猫の皮膚に「できもの」や「腫瘤」ができたり、嘔吐や下痢などの症状がみられたりした場合には、肥満細胞腫と呼ばれる腫瘍が隠れているかもしれません。
猫の肥満細胞腫は、皮膚や内臓、消化管など体の至るところにできる悪性の腫瘍であり、適切な治療が必要となります。
本記事では、猫の肥満細胞腫について以下の点を中心に解説していきます。
・猫の肥満細胞腫とは
・症状、原因、診断、治療法
・余命や予防方法
猫の肥満細胞腫について詳しく理解して、適切な治療方法を選んであげるためにもぜひ最後までお読みください。
【ペット保険比較のピクシー】では人気ペット保険おすすめランキングもご紹介しております。
まだペット保険に加入していない方、これから加入する方、保険の乗り換えを検討中の方は参考にされてください。
猫の肥満細胞腫という病気
肥満細胞腫は、猫の腫瘍の中でも約2〜15%を占める悪性腫瘍です。
肥満細胞腫の中には、皮膚に腫瘤ができる場合や、内臓や消化管に腫瘍が発生する場合などさまざまな種類があります。
悪性度は高くないが、猫の肥満細胞腫の中には少なからず転移や多発を引き起こすものもあるので注意が必要です。
症状や治療法も腫瘍ができる場所や悪性度により変化するため、肥満細胞腫が発生している個体に合わせて適切な対処を行っていく必要があります。
ペット保険比較のピクシーにはペット保険についての記事も多数ございますので、安心して保険をお選びいただけます。
保険選びで迷われている方は、保険料や補償割合などの条件を一括比較できる「人気ペット保険おすすめランキング」も参考にされてください。
肥満細胞腫の分類
肥満細胞腫は大きく以下の3種類に分類されます。
・皮膚型
・内臓型
・消化管型
多くの肥満細胞腫は皮膚型であることが多いのですが、中には、内臓や消化管に発生することもあるため体調の変化には要注意です。
それぞれについて詳しく解説していきます。
皮膚型肥満細胞腫
皮膚型の肥満細胞腫は、猫の皮膚にできる腫瘍の20%を占めます。
そのため、皮膚に腫瘤ができた場合には要注意です。
腫瘤は顔や耳、首元などに発生することが多いのですが、体のどこにでもできる可能性があるため、普段から皮膚の状態をこまめにチェックしましょう。
皮膚の腫瘤以外に、症状がみられることはあまりないため、なかなか気づかないこともあります。
進行すると、脾臓などの内臓にも転移する可能性があるので早期発見・治療ができるように定期的な健康診断を行うようにしてください。
脾臓型(内蔵型)肥満細胞腫
猫の肥満細胞腫は、内臓にも発生する場合があり、特に脾臓に発生する肥満細胞腫が多くあります。
皮膚型の肥満細胞腫の約18%は、内臓への転移がみられたという報告があるため、内臓に転移していないかどうかチェックしなければなりません。
内臓型の肥満細胞腫の場合にも症状があまりないことが多いので、早期発見のため、定期的にレントゲンやエコーなどの画像診断を含めた健康診断を行うことが大切です。
消化器型肥満細胞腫
猫の肥満細胞腫は消化管にも発生することがあり、これを消化管型肥満細胞腫と呼びます。
消化管型肥満細胞腫は、猫の腸の腫瘍としては3番目に多い腫瘍です。
消化管にできる肥満細胞腫は下痢や嘔吐などの症状がみられることが多く、リンパ節に転移することもあるため、予後はあまり良くないと報告されています。
嘔吐や下痢などの症状が増えてきた場合には、早めに動物病院を受診するようにしましょう。
猫の肥満細胞腫の症状
猫の肥満細胞腫の症状は、発生する場所や悪性度によりさまざまですが、以下のような症状がみられることがあります。
・皮膚に腫瘤ができる
・脱毛
・痒み
・浮腫
・食欲不振
・嘔吐
・体重減少
・胃潰瘍
・血圧の低下
よくみられる症状としては、皮膚型の肥満細胞腫では、皮膚に腫瘤ができる場合が多いです。
また、内臓型や消化管型肥満細胞腫では、胃潰瘍や嘔吐がみられます。
悪性度が高い場合だと血圧の低下を引き起こしショック症状に至った後、命を落とすこともあるので注意が必要です。
猫の肥満細胞腫の原因となるのは?
