猫のてんかん発作の症状や原因、対処法

「もしかしたらうちの子、てんかんかも?」

愛猫が突然けいれんして、慌ててこの記事を見つけた飼い主さまも多いことでしょう。確かに激しい発作を見たときはびっくりして、不安になると思います。

しかし、知識を持っていれば、突然の発作にも冷静に正しく対処できるはずです。

そこでこの記事では、猫のてんかんについて以下の点を詳しく解説します。

 

【この記事でわかること】

  • 猫のてんかんの症状と前兆(軽度の発作動画あり)
  • 愛猫にてんかん発作が起きたときの対処法
  • てんかんになりやすい猫の特徴や年齢
  • 猫はてんかんになると死んでしまう?
  • 愛猫がてんかんか調べるための検査方法
  • てんかんの治療法や注意点、費用について(体験談あり)

 

【ペット保険比較のピクシー】では人気ペット保険おすすめランキングもご紹介しております。
まだペット保険に加入していない方、これから加入する方、保険の乗り換えを検討中の方は参考になさってください。

目次

猫のてんかん(癲癇)ってどんな病気?症状や頻度は?

猫のてんかんの症状や発作の頻度は?

てんかんとは、脳に異常が生じて起こる病気です。ただ、一口に「てんかん」といっても、症状や頻度は猫によって異なります。

まずは、症状について全般発作部分発作(焦点発作)の2つに分けて、詳しくみていきましょう。

 

全身に症状があらわれる「全般発作」

全般発作とは、全身に症状がみられる発作です。

具体的な症状は、以下のようなものがあります。

  • 全身のけいれん
  • 手足をつっぱって硬直する
  • 意識が朦朧としている
  • 意識がない
  • 口から泡をふく
  • 手足をバタつかせる
  • 排尿
  • 排便

通常であれば発作は5分以内に終わりますが、発作後ぼーっとしたり、または興奮している状態が数日続いたりすることもあります。

 

体の一部分に症状があらわれる「部分発作(焦点発作)」

部分(焦点)発作とは、体の一部に症状がみられる発作です。

具体的な症状は、以下のようなものがあります。

  • 口をカチカチさせる
  • まぶたや顔のけいれん
  • よだれがダラダラと出る
  • 異常な様子で鳴く
  • 一点を見つめる

部分発作の場合、発見が難しい症状もありますが、少しでも違和感を感じたら動物病院を受診してください。

 

また、どちらの発作も起こる頻度には個体差があります

発作は1回きりでその後出ないケースもありますが、てんかんの疑いがある場合は、これまで紹介した症状が出ていないか常に注意しておきましょう。

ペット保険比較のピクシーにはペット保険についての記事も多数ございますので、安心して保険をお選びいただけます。
保険選びで迷われている方は、保険料補償割合などの条件を一括比較できる「人気ペット保険おすすめランキング」も参考にされてください。

【動画あり】猫のてんかんの前兆や初期症状は?

発作は、前兆なく突然起こるケースと、飼い主さまにわかりにくい前兆があらわれているケースがあります。

具体的には、次のような行動です。

  • 普段より多く水を飲む
  • 走り回る
  • 過剰にグルーミングをする
  • 食欲が増す

若い猫や普段から元気いっぱいの猫の場合、上記のような行動があらわれても「てんかんの前兆」だと気付けないかもしれません。

ただし、愛猫のてんかんの前兆となる行動を把握しておけば、最初は難しくても2回目以降のてんかん発作には対応できるはずです。

 

てんかん発作を起こした時は、前後の状況も含めて詳しくメモしておくことをおすすめします。

【飼い主さまの体験談】

「部分発作」と「全般発作」が混ざったような症状

我が家の愛猫は以下のような症状がありました。

  • 一点を見つめ意思とは関係なく顔が左に向いていく
  • 香箱座りのまま目を黒くして動かなくなる
  • 足をつっぱったようにあげる
  • 発作が落ち着いた後に嘔吐する
  • 直前にいつもと違う鳴き方をする

また前兆なのかはわかりませんが、発作が起きる日は心なしか落ち着きがなかったり、眠れていないように感じることが多かったです。

次の動画は、実際の愛猫の発作の症状です。激しいけいれんはありませんが、閲覧の際はご注意ください。

猫のてんかん発作が起きたらどうすればいい?対応は?

愛猫が突然目の前でけいれんしたら、心配になってすぐに抱きかかえたくなるかもしれません。

しかし、発作中に愛猫を抱きしめる行為は、お互いがケガをしてしまう可能性があるので危険です。体をゆすったり、大きな声を出したりするのもよくありません

 

まずは落ち着いて、次のように対応しましょう。

  1. 愛猫を安全なスペースに移動させる
  2. 体をぶつけないようにクッションでガードする
  3. 動画を撮る

より正確かつスピーディな診断をしてもらうために、動画を撮って獣医師にみせるのが最適です。

動画を撮る余裕がない場合は、以下の質問に答えられるようにしてから動物病院を受診すると良いでしょう。

  • 発作が続いた時間は?
  • 睡眠や食事、運動で何かいつもとは違うことがあった?
  • 何かストレスになる出来事はあった?
  • 何か拾い食いをした?
  • 過去に大きな病気や事故にあった?
  • 発作中、意識はあった?

