猫のマーキングはどう治す?

猫との暮らしの中で、臭いの強いおしっこをあちこちにかける「スプレー行為」に困っている方も多いのではないでしょうか。

基本的にマーキングは猫の本能に基づくものですが、自分の縄張りを主張するための行為以外にも、さまざまな理由があります。

この記事では、猫と楽しく生活するために、猫のマーキングの治し方や防止法、臭い消しのコツについて解説します。

【この記事でわかること】

  • 猫がマーキングをする意外な理由とは
  • 猫のスプレー行動は去勢で治る?
  • 猫のスプレー行動をやめさせるには?
  • 猫のマーキング防止グッズ4選!
  • 手作りクエン酸スプレーの作り方

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目次

猫のマーキングとは?

猫のマーキング

猫のマーキングとは、縄張りに自分のにおいを付ける行動のことです。

猫は縄張り意識が強いため、マーキングによって今いる場所が自分のテリトリーであることを強調しているのです。

猫のマーキングとしては、主に以下のような行動がみられます。

  • 爪とぎ
  • スリスリと顔や体を擦り付ける行為
  • スプレー行動

愛情表現にもとれる顔を擦り付ける行為や、爪とぎなどもマーキング行為の1つです。

また、スプレー行動と呼ばれるおしっこをかける行為は、オス猫だけでなくメス猫もする場合があります。

 

猫が飼い主さまに顔やしっぽをすりすりする理由は、以下の記事をご覧ください。

関連記事:猫が「すりすり」してくる意味とは?顔や体をこすりつける理由

猫がマーキングをする理由は?

猫のマーキングには、縄張りの主張以外にもさまざまな意味が込められています。

まずは、猫はどのような理由からマーキングするのか解説します。

 

テリトリーを守る

1つ目に挙げられるのが、テリトリーを守るための威嚇・防衛行動です。

あちこちに自分のにおいをつけることで、自分の存在、強さやパワーなどをほかの猫に主張しているのです。特に、オス猫はメス猫よりも広い縄張りを持つことが多いといわれています。

また、猫の世界では、高い位置のマーキングほど「強い」とされています。そのため、多頭飼いでは、ほかの猫より高い場所に爪とぎをしようとする傾向があります。

 

不安を感じている

猫のマーキングには、不安を感じているという心理状態も読みとれます。

猫は、引っ越しや見慣れない来客、家族が増えるなど、馴染みのない環境に置かれるとストレスを感じやすい動物です。

そのため、猫のマーキングがみられる場合、こうした不安やストレスを紛らわす転移行動としてマーキングしているのかもしれません。

特にスプレー行動の多くは、ストレスや不安が大きく関係しているといわれています。

 

安心感を得たい

猫がマーキングをしている場合、安心したいという心理が働いているのかもしれません。

猫は、自分のにおいで満たされていると安心感を覚えます。

例えば、飼い主さまの顔や新しいおもちゃに頬や顔を擦りつけてくるのは、頬や顎にある分泌腺から出た自分のにおいをつけることで安心したいのでしょう。

こうして体を寄せてくる行動は、リラックスしているからこそ見せてくれる仕草です。

 

異性へのアピール

猫がマーキングする場合、性的なアピールをしている可能性もあります。

マーキングをして自分の性フェロモンを残すことで、異性の猫へ情報を発信しているのです。こうした行動は、特にメス猫と同居しているオス猫に多い傾向があります。

マーキングの改善には、去勢・避妊手術によって性ホルモンの分泌量を減らすことが効果的です。

トイレ外でおしっこをするスプレー行動

猫のマーキング

猫のマーキングの中で最も困る行為といえば、スプレー行動でしょう。

スプレー行動は、家や部屋の入り口、通路などトイレ以外の場所におしっこをかけるもので、強烈な臭いを放つのが特徴です。

ここでは、トイレ外でおしっこをする猫の行動について解説します。

 

スプレー行動の見分け方

猫がトイレ外でおしっこをする場合、単なる排泄ではなく、スプレー行動の可能性があります。

このとき、以下のような仕草が当てはまるか確認しましょう。

  • 立ったままする
  • しっぽを立てている
  • 垂直面におっしこをかける
  • 壁やカーテンをねらう
  • 決まった場所にする
  • 量が少ない
  • 臭いが強く濃いおしっこ
  • ウンチはトイレで出来る