体の中でアレルギーやアナフィラキシーの反応で重要な役割を果たす肥満細胞が腫瘍化することによって肥満細胞腫になります。
なぜ肥満細胞が腫瘍化するかについては、明確にはわかっていない部分も多いですが、好発猫腫であるシャム猫では遺伝的要因が関与しているのではないかと考えられています。
肥満細胞腫になりやすい猫種や特徴
肥満細胞腫は、10歳を超えた高齢猫にみられることが多いです。
しかし、肥満細胞腫が好発猫種であるシャム猫では、4歳以下でも肥満細胞腫がみられることがあります。
10歳以上の猫やシャム猫の飼い主さまは、日頃から注意深く皮膚の状態や体調を観察するようにしましょう。
肥満細胞腫の検査や診断法
肥満細胞腫の検査・診断方法は、以下の通りです。
・細胞診
・生体検査(病理組織学的検査)
・血液検査
・画像検査
それぞれについて解説していきます。
細胞診
皮膚に腫瘤がある場合には、細胞診を行います。
基本的に鎮静や麻酔の必要がなく、30分程度で診断できるでしょう。
細胞診にて肥満細胞が検出された場合には、悪性度の判定のため次章で解説する生体検査が必要になります。
生体検査(病理組織学的検査)
生体検査では、麻酔をかけて肥満細胞腫を摘出します。摘出した腫瘍は悪性度を把握するため、病理組織学的検査が必要です。
病理組織学的検査にて、悪性度や腫瘍の浸潤具合を見極めて、抗がん剤や放射線治療の必要性を判断していきます。
血液検査
血液検査を行い、血液中に肥満細胞がみられるかどうかを観察します。
もし、血液中に肥満細胞がみられた場合には、腫瘍が骨髄にまで転移している可能性も考えられます。
骨髄生検を行う必要があるか判断できるので、治療方針を決めるためにも重要な検査です。
画像検査
レントゲンやエコー検査などの画像検査は、内臓や腹腔内のリンパ節の状態を把握するために重要です。
皮膚型の肥満細胞腫でも一定数は脾臓などの内臓に転移していることが考えられるので、転移の有無を確認するためにも必要な検査となります。
猫の肥満細胞腫の治療法とは?
猫の肥満細胞腫の治療方法は以下の通りです。
・外科手術
・抗がん剤
・放射線治療
・その他の治療法
基本的には、外科手術で腫瘍を摘出しますが、悪性度や転移の有無によって治療方法は変わってきます。
それぞれについて解説していきます。
外科手術
細胞診や画像診断などで肥満細胞腫が強く疑われる場合には、外科手術を行い病変部を摘出します。
皮膚型の肥満細胞腫では、皮膚の腫瘍が形成された部分を摘出しなければなりません。内臓型や消化器型の肥満細胞腫では、脾臓を摘出したり消化管の一部を切除したりする必要があります。
また、肥満細胞腫が体のあちこちに多発している場合には、手術を行う箇所も増えてしまうでしょう。
外科手術を行い摘出した組織は、病理診断を行い悪性度や腫瘍がきちんと取りきれているかどうかを判断していきます。
抗がん剤
外科手術後に病理診断を行い、悪性度が高い場合や転移が認められる場合や腫瘍が周りに広がり大きく取りきれなかった場合などには、抗がん剤を使用することがあります。
しかし、抗がん剤は正常細胞にも障害を与えてしまうため、副作用が強く出る可能性があることがデメリットとして挙げられるでしょう。
飼い主さまは副作用を考慮して抗がん剤治療を行うかどうかを判断してあげてください。
放射線治療
外科手術を行ったが、腫瘍が広がっており取りきれなかった場合には、放射線治療を行います。
病変部に放射線を照射して、腫瘍細胞を破壊していきますが、正常細胞にも障害を与えてしまうことがあるので注意が必要です。
また、放射線治療を行える施設が少ない点もデメリットとして挙げられます。
その他の治療法
肥満細胞腫の治療では、分子標的薬と呼ばれる、腫瘍細胞のみを狙い撃ちにすることで副作用を抑えることができる薬を使用することもあります。
また、激しい炎症が起こっている場合には、炎症を鎮めるためにステロイドの使用も考えなければなりません。
肥満細胞腫の治療費用
猫の肥満細胞腫の治療費例を以下の表にまとめています。
治療費用例はあくまで目安となります。
診察・治療内容 | 治療費例 |
診察料 | 750円 |
血液検査 | 6,250円 |
細胞診検査 | 750円 |
レントゲン検査 | 4,000円 |
エコー検査 | 4,000円 |
静脈点滴 | 4,000円 |
手術 | 22,500円 |
麻酔代 | 11,250円 |
放射線治療 | 35,000円 |
組織学的検査 | 8750円 |
入院 | 7,500円(3日あたり) |
肥満細胞腫の悪性度や発生する場所により治療方針は変わってきますので、かかりつけの獣医師と相談し適切な治療を行ってあげましょう。
猫の肥満細胞腫は自然治癒する?
