猫の後ろ足に力が入らず歩き方がおかしいといった異変の原因は、老化によるものだけでなく、ケガや病気などさまざまな原因が考えられます。命にかかわるケースもあるため、異変に気づいたらすぐに動物病院を受診してください。
この記事では、猫の後ろ足に異変があるときの具体的な症状を紹介したうえで、その原因や対処法について解説します。
猫の後ろ足の異変について詳しく知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
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猫の後ろ足や歩き方に異変がある?
後ろ足の様子がいつもと違う、歩き方がおかしいといった愛猫の異変に、ある日突然気づくことがあるかもしれません。
この章で紹介している異変が猫にみられた場合はそのまま放置せず、できるだけ早く獣医師に診せてください。
後ろ足に力が入らない
猫が後ろ足に力が入らず、足が滑って立ち上がれなくなることがあります。高齢の猫であれば、筋力の低下や関節炎などが原因とも考えられますが、病気やケガが原因である場合が多いでしょう。
後ろ足を引きずっている
猫が後ろ足を引きずる、または、かばうように歩くといった仕草をみせることがあります。様子がおかしい足を触って痛がらないか、腫れていたり熱を持っていたりする箇所がないかをチェックしましょう。
歩くときにふらつく
猫が歩くときによろけたり、ふらついたりすることもあります。この場合は、尿毒症や熱中症などの病気が原因の可能性が高いため要注意です。
まっすぐ歩けない
まっすぐ歩けず、いつもと違う歩き方をしていたら、脳や神経に異常がある可能性があります。ほかにも、ビタミン欠乏症になっているケースもあります。
かかとをつけて歩く
猫がかかとを床につけてペタペタと変な歩き方をしていたら、糖尿病による「糖尿病性神経障害」が起きているかもしれません。ほかにも、ジャンプできない、水をよく飲む症状がみられたら、早めの対処が必要です。
足裏をつけずに歩く
足の裏を床につけずにケンケンをするような歩き方をしていたら、足の裏をケガしている、またはトゲが刺さっている可能性があります。このほかにも、骨折や脱臼の可能性もあるため、まずは足の裏をよく観察しましょう。
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猫の後ろ足がおかしいときの原因
猫の後ろ足がおかしいときは、ケガや病気が原因であることがほとんどですが、それ以外にもさまざまな原因が考えられます。そのため、足の異常だけでなく、猫の体調や健康を全体的にチェックすることが大切です。
ケガ
後ろ足の異変の原因としてまず考えられるのが、ケガです。ケガは見た目で判断できるため、比較的特定しやすい原因といえます。
骨折
高所からの落下や人に踏まれたことによる事故、骨の腫瘍などが原因で骨折することがあります。骨折を放置しておくと、骨が変形したまま固定されてしまうため注意が必要です。
捻挫
捻挫とは関節に強い力が加わることで、関節の周りの組織や靭帯が傷つくことです。
ジャンプに失敗して落下したり、ドアに挟まれたりして捻挫をすることがあります。捻挫が疑われる場合は、患部の熱や腫れをチェックしましょう。
脱臼
脱臼とは、骨をつないでいる筋肉や靭帯に力がかかり、関節が外れてしまうことです。脱臼の部位によっては、痛みのせいでトイレでの排泄ができなくなることもあります。
関節炎
関節炎の多くは、普段の生活で関節に負担がかかることが原因とされ、活発なタイプの猫や老猫でよくみられます。
また、遺伝的な要因で関節が変形したり腫れたりして痛みが出るケースもあります。
椎間板ヘルニア
椎間板ヘルニアとは、背骨のクッションの役割をしている椎間板が押し出されてしまった状態です。飛び出した椎間板が神経に当たって痛みを引き起こし、手足が麻痺して歩けなくなることもあります。
病気・その他
後ろ足の異変の原因が病気の場合は命にかかわる可能性もあるため、ケガの場合と比べて早期発見・早期治療が重要です。
脳疾患(脳腫瘍、脳炎など)
脳腫瘍や脳炎などが原因で、猫が歩く際にふらついてしまうことがあります。
脳腫瘍は脳にできるガンで、脳のどこに腫瘍ができるかによって症状が異なります。また、脳炎とは真菌・ウイルス・寄生虫などによって、脳が炎症を起こしてしまう病気です。
動脈血栓塞栓症
猫の心臓病の中でもよくみられる肥大型心筋症になると、血栓が血管に詰まる動脈血栓塞栓症を発症しやすくなります。血栓は後ろ足の血管に詰まることが多く血流が遮断されるため、後ろ足を痛がる、麻痺を起こすなどの症状が現れるのです。
神経疾患
神経系の病気はさまざまですが、例えば特発性多発神経根障害であれば、初期に後ろ足のしびれなどの症状がみられます。
そのほか感染性の神経系疾患には以下のものが挙げられます。
- 猫伝染性腹膜炎
- ネコ免疫不全ウイルス感染症
- トキソプラズマ症
重症筋無力症
