下
  • 滑りやすい床
  • 老猫や肥満の猫

 

人による事故

うっかり猫を踏みそうになったり、ドアに挟みそうになったりしたことはありませんか?猫よりもはるかに体が大きい人間が強い力を加えてしまうことで、猫が骨折する可能性があります。小さな猫は人の視界に入らないことも多く、足音なく近づいてくることも事故が起きる原因の1つです。

 

ほかの猫との喧嘩

屋外に出る機会がある猫や多頭飼いをしている場合は、猫同士が喧嘩することで骨折するケースもあります。特に以下の猫は、注意が必要です。

  • なわばり意識が強い
  • 発情中
  • 猫同士の仲が悪い

特に喧嘩で噛みつかれたり、体当たりされたりした猫がいれば、骨折がないか確認してください。

 

過度な運動

特に活発な性格の猫は、注意が必要です。適切な運動量は年齢や体調によって異なるため、猫の状態に合わせて運動させなければなりません。

とはいえ、運動を制限するのは難しいものです。ダイエットのために無理やり運動させたり、無理な遊び方をさせたりしないなど、できることから予防しましょう。

 

病気

骨折のリスクを高める原因の1つは、病気です。以下の病気を発症している猫は、骨が弱くなることで骨折しやすくなります。

  • 骨粗しょう症
  • 腫瘍
  • 骨軟化症
  • 低カルシウム血症
  • 甲状腺機能亢進症

骨折をしやすい猫種

骨折しやすいとされる猫種はなく、どの猫種でも骨折のリスクがあります。とはいえ、骨粗しょう症のリスクが高い、高齢の猫やステロイドを服用している猫は骨折しやすいと言えるでしょう。

また、骨折の原因から考えると、次のような猫も注意が必要です。

  • 屋外に出る機会がある
  • 病気で骨が弱くなっている
  • 過去に骨折をしたことがある

家庭内での応急処置

まずは、安静にさせることが重要です。骨折が疑われる猫は、動き回ることを防ぎ、そのまま病院にも連れて行けるキャリーに入れておくことをおすすめします。

また、割りばしや定規などをそえて包帯で巻けば、骨折部分を固定できます。包帯は、きつく巻きすぎないように注意してください。

痛みで猫が暴れる場合は、骨折箇所の固定を無理にせず、安静にさせることを優先しましょう。

猫の骨折の検査や診断法

猫の骨折を診断するには、主にレントゲン検査が行われます。レントゲン検査では、骨の状態や骨折の程度を詳しく調べることが可能です。

しかし、レントゲンは2次元的にしか把握できず、診断が難しいケースもあります。その際は、立体的に(3次元的に)把握できるCT検査を行うことがあるでしょう。

必要に応じて血液検査超音波検査も行い、総合的に診断することで適切な治療を見極めていきます。

猫の骨折の治療法とは?

猫の骨折の治療法

獣医師は、骨折箇所や骨折の状態によって適切な治療法を選択します。

 

外固定法

外固定法は、ギプスで骨折部位を固定する方法です。手術をしない外固定法は、完全に骨が折れていない軽度の骨折、または骨折した猫が若い場合に適用されます。

ちなみに、ほかの治療法と合わせて用いられることもあります。

 

創外固定法

創外固定法は、金属のピンを皮膚の外側から骨に取り付けることで骨折部位を固定する方法です。創外固定法は、ピンが外側にあることで猫のストレスになる可能性もありますが、複雑骨折や皮膚の外側に骨が飛びだしている骨折に有効です。

 

内固定法

内固定法は、骨折部位を切開し金属プレート、釘、ピン、ワイヤーなどで直接固定する方法です。

固定していたプレートやピンを除去する場合は、再度麻酔をかける必要があります。しかし、ほとんどの骨折に適用でき、外固定法に比べて強く正確に固定できるため、治りが早いことがメリットです。

骨折した際の治療費用

猫の骨折治療にかかる費用は、病院や治療法によって大きく異なります。とはいえ、20~30万円程度が1つの目安とされています。

一般的に骨折治療には1~3か月かかり、その間も通院が必要なケースもあるでしょう。そのため、猫の骨折をできるだけ早く治すことは、猫の負担を軽減するとともに治療費用を抑えることにもつながります。

状態が悪化する前に治療を開始するとともに、治療後のケアも気を抜かずしっかり行いましょう。

治療費が高額になることが心配な場合は、あらかじめペット保険加入を検討しておくこともおすすめです。

猫の骨折に関する疑問3点

これまで猫の骨折について解説してきましたが、いくつか疑問を感じたことはありませんか?