猫がてんかんになる原因は?

猫のてんかんの原因

猫のてんかんの原因は、構造的(症候性)てんかん特発性てんかんの大きく2つに分類されます。

猫の場合は多くが構造的とされていますが、具体的にどのようなものが原因なのか簡単にみていきましょう。

 

検査で原因がわかる「構造的(症候性)てんかん」

構造的(症候性)てんかんは、構造的な異常が検査によってわかるてんかんです。

具体的には、次のようなものが原因で起こります。

  • 脳腫瘍
  • クリプトコッカス、猫免疫不全ウイルス(FIV)などの感染症
  • 外傷による脳の損傷
  • 脳卒中や水頭症などの脳の病気
  • 毒素/毒物
  • 糖尿病や肝臓、腎臓の病気などの代謝性疾患

猫は構造的てんかんが多いことから、さまざまな検査を行い、原因を特定していきます。

 

異常が見つからない「特発性てんかん」

一方、特発性てんかんは、上記のような具体的な原因がないてんかんです。

犬や人のてんかんと同様に、遺伝によるものと考えられていますが、明確にはわかっていません。

ちなみに、以下のことがきっかけで発作が引き起こされる場合もあります。

  • 興奮したとき
  • ストレスをうけたとき
  • 強い光
  • 大きな音
  • 気圧の変化

原因を特定するのが難しい分、できるだけきっかけとなるものを把握し、対策しましょう。

高齢猫は注意?てんかんになりやすい年齢や猫の特徴

てんかんは猫種に関係なく発症しますが、比較的若いうちに発症することが多いとされています。

高齢の猫の場合、行える検査が限られてくるため、少しでも異変を感じたら適切な対応ができるように備えておきましょう。

また、構造的(症候性)てんかんの原因となる病気を抱えている猫、あるいは刺激やストレスに敏感に反応する猫は、てんかんになりやすいといえるかもしれません。

そのため、猫と暮らす飼い主さま全員が正しい知識を持ち、適切に対処できるよう心がけていきたい病気です。

猫のてんかんは寿命に影響する?死亡することもある?

てんかんが直接の原因となって、死に至ることはありません

適切な治療をすれば、寿命を全うできることも多いでしょう。

しかし、次のような発作は脳へのダメージが大きく命にかかわることもあるので、すぐに獣医師に相談してください。

  • 1回の発作が5分以上続く(重責発作)
  • 短い発作が意識の戻らないうちに繰り返し起こる(重積発作)
  • 24時間以内に2回以上発作が起きる(群発発作)

また発作が原因で頭をぶつけた、高い所から落下したなど、間接的に命にかかわる場合もあるので注意しましょう。

猫のてんかんはどんな検査で診断される?費用は?

猫がてんかんと診断される検査と費用

検査では、まずてんかん以外の病気による発作かどうかを調べます。

次のような検査の中から、獣医師が必要だと判断したものが実施されます。

  • レントゲン検査
  • 血液検査
  • 神経学的検査
  • MRI検査
  • PET-CT検査
  • 脳波検査

検査費用は、内容や動物病院によっても異なりますが、5,000~50,000円程度です。

では、それぞれの検査について簡単に説明していきます。

 

レントゲン検査

レントゲン検査とは、X線を使った検査です。

胸部や腹部の臓器を撮影することで、発作を引き起こすてんかん以外の病気の可能性を除外していきます

 

血液検査

血液検査は、以下のようなてんかんに似た症状を起こす病気の可能性を除外するために行われます。

  • 腎不全
  • 肝機能の異常
  • 低血糖
  • 低カルシウム血症
  • 中毒

 

神経学的検査

神経学的検査とは、脳や神経の機能を調べる検査です。

具体的には、次のような検査を行います。

  • 意識レベル
  • 姿勢反応
  • 脊髄反射検査
  • 知覚や排尿機能の評価

 

MRI検査

MRI検査とは、強力な磁場を利用して臓器を撮影する検査です。構造的てんかんの場合に臓器の異常が発見されます。

猫が動くと正確に検査できないので、全身麻酔が必要です。

 

PET-CT検査

PET-CT検査とは体内に薬剤を投与して、特殊なカメラで撮影する検査です。癌(がん)を発見するのに適しています。

MRI検査と同様に、全身麻酔が必要です。

 

脳波検査

脳波検査とは、電極を頭に乗せて行う検査です。

発作がおさまっているときに検査をしても、異常な脳波を確認できないことがあります。

鎮静状態、または全身麻酔下で行います。

【体験談あり】猫のてんかんは治る?治療法や費用は?

