スコティッシュフォールドの寿命と特有の病気：症状・原因・治療まで徹底解説

スコティッシュフォールドとスコティッシュストレートがかかりやすい病気

スコティッシュフォールドとスコティッシュストレートの平均寿命は10~13年ほどで、同じ血統を持つ猫ですが、耳の形に違いがあります。「フォールド」は折れ耳、「ストレート」は立ち耳を意味し、それぞれの特徴を表しています。

 

どちらも穏やかで愛らしい性格が魅力的ですが、遺伝的な要因によりかかりやすい病気があるため、健康管理には特に注意が必要です。ここでは、両者の違いやかかりやすい病気について詳しく解説します。

 

折れ耳と立ち耳の遺伝的な影響

スコティッシュフォールドの特徴である折れ耳は、軟骨の形成に関わる遺伝子によるものです。この遺伝子の影響で耳の軟骨が柔らかくなり、独特の折れ耳になります。

 

しかし、この変異は耳だけでなく、骨や関節にも影響をおよぼし「骨軟骨異形成症（こつなんこついけいせいしょう）」を引き起こす原因とされています。

 

一方、スコティッシュストレートは折れ耳の遺伝子を持たずに生まれた猫のため、立ち耳です。そのため、骨軟骨異形成症のリスクは低いとされていますが、スコティッシュフォールドと同じ血統であるため、他の遺伝的な病気には注意が必要です。

 

特にかかりやすい病気一覧

スコティッシュフォールドとスコティッシュストレートは、以下のような病気にかかりやすいとされています。

各病気の症状や原因は、次の章で見ていきましょう。

スコティッシュフォールド特有の病気ごとの症状と原因

スコティッシュフォールドがかかりやすい病気には、それぞれ特有の症状や原因があります。ここでは、代表的な病気について詳しく解説していきます。

 

骨軟骨異形成症

骨軟骨異形成症は、スコティッシュフォールドの折れ耳の原因となる遺伝子変異によって起こる病気です。進行すると、以下のような症状があらわれます。

スコティッシュフォールドの折れ耳を作る遺伝子変異は、耳の軟骨だけでなく、体全体の骨や関節の形成にも影響を与えます。

 

そのため、骨や軟骨が正常に発達せず、関節に異常が生じてしまうのです。特に、折れ耳同士の猫を交配するとこの病気の発症リスクが高くなります。

 

外耳炎と耳の疾患

外耳炎は、耳道（耳の穴から鼓膜までの部分）に炎症が起こる病気です。

 

細菌や寄生虫、アレルギー、異物の混入などが原因で発生し、症状には以下のようなものがあります。

スコティッシュフォールドの折れ耳は通気性が悪いので、耳の中が蒸れやすく、細菌やカビ（マラセチア菌）が繁殖しやすい環境です。また、耳ダニが原因で炎症が起こることもあります。

 

肥大型心筋症

猫の肥大型心筋症（HCM）は、心筋が異常に厚くなることで心臓の機能が低下し、全身に血液を十分に送ることができなくなる病気です。

 

以下のような症状があらわれるので、気になったら早めに動物病院を受診しましょう。

遺伝的な要因が大きく、スコティッシュフォールドを含む純血種の猫で発症しやすいとされています。また、ストレスや肥満も悪化の原因となることがあります。

猫の病気を早期発見する方法と予防法

スコティッシュフォールドが健康に過ごせるようにするためには、病気をできるだけ早く発見し、予防することが大切です。

 

ここでは、病気の兆候を見逃さないための観察ポイントや、日常生活でできる予防策について詳しくご紹介します。

 

病気の兆候を見逃さないための観察ポイント

猫は体調が悪くても本能的にそれを隠そうとするため、飼い主さまが日々の変化に気づくことがとても重要です。

 

以下の表を参考に、愛猫の健康チェックを行いましょう。

チェックポイント	具体的な異変
行動の変化	遊ばなくなった、動きたがらない、触られるのを嫌がる
食欲・体重の変化	食欲が急に落ちる、食べすぎる、体重が増えすぎる・減る
呼吸や歩き方の異常	呼吸が荒い、ゼーゼーする、歩き方がぎこちない、足を引きずる
耳や皮膚の状態	耳をよくかく、耳垢が増える・黒くなる、皮膚が赤く腫れる