そこでこの章では、猫の骨折に関する疑問を3つ解説していきます。

 

猫の骨折は自然治癒する?

自然治癒を正常な状態に戻ることだとすると、猫の骨折は自然治癒しません。骨折した状態で放置すると、本来とは違う状態のまま骨がくっついてしまう可能性があります。

骨の再生能力が高い猫でも、骨折した場合は獣医師による治療が必須です。

 

猫の骨折で死亡例はある?

適切な治療を行わなければ、猫は骨折によって死亡する可能性があります。とはいえ、骨折が直接の原因で死亡することはまれです。

具体的には、次のようなことが原因で死につながります。

  • 骨折した骨が内臓を圧迫、損傷する
  • 骨折箇所が感染症を起こす
  • 強い痛みや出血によって衰弱する

 

治療中や手術後はどのように過ごせばいい?

完治するまでは、手術後も安静に過ごさせる必要があります。しかし、ずっとケージに入れたままではストレスがたまるので、様子を見ながらケージから出すと良いでしょう。

また、ギプスやエリザベスカラーを付けているとトイレが難しい場合もあるため、必要であればトイレの介助も行ってください。

猫の骨折の予防方法

上記では、猫の骨折の原因や治療法について解説しましたが、できれば愛猫に骨折してほしくありませんよね。

そこでこの章では、骨折の予防方法について解説します。

 

完全室内飼育

屋外の事故による骨折を防ぐには、完全室内飼育が最も有効です。室内飼育であれば交通事故にあいませんし、ベランダから落ちることもありません。

また、脱走させないことも重要です。脱走防止フェンスや網戸用のストッパーを利用して、脱走対策を行いましょう。

 

部屋の環境作り

室内での落下事故や人による事故を防ぐには、環境を整備することも必要です。滑りやすいフローリングにはカーペットやマットを敷いたり、猫を挟まないようドアにはストッパーを設置したりと工夫しましょう。

 

適切な運動

運動不足は、骨粗しょう症肥満の原因になります。さらに、運動機能が落ちると、とっさに自身を守る体勢をとれなかったり、危険を察知して動けなかったりと骨折しやすくなってしまいます。

無理な運動は禁物ですが、猫の状態にあった適度な運動を促すことが重要です。

 

食事管理

骨の健康を維持できれば、骨折を予防することにもつながります。そして、骨を弱らせないためには、栄養バランスの良い食事が必須です。

また、カルシウムやビタミンD、マグネシウムやタンパク質を含むサプリを有効に活用するのも良いでしょう。

まとめ

この記事では、猫が骨折したときの症状や捻挫との見分け方を紹介したうえで、応急処置や治療費用についても解説しました。

この記事のポイントをまとめると、以下の通りです。

  • 猫は低いところから落ちても骨折する可能性がある
  • 骨折したときは絶対安静
  • 骨折の治療費は20~30万円程度

猫の骨折を早く治すには、早期発見・早期治療が欠かせません。

高さに関係なく猫が落ちるところを目撃した、または事故の瞬間を見ていなくても猫の様子がおかしいと感じた場合は、すぐに病院に連れて行ってください。

 

※動物病院は自由診療のため、医療費が高額になる可能性があります。
ペット保険に加入していなければ、全額を自己負担で支払わなければなりません。
万が一の備えとしてペット保険に加入しておくと安心です。
また保険選びで迷われている方は、ペット保険の保険料や条件を一括比較できる「人気ペット保険おすすめランキング」もご覧ください。

獣医師平松先生
この記事の監修者 平松 育子
獣医師・ペットライター。山口大学農学部獣医学科(現:共同獣医学部)卒業。2006年3月~2023年3月、有限会社ふくふく動物病院・取締役、院長。ジェネラリストですが、得意分野は皮膚疾患です。獣医師歴26年(2023年4月現在)の経験を活かしペットに関する情報をお届けします。

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