猫のてんかんの治療法や費用

結論からお伝えすると、てんかんは完治させるのが難しい病気です。

この章では、一般的な治療法と費用についてみていきましょう。

 

投薬(薬物療法)で症状を抑える

構造的てんかんの場合は原因となっている病気の治療を行います。

原因がわからない特発性てんかんは、発作の回数を減らし、重症化を防ぐことを目的に薬物療法(内科的治療)を行います。

 

薬の費用は、薬の種類や猫の体重、処方量によっても異なりますが、1か月3,000~6,000円が相場です。

さらに、適切な投薬量を決めるため、定期的な血液検査が必要になります。

 

一般的には、次のような薬が処方されます。

  • フェノバルビタール
  • ゾニサミド
  • ジアゼパム

基本的には、一生薬でコントロールしていく病気です。

検査や内服薬にかかる費用は、ペット保険に加入していれば抑えられることがあります。

【飼い主さまの体験談】

毎月かかる治療費にペット保険の重要性を感じました

愛猫は、尿検査・レントゲン・血液検査で異常が見つからなかったため、投薬治療で様子を見ることになりました。

MRIや脳波検査も検討しましたが、初めての発作が12歳で高齢ということもあり、全身麻酔をしない検査だけ行いました。

それでも一回の診療費に20,000円前後かかったので、ペット保険の重要性を強く感じました。(点滴や内服薬も含んだ合計費用)

てんかんが補償対象となるペット保険については、下記をご覧ください。発症してからでは加入できないこともあるため、早めの加入を検討しましょう。

 

猫の抗てんかん剤による副作用は?

抗てんかん剤には、脳の活動を抑える作用があるため、次のような副作用がみられるケースがあります

  • ふらつく
  • ぼーっとする
  • 元気がない
  • 食欲増進
  • 多飲多尿

とはいえ、処方される薬によって副作用はさまざまです。

不安にならないためにも、事前に薬の副作用を聞いておくと良いでしょう。

 

猫の抗てんかん剤で注意することは?

猫の抗てんかん剤で注意してほしいことは、投薬時間や投薬量を守ることです。

てんかんが治ったように見えても、飼い主さまの判断で投薬を中止することは絶対にやめてください

【飼い主さまの体験談】

正しい投薬で2年間発作がありません

我が家の場合、毎日朝と夜に粉薬を飲ませています。錠剤は飲んでくれないため、濡らした指先に薬をつけ、唇の間から投与する形であげています。

初めての発作から2年後に再び発作が起きたので、病院の先生に相談し薬の量を増やしました。それ以来2年間発作はなく、毎日穏やかに過ごせています。

猫のてんかんや発作は予防できる?

猫のてんかん発作は予防できる?

猫のてんかんには、確立された予防法はありません。そのため、発作を起こさせないように工夫する必要があります。

たとえば、以下のような発作を誘発する状況を作らないことが有効です。

  • 遊びはほどほどにする
  • 穏やかに生活する
  • 完全室内飼育

また、構造的てんかんの原因となる病気を予防すれば、てんかんの予防にもつながります。

人間では、MCTオイルがてんかん発作の改善に役立つという研究結果が報告されています。

気になった方は、獣医師に相談したうえで試してみると良いかもしれません

まとめ│完治は難しいため、獣医師と相談をして薬でコントロールを

この記事では、猫のてんかんについて紹介しました。

最後にもう1度、この記事のポイントをおさらいします。

  • てんかんの症状や原因、治療法はさまざま
  • 発作が起きたら騒がず、安全を確保する
  • 症状を正確に伝えるために動画やメモをとる
  • 薬で症状を抑える場合は薬の量や時間をかならず守る

てんかんは死に直結する病気ではありませんが、治療が長くなるケースがほとんどです。

普段から愛猫の様子を観察し、少しでも異常があれば動物病院を受診しましょう。

 

【ペット保険比較のピクシー】では、ペットと飼い主さまのためになるお役立ち情報を日々発信しております。
また保険選びで迷われている方は、保険料補償割合などの条件を一括比較できる「人気ペット保険おすすめランキング」もご覧ください。

この記事の監修者 ペット保険比較のピクシー編集部
ペット保険の専門家であるメンバーがコラムを監修しています。少額短期保険募集人、損害保険募集人、ファイナンシャルプランナー、愛玩動物飼養管理士などの数多くの資格を保有。犬や猫などの動物が大好きで、飼育歴は10年以上です。知識や経験を活かして、さまざまなお役立ち情報をお届けします。

この情報をシェアする

【ペット保険比較】10秒でカンタン比較