このような異変が見られた場合は、早めに動物病院を受診しましょう。

 

日常生活でできる予防策

病気を防ぐためには、日々のケアや環境を整えることが大切です。ここでは、スコティッシュフォールドがかかりやすい病気ごとの予防策を紹介します。

 

◆骨軟骨異形成症の予防策

骨軟骨異形成症を防ぐには、関節への負担を減らすことが大切です。フローリングには滑りにくいマットを敷き、猫が無理なく歩ける環境を整えましょう。

 

また、激しいジャンプや運動は避け、適度な遊びで筋力を維持することも重要です。肥満は関節に大きな負担をかけるため、バランスの取れた食事と適正体重の維持を心がけましょう。関節ケア用のサプリメントを取り入れるのも効果的です。

 

◆外耳炎の予防策

折れ耳の猫は耳の中が蒸れやすく、外耳炎のリスクが高いため、定期的な耳のチェックが重要です。耳垢が多い、においが強い場合は、猫用のイヤークリーナーでやさしく拭き取りましょう。

 

ただし、過度な掃除は逆効果になるため、頻度には注意が必要です。湿気がこもらないよう、風通しの良い環境を整えることも大切です。耳を頻繁にかく、頭を振るなどの異変があれば、早めに動物病院を受診しましょう。

 

◆肥大型心筋症・肥満の予防策

肥大型心筋症は進行するまで気づきにくいため、定期的な健康診断が欠かせません。特に心臓のエコー検査を年1回受けると、早期発見につながります。

 

肥満は心臓に負担をかけるため、食事管理と適度な運動で適正体重を維持しましょう。また、ストレスも心臓の負担となるため、静かで落ち着いた環境を整えることが大切です。

 

呼吸が荒くなる、動きたがらないなどの異変が見られたら、早めに動物病院に相談しましょう。

動物病院での治療と相談のポイント

スコティッシュフォールド・ストレートの健康を守るためには、病気の兆候に気づいたらできるだけ早く動物病院を受診することが大切です。

 

ここでは、病気が疑われたときの診察の流れや、治療費・期間の目安について解説します。

 

病気が疑われたときの動物病院での流れ

猫の病気が疑われる場合、動物病院での診察の流れは以下のようになります。

ステップ	内容
1. 受付	症状や病歴を受付で伝える。感染症の疑いがある場合は別室で待機することも
2. 診察	獣医師が猫の状態を確認し、バイタルサイン（体温・心拍数・呼吸数など）を測定する
3. 検査の実施	血液検査、尿検査、画像診断（レントゲン・超音波）などを行い、詳しい診断を実施する
4. 診断と治療方針の決定	検査結果をもとに診断し、治療方針（投薬・手術など）を説明し、飼い主さまの同意を得る
5. 退院とフォローアップ	治療後、状態が安定すれば退院できる。投薬や食事管理などのケア指示を受ける

 

治療費や治療期間の目安

動物病院での治療は、病気の種類や重症度によって費用や期間が異なります。ここでは、代表的な病気の治療費の目安を紹介します。

病名	主な治療法	治療費の目安
骨軟骨異形成症	痛み止め、関節ケアのサプリメント、外科手術	投薬：5,000～10,000円／月 手術：100,000～200,000円
外耳炎	点耳薬、抗生剤の投与、耳掃除	1通院あたり：2,000～5,000円
肥大型心筋症	内服薬の投与、定期的な検査	約7,000～12,000円／月

※上記の診療内容・診療費等は参考であり、実際のお支払い例や一般的な平均・水準を示すものではありません。
※診療費は動物病院によって異なります。

まとめ│スコティッシュフォールドの病気を予防し、健やかな毎日を

スコティッシュフォールドは、骨軟骨異形成症や外耳炎、肥大型心筋症などの病気にかかりやすいため、日々の健康管理が大切です。普段と違う様子が見られたら、早めに動物病院を受診しましょう。

 

また、滑りにくい床や適度な運動を意識し、食事管理を徹底してあげることも重要です。年に1〜2回の健康診断を受けることで、早期発見・治療につながります。

 

愛猫が健康で快適に過ごせるよう、日々のケアを心がけましょう。

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