アビシニアンの病気と寿命

アビシニアンを飼おうと思っている方や、すでに飼われている方にとって、気になることの一つが愛猫の健康管理や病気ではないでしょうか。元気に長生きしてもらうためには、病気になった際にすぐに気づいて適切な治療を受けることが欠かせません。

 

アビシニアンがかかりやすい病気にはどのようなものがあるかを知っておくと、早期発見につなげられます。

 

そこで、この記事ではアビシニアンがかかりやすい病気の特徴やおもな症状、病気予防につながる飼育上のポイントなどについて解説します。

【この記事でわかること】

  • アビシニアンの性格や容姿、寿命
  • アビシニアンがかかりやすいおもな病気
  • アビシニアンを飼育する際のポイント
  • ペット保険の重要性

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目次

アビシニアンのおもな特徴と寿命

アビシニアンの特徴

アビシニアンは、どこかオリエンタルな雰囲気が漂うすらりとした体格の猫です。美しい毛色に大きな耳とアーモンド形の目が特徴的な愛らしい容姿をしており、高い人気を誇ります。

 

ここでは、アビシニアンに見られる性格の傾向や容姿の特徴、寿命などについて解説します。

 

性格|活発な甘えん坊

アビシニアンは人懐っこく、飼い主さまの後を追ったりすりすりしたりと甘えん坊な子が多い傾向にあります。性格は穏やかで、大きな声で鳴くこともあまりありません。とはいえ、好奇心旺盛で、高い所から飛び降りたり部屋の中を駆けまわったりと活発な側面もあります。

 

遊びを好み、寂しがりやなところもあるので、飼い主さまはなるべく時間を取って遊びコミュニケーションをはかってあげましょう。

 

温厚で甘えん坊なため、ペットとして飼いやすい猫種です。とはいえ、頭がよくいたずら好きなため、窓の隙間から脱走することもあります。猫にとって外は危険がいっぱいなので、出ないように注意しましょう。

 

毛色や体重|ソマリとの違いは毛の長さ

アビシニアンはすらっとして見えますが、意外に筋肉質でがっちりしています。体高は40~60cm、体重は3~5kgが一般的です。

 

毛色は、以下の4つが世界最大の猫血統登録団体「CFA」によって認められています。

  • ルディ(赤褐色)
  • フォーン(淡黄褐色)
  • ブルー(青みのある灰色)
  • レッド、ソレル(赤みのある明るい茶色)

アビシニアンは、1本の毛の中に色の濃淡があることが特徴です。これをティッキングといい、見る角度によって輝くように見える美しさをもちます。ダブルコートの短毛種のため、換毛期は抜け毛が多い点に注意しましょう。

 

なお、アビシニアンによく似た猫種にソマリがいますが、毛の長さが違います。ソマリはアビシニアンから突然変異的に生まれた長毛の子を元に作られました。そのため、ソマリはアビシニアンとよく似た容姿をしていますが、長くやわらかな毛をもつ点で異なります。

 

寿命

アニコム損保の調査によると、アビシニアンの平均寿命は14.5歳で、猫全体の平均寿命も同じく14.5歳でした。猫に合った環境で大きな問題なく過ごせれば、だいたい平均寿命まで生きられると考えてよいでしょう。

 

ただし、あくまで平均の数値のため、もっと長生きする子もいます。

出典:アニコム損保「家庭どうぶつ白書2024」

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アビシニアンがかかりやすい病気の症状や治療法

アビシニアンがかかりやすい病気

愛猫に長生きしてもらうためには、飼い主さまの健康管理が欠かせません。病気が疑われる兆候が見られたら、すみやかに動物病院を受診することが大切です。

 

そこで、ここではアビシニアンがかかりやすいとされる病気の症状やおもな治療法について解説します。病気の特徴を覚えておき、日ごろの観察に役立ててください。

 

アミロイドーシス

アミロイドと呼ばれる異常なたんぱく質が産生され、組織や細胞に沈着することで、さまざまな機能障害を招く病気です。猫全体で見ると多い病気ではないもの、アビシニアンでは遺伝的に発症率が高いとされています。また、炎症による刺激が原因で発症するともいわれています。

 

猫では腎臓や肝臓に沈着しやすく、発症によって見られるおもな症状は以下のとおりです。

  • 食欲がなくなり、体重が減る
  • 吐き気や下痢
  • 多飲多尿
  • 腹水や手足のむくみ
  • 黄疸
  • 貧血

腎臓に沈着した場合、似た症状が出る腎臓病と間違われ、発見が遅れることがあります。

 

アミロイドが臓器に沈着すると、回復できません。そのため、効果的な治療法がないのが実情です。早期発見につとめ、できるだけ軽度の段階で受診しましょう。

 

拡張型心筋症

心臓にある筋肉が薄くなり、ポンプ機能が低下して全身に十分な血液を送り出せなくなる病気です。

 