猫の肥満細胞腫が自然治癒することはありません。
そのまま放置すると、悪性度が高まったり、転移を起こしたりすることがあるので早期の治療介入が必要です。
悪性度が低い段階で早期に手術で切除できると、予後は良好であることが多いので早めの受診をおすすめします。
肥満脂肪腫になったら余命はどれくらい?
皮膚型の肥満細胞腫の場合、転移がなければ予後は良好なことが多く、手術で取り切ることができると健康な子と同様に長生きできます。
しかし、内臓型や消化管型の肥満細胞腫の場合には悪性度により、予後はさまざまです。
消化管型肥満細胞腫は、予後を表す中央生存期間は518日であり、悪性度によっては、3ヶ月以内に死亡することもあると報告されているので早期発見・治療を行わなければなりません。
猫の肥満細胞腫の予防法はある?
猫の肥満細胞腫は原因が定かではないので、予防することは難しいでしょう。
しかし、早期発見・治療を行うことで予後は良好になることも多いです。
飼い主さまは、日常的に皮膚の状態や体調を把握して何か異変がある場合には早めに動物病院へ連れていくようにしてください。
まとめ
ここまで、猫の肥満細胞腫について解説してきました。
・猫の肥満細胞腫は皮膚型・内臓型・消化管型の3つ
・症状は、皮膚の腫瘤、嘔吐、下痢などさまざま
・診断には、細胞診や生体検査が有効
・治療内容は、悪性度や転移の有無によって異なる
・予防方法はないが、早期発見・治療が大切
猫の肥満細胞腫は、発生する部位や症状、悪性度などさまざま考えられます。
腫瘍の大きさや転移の有無などによっても治療方針は変わってきますので、かかりつけの獣医師さんと相談して最適な治療方針を選んであげましょう。
※動物病院は自由診療のため、医療費が高額になる可能性があります。
ペット保険に加入していなければ、全額を自己負担で支払わなければなりません。
万が一の備えとしてペット保険に加入しておくと安心です。
また保険選びで迷われている方は、ペット保険の保険料や条件を一括比較できる「人気ペット保険おすすめランキング」もご覧ください。
- イヌ
- ネコ
- 血統種
- ミックス
-
- 0歳
- 1歳
- 2歳
- 3歳
- 4歳
- 5歳
- 6歳
- 7歳
- 8歳
- 9歳
- 10歳
- 11歳
- 12歳
- 13歳
- 14歳
- 15歳
- 16歳
-
- トイ・プードル
- 秋田
- ウェルシュ・コーギー・ペンブローク
- キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
- ゴールデン・レトリーバー
- シー・ズー
- 柴(小柴・豆柴も含む)
- ジャック・ラッセル・テリア
- チワワ
- パグ
- パピヨン
- ビーグル
- フレンチ・ブルドッグ
- ボーダー・コリー
- ポメラニアン
- マルチーズ
- ミニチュア・シュナウザー
- ミニチュア・ダックスフンド
- ミニチュア・ピンシャー
- ヨークシャー・テリア
- ラブラドール・レトリーバー
- その他犬種
- 6kg 未満
- 6kg以上 8kg未満
- 8kg以上 10kg未満
- 10kg以上 12kg未満
- 12kg以上 16kg未満
- 16kg以上 18kg未満
- 18kg以上 20kg未満
- 20kg以上 25kg未満
- 25kg以上 30kg未満
- 30kg以上 32kg未満
- 32kg以上 40kg未満
- 40kg以上 45kg未満
- 45kg以上