スプレー行動はオス猫に多いものの、メス猫が行うケースも少なくありません。

スプレーをした場所は、しっかりと掃除して臭いが残らないようにしましょう。

 

スプレーではない場合もある

スプレー行動ではなく、何かほかに理由があってトイレ外で粗相をしてしまっている場合もあります。

猫がトイレを気に入らないようであれば、場所や個数などトイレ環境を見直しましょう。

また、粗相は、膀胱炎尿路結石といった下部尿路疾患や糖尿病などの病気が原因の場合もあります。特にオス猫の下部尿路疾患は、治療が遅くなるほど危険な状態になるため注意が必要です。

排尿回数が多い、急に粗相の頻度が増えるなどの問題がみられる場合は、早めに動物病院に連れていきましょう。

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猫がマーキングをしてしまう原因

マーキングは、縄張りや気持ちを伝えるための猫の意思表示です。

ここからは、猫がマーキングをする主な原因について解説します。

 

避妊・去勢手術をしていない

マーキングは、ホルモンの関係上、避妊・去勢をしていない猫に多くみられる行動です。

特にオス猫にとって、マーキングはテリトリーの主張や仲間を集めるほかに、繁殖期にメス猫とコミュニケーションをとるという性的な役割があります。

多くの場合、適切な時期に不妊手術を受けることでマーキングを未然に防ぐことができるため、状況に応じて試してみると良いでしょう。

 

多頭飼育に問題を抱えている

多頭飼育による猫同士の緊張感などが、マーキングの引き金となっている場合もあります。

特に過剰な多頭飼育をしている場合、自分のテリトリーを誇示しようとスプレー行動が悪化しやすいようです。多頭飼いで喧嘩に発展した場合は、生活空間を分けたり、ケージを使って遊ぶ時間を分けたりして対処しましょう。

また、別の発情期の猫に刺激されて、スプレー行動をすることもあるため注意が必要です。

 

テリトリーを脅かされる環境

窓から外の猫が見える、ベランダにほかの猫が出入りするなどの場合も、猫のスプレー行動が激しくなることがあります。

マーキングをすることで、縄張りへの侵入を防ぐ、もしくは近づかせないようにほかの猫を威嚇しているのです。

外の猫へのスプレー行動が激しい場合、

  • カーテンなどで窓を覆って外が見えないようにする
  • 猫の目線の高さに目隠しシートを貼る
  • 近所の猫が近づかないよう、庭に猫が嫌がる香りのハーブを植える

などの対策がおすすめです。

愛猫をむやみに興奮させないように工夫しましょう。

 

精神的なストレス

猫がマーキングするのは、不安や緊張などの精神的なストレスを感じているからかもしれません。猫がストレスを感じる原因としては、例えば引っ越しや部屋の模様替えなどの生活環境の変化や長時間の留守番、運動不足、スキンシップ不足が挙げられます。

マーキングのほかに、食欲不振や睡眠時間が長くなる、体をよく舐める、攻撃的になるなどの変化がみられる場合、猫がストレスを溜めている可能性があるので気をつけましょう。

精神を安定させるためのフードやサプリメントなどもあるため、気になる方は獣医師に相談してみることをおすすめします。

 

スプレーの臭いが残っている

猫は、スプレーの臭いが残っている場所には、またマーキングする習性があります。

臭いに誘発されてマーキングが癖にならないように、スプレーされた場所はできるだけすぐに拭き取り、ペット用消臭剤などで徹底的に臭いを除去することが大切です。

あまりに臭いが取れない場合は、クリーニングを検討する必要もあるかもしれません。

多頭飼いの場合、ほかの猫への刺激になる可能性もあるため注意しましょう。

猫のマーキングは治るの?

一般的にスプレー行動は、去勢手術で90%は解決するといわれています。

しかし、別の理由からマーキングする場合もあるため、改善しない場合は獣医師に相談しましょう。特に多頭飼いでは、ほかの猫の存在からマーキングが激しくなることがあるため、猫が安心できる環境作りを心がけることが大切です。

猫のマーキング対策法

マーキングは猫の習性の1つですが、飼育環境の改善などで対策できます。

猫のマーキングに困っているという方は、以下のポイントを押さえておくようにしましょう。

 

怒らないこと

猫がマーキングをした場合、怒らないことが大切です。

やみくもに怒ったり、体罰をしたりすれば、猫との信頼関係を崩すだけでなく、余計に猫の不安やストレスを強めてしまいかねません。

マーキングは猫の習性の1つでもあるため、落ち着いて対処しましょう。

 