おもな症状は以下のとおりです。

  • 元気がない
  • 食欲がない
  • 疲れやすい
  • (悪化すると)急にぐったりする
  • (悪化すると)腹水がたまり苦しそうに呼吸する

元気や食欲がないなど、初期のころは目立った症状が出にくく、飼い主さまが気づかないうちに進行して重篤化するケースも少なくありません。定期検診を受けさせ、早期発見につとめることが大切です。

 

なお、拡張型心筋症はほかの猫種でも発生例はありますが、アビシニアンは遺伝的に多いとされます。ただし、タウリン不足が発症にかかわっていることが判明して市販のキャットフードに添加されるようになってからは、発症率は低下傾向にあります。

 

ピルビン酸キナーゼ欠損症

ピルビン酸キナーゼと呼ばれる酵素が遺伝的に欠損していることで起こる病気です。赤血球が壊れ、貧血を招きます。ほかの猫種でも発症することはあるものの、アビシニアンやソマリなどでよく見られます。

 

おもな症状は以下のとおりです。

  • 元気がない
  • 食欲がない
  • 口の粘膜が白っぽい
  • 毛艶が悪い
  • 黄疸が出る

軽症の場合、猫の体が貧血の状態に慣れてしまい、症状があらわれないこともあります。

 

遺伝性の疾患のため、予防法はなく、これといった治療法もありません。軽症の場合は、運動を控えます。重度の場合は、手術で脾臓を摘出したり輸血をおこなったりするケースもあります。

 

進行性網膜萎縮

網膜の視細胞に変性や萎縮が起こる遺伝性疾患で、徐々に進行してやがて失明します。猫にあまり見られない病気ではあるものの、アビシニアンやペルシャなどで発症例があります。

 

発症した際に見られるおもな症状は以下のとおりです。

  • 暗い所で見えにくくなり、暗闇を怖がったり音に敏感になったりする
  • だんだん日中にも見えなくなり、高い所を避けたり物にぶつかったりする

効果的な予防法や治療法はありません。飼い主さまが生活環境を整え、視力を失っても変わらず暮らせるようにすることが大切です。なるべく愛猫が失明するまで環境を変えないようにしましょう。危ない場所には入らないようにする工夫も必要です。そうすることで、視力がなくても優れた嗅覚・触覚でカバーして日常生活を送ることができます。

 

重症無筋力症

神経から出された指令が筋肉側でうまく受け取れず、体を動かせなくなる病気です。生まれつき神経伝達物質「アセチルコリン」を受け取る受容体が少ないケースと、自己抗体によって受容体を破壊することで後天的に発症するケースに分かれます。一般に、猫ではあまり見られないものの、アビシニアンやソマリには比較的多い病気です。

 

発症すると、以下のような症状が見られます。

  • ふらふらした歩き方になる
  • すぐに座り込む
  • 眠そうな症状になる
  • 食事や呼吸がうまくできなくなる

治療は薬物療法が中心です。アセチルコリンを分解する働きがある酵素を抑制する抗コリンエステラーゼ薬や、免疫抑制剤の投与をおこないます。腫瘍が原因の場合は、切除手術を選択することもあります。

 

猫伝染性腹膜炎(FIP)

猫コロナウイルスが体内で変性を起こすことで起こる病気です。猫コロナウイルス自体は猫の多くが体内に保有しており、病原性が低いためあまり問題はありません。ところが、ウイルスが突然変異を起こしてFIPウイルスになると猫伝染性腹膜炎(FIP)を発症します。

 

FIPには以下の2つのタイプがあります。

  • 腹水や胸水がたまるウエット型:おもな症状は元気喪失、微熱、腹水や胸水など
  • 臓器にしこりができるドライ型:おもな症状は元気・食欲喪失、黄疸、眼振、神経症状など

最近までは有効な治療法がなく、致死率100%とされてきました。しかし、近年では海外で治療薬が出ています。日本では未承認のため獣医師が海外から輸入する必要があり、どう扱うかは動物病院の方針によってさまざまです。治療薬の投与を希望するときは、動物病院に相談しましょう。

病気予防につながるアビシニアンの飼育ポイント

アビシニアンの飼育ポイント

愛猫が健やかに育つためには、飼育にあたっていくつか注意すべき点があります。ここでは、病気予防につながる飼育のポイントについて解説します。

 

大切なアビシニアンが元気で過ごせるように、注意点を知っておきましょう。

 

適切な飼育環境の整備

まず大切なことは、適切な飼育環境を整えることです。アビシニアンを飼ううえでとくに注意したいのが、部屋の温度調節です。寒さに弱いため、気温が下がる季節は暖房を入れ、快適な暖かさを維持しましょう。お気に入りの場所の近くにタオルや毛布を置いておき、愛猫が自由に暖を取れるようにするのもおすすめです。

 

夏は室内の気温が高くなりすぎないように冷房を入れます。気温が下がりすぎて寒くならないように注意し、涼しく快適な気温を維持しましょう。

 

また、活発で運動好きな性格のため、動き回れる広さを確保することも欠かせません。高い場所を上ったり下りたりすることも好むため、キャットタワーやキャットウォークなどを設置しましょう。