重症筋無力症とは、神経からの信号が筋肉に伝わらず自由に筋肉を動かせなくなる病気です。猫ではまれな病気ですが、アビシニアンやソマリでは比較的発生率が高いといわれています。筋肉をうまく動かせないことから、疲れやすくなる、呼吸が早くなるといった症状が現れます。
寛解することが多いとされていますが、重症化することもあるため注意が必要です。
糖尿病
前の章でも少し説明しましたが、糖尿病を発症すると、後ろ足のかかとを床につけて変な歩き方をすることがあります。ほかにも、体重減少や多飲多尿のほか、元気がなくなり毛艶が悪くなるなどの症状もみられます。
熱中症
熱中症も猫がふらふら歩く原因の1つです。以下のような症状がみられたら熱中症を疑い、すぐに動物病院を受診してください。
- 体温が高い
- 息が荒い
- 嘔吐
- 目や口腔粘膜の充血
貧血
猫が貧血を起こすと、よろけたりふらついたりする以外にも元気がない、口腔粘膜が白っぽいなどの症状が現れます。なかでも病気や中毒が原因の貧血は、早急な対応が必要です。
形質細胞性足底皮膚炎
形質細胞性足底皮膚炎とは、猫の肉球が炎症を起こして腫れてしまう病気です。軽度であれば薬を使った内科的治療を行いますが、重症化すると外科的な手術が必要となる場合もあります。
白内障・緑内障
目の病気によって視界に異常が生じるために、うまく歩けなくなっている可能性も考えられます。
例えば白内障は、目の水晶体が白くなり、視力低下につながる病気です。また緑内障は、眼圧が上がり、重症化すると失明してしまう病気です。
中耳炎・内耳炎
平衡感覚をつかさどる耳が病気になることで、バランス感覚が乱れてふらついている可能性もあります。耳の病気は細菌感染が原因となることが多く、以下の症状がみられます。
- 頭を振る
- 耳を掻く
- 耳を後ろに倒す
- よだれが出る
後ろ足に異変が出やすい猫種とは?
これまで、猫の後ろ足に異変を生じさせる病気について解説しました。猫種によっては、上記の病気にかかりやすい猫がいます。
具体的には、以下の通りです。
- 膝蓋骨脱臼:アビシニアン、デボンレックス
- 椎間板ヘルニア:マンチカン、メインクーン
- 肥大型心筋症:メインクーン、ラグドール、アメリカンショートヘア
- 重症筋無力症:アビシニアン、ソマリ
- 白内障:シャム、バーマン、ヒマラヤン、ペルシャ
上記で示した猫種の飼い主さまは特に、普段から猫の歩き方に気をつけておくと良いでしょう。
猫の後ろ足に異変が起きたときの対処法
猫の後ろ足に異変が起きたとき、自宅でできる応急処置はほとんどありません。できるだけ早く、動物病院を受診してください。
病院に行く際は、足に負担をかけないようにタオルや毛布を入れたケージに猫を入れて連れて行くことをおすすめします。
病院では、後ろ足の異変についていつ頃・どのくらいの時間・どのような症状があったかをできるだけ詳しく伝えましょう。歩いている様子を動画で撮影しておくと、より正確に伝えることができます。
病院に連れて行くタイミングは?
後ろ足に起きている異変の原因を特定することは難しく、さまざまな検査が必要なケースもあります。軽度なケガであれば自然に治ることもありますが、何も対処しなければ治るまでの期間を長引かせてしまうでしょう。
そのため、後ろ足の異変が一時的なものだったとしても、1度は病院に連れて行くべきです。また、けいれんや息が荒い場合は命にかかわることもあるため、すぐに病院を受診してください。食欲不振、元気消失、下痢、嘔吐などの症状がある場合も、なるべく早めに受診しましょう。
猫の足を異変から守るための予防法
猫の足を異変から守る予防法は、異変を生じさせるケガや病気によって異なります。
予防できる病気はワクチンを接種することで、交通事故や感染症の予防には完全室内飼いをすることで、ある程度は猫を守ることができるでしょう。また、肥満は足の関節に大きな負担をかけ、多くの病気の原因となるため、適正体重の維持も予防の1つです。
それでも予防できない病気を早期発見するためには、定期的に健康診断を受けさせることをおすすめします。
まとめ
この記事では、猫の後ろ足に異変があるときの症状を紹介したうえで、その原因や対処法について解説しました。
最後に、この記事のポイントをまとめると以下の通りです。
- 猫の後ろ足に異変が生じる原因はさまざま
- 病気にかかりやすい猫種もいる
- 異変を見つけたらすぐに病院へ
猫の後ろ足に異変が生じる原因はさまざまで、完全に予防できる方法はありません。そのため、できることから1つずつ対処しておく必要があります。
もし異変が現れた場合は、猫の健康と命を守るためにも、すぐに動物病院を受診しましょう。
※動物病院は自由診療のため、医療費が高額になる可能性があります。
ペット保険に加入していなければ、全額を自己負担で支払わなければなりません。
万が一の備えとしてペット保険に加入しておくと安心です。
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