 

アビシニアンに限らず、猫は一般に狭くて見えにくい場所が好きなので、おもちゃのトンネルなど隠れる場所を作ることも大切です。

 

食事と水分補給の管理

すらりとした体格が特徴的なアビシニアンですが、食事管理をきちんとしなければ、肥満体型になるおそれがあります。肥満はさまざまな病気の原因となりうるため、防止するためにも成長にあわせて質の良いキャットフードを適量与えるようにしましょう。

 

また、清潔な飲み水を用意することも大切です。水飲み場はたくさん設置し、いつでもどこでも水が飲める環境を整えます。水は毎日取り換え、その際は容器をしっかり洗いましょう。

 

なお、猫には排泄場所から離れた所で食事を取る習性があります。そのため、猫のトイレは食事する場所からはなるべく離して設置してください。

 

適度な運動

甘えん坊な気質で遊ぶもことが好きなので、毎日少しでも遊びの時間を確保し、適度な運動をさせることも大切です。猫じゃらしやボールなど愛猫が好きなおもちゃを用意し、遊びましょう。

 

なお、猫によって好む遊びは異なります。最初はいろいろなおもちゃをそろえ、愛猫がどういった遊びを好むかを判断するのがおすすめです。また、同じおもちゃばかりだと飽きるため、複数を用意して日によって違うもので遊ぶのもよいでしょう。

 

遊んでいるときに「動きにおかしなところがないか」「ふらついていないか」など、普段と違う様子がないか観察すると、病気の早期発見につながります。

 

必要なケア

愛猫が元気に過ごせるようにするためには、毎日のお手入れも欠かせません。ブラッシングやデンタルケアなど必要なケアをおこないましょう。

 

アビシニアンは短毛種のため、ブラッシングは1日1回でかまいません。飼い主さまとの良いコミュニケーションの機会にもなるため、毎日短時間でもブラッシングの時間を取りましょう。このとき、皮膚炎などおかしなところはないか、触ると嫌がる部位はないかなども観察しておきます。

 

デンタルケアは、猫用の小さな歯ブラシやデンタルグローブなどを使って、愛猫の歯をそっと磨きましょう。成長してからデンタルケアを始めても嫌がって触らせてくれないことが多いため、幼いうちから慣れさせることが大切です。

 

定期健康診断の実施

アビシニアンは遺伝性の疾患がいくつかあり、そのなかには予防や完治が難しいものも少なくありません。症状がわかりづらく、気づいたときにはかなり進行していたといった事態を避けるためにも、動物病院で定期的に健康診断を受けましょう。

 

若い猫は年に1回、シニア猫は半年に1回のペースで検診を受けるのが理想です。また、ワクチンも1年に1回のペースで接種しましょう。ある程度の費用はかかりますが、定期健診やワクチン接種によって愛猫の病気を早期発見したり予防したりできれば、発病して高額な治療費がかかる場合に比べ節約になります。

ペット保険の重要性|アビシニアンの病気に備えよう

アビシニアンの保険

アビシニアンに限らず、猫を飼い始めたらペット保険への加入を検討するのがおすすめです。猫には人間のような公的な健康保険制度がないため、病気になって治療を始めると、全額自己負担となります。治療費の総額が数万円から数十万円かかることも珍しくありません。

 

新規加入は7歳~12歳程度までと年齢制限を設けているケースも多くあります。愛猫が若く健康なうちに、加入を検討するとよいでしょう。

 

ペット保険はたくさんあるため、選ぶ際は以下のポイントなどをチェックします。

  • 通院補償がついているか?
  • 保険金の請求方法は簡単か?
  • 高齢期の保険料が大きく上がらないか?

なお、ペット保険ではワクチンや健診の費用などは補償の対象外となるので、注意してください。

まとめ|適切な飼育でアビシニアンの病気を予防しよう

アビシニアンはすらっとした体格が特徴的な美しい毛と大きな瞳をもつ猫です。容姿や甘えん坊な性格に魅了されている飼い主さまも多いでしょう。

 

アミロイドーシスやピルビン酸キナーゼ欠損症といった遺伝性の疾患があるため、飼育の際は早期発見・早期治療につとめることが大切です。快適に暮らせる環境を整え、日常のお世話をし、たくさん遊びながら、いつもと違った様子はないかしっかり観察するようにしましょう。定期的に健診を受けることも大切です。

 

猫が病気になったときは、一般に高額な治療費がかかります。金銭的負担を心配せず十分な治療を受けさせてあげられるよう、ペット保険の加入も検討しましょう。

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この記事の監修者 ペット保険比較のピクシー編集部
ペット保険の専門家であるメンバーがコラムを監修しています。少額短期保険募集人、損害保険募集人、ファイナンシャルプランナー、愛玩動物飼養管理士、いぬ検定、ペット防災指導員などの数多くの資格を保有。犬や猫などの動物が大好きで、飼育歴は10年以上です。知識や経験を活かして、さまざまなお役立ち情報をお届けします。

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