あえて無視する

猫のマーキング対策法として、あえて無視するというのも効果的です。

飼い主さまが反応してしまうと、「褒められた」と猫が勘違いしてしまうかもしれません。増長させないために、猫のマーキングには過剰に反応せず、淡々と接することをおすすめします。

 

避妊・去勢手術

避妊・去勢手術によってホルモンを抑えることも、猫のマーキング対策法の1つです。

去勢・避妊手術は、病気や望まない妊娠の予防にも繋がります。

猫は発情期にスプレー行動を覚えることが多いため、最初の発情期を迎える前の生後6ヶ月前後に手術を受けることをおすすめします。

 

環境の改善

猫の気持ちが落ち着くように、ストレスの要因を取り除いてあげることも大切です。

  • 猫が苦手なものは片付ける
  • おもちゃで遊ぶ時間を増やす
  • 近所の猫が窓から見えないようにする
  • トイレの容器を大きくする

などの工夫で、猫のテリトリー内は安全であると感じさせてあげましょう。

 

トイレの見直し

場所や高さなどトイレの見直しも、猫のマーキング対策に繋がります。

トイレは常に清潔にして、個数は猫の数プラス1を目安にするなど、猫にとって快適なトイレを用意してあげましょう。

なお、掃除するときは、猫が苦手な柑橘系やハーブなどの香りがする洗剤の使用を控えることをおすすめします。

 

臭いを消す

マーキング後は、臭いが残らないよう徹底的に掃除するのが基本です。

猫は、臭いが残っている場所に何度もスプレー行為をする傾向があります。再発防止のために、スプレー跡は中性洗剤でよく拭いて、安全なペット用消臭剤を使って臭いを消しておきましょう。

 

忌避剤を使う

スプレー行為の再発防止として、忌避剤を使うこともおすすめです。

市販のマーキング防止スプレーを特定の場所にかけることで、猫のマーキングを阻止できます。屋外に使用する場合は雨や風などで効果が薄れやすいため、定期的に使うようにしましょう。

おすすめ!猫のマーキング防止グッズ

爪とぎやスプレー行動などマーキングに困っている場合には、猫のマーキング防止グッズを利用してみましょう。

防止グッズはさまざまな種類があり、必要に応じて使用することでマーキングの改善が期待できます。

そこで、おすすめの猫のマーキング防止グッズについて紹介します。

 

猫の爪とぎ防止シートS

糊なしで手軽に貼り付けができる爪とぎシートです。

半透明なので壁に馴染みやすく、また、弱粘着タイプであるため賃貸のお部屋でも安心して使用できます。

商品:https://item.rakuten.co.jp/lintec-c/petp_02s2/

 

トーラス マーキングお断り 濃縮スプレー

消臭と忌避の両方に効果的なスプレーです。ハーブなど猫が嫌がる10種類の成分を配合しており、粒タイプと違って、玄関や塀などピンポイントで狙って使用できます。

商品:https://item.rakuten.co.jp/chanet/153593/

 

ジョイペット ザ・しつけ ちゃんとしつけ剤

猫が舐めても安心のマーキング防止スプレーです。

人間には感じられない程度のにおいで、マーキングのほかにも、ムダ噛みやイタズラ防止としてもおすすめです。

商品:https://item.rakuten.co.jp/vets/4973293001084/

 

Peletty(ペレッティー)500ml 消臭スプレー

獣医師さんも使っている無刺激・無香料のペット用除菌・消臭材です。

動物がなめても安心な成分で作られています。

商品:https://item.rakuten.co.jp/fukuryusen/10000003/

猫のマーキングに効く臭い消しの方法

スプレー防止には、床や家具についた臭いを消すことが大切です。

最後に、猫のマーキングに効果的な臭い消しの方法について種類別に解説します。

 

床や壁の臭い消し方法は?

猫のおしっこはアルカリ性であるため、床や壁についた臭いを消すには、酸性のクエン酸と中和消臭するのがおすすめです。

臭いが気になる部分をペーパーやぞうきんでしっかりと拭きとった後、クエン酸スプレーをかけて自然乾燥させます。

クエン酸スプレーに必要なものは、以下の通りです。

  • クエン酸
  • スプレーボトル

一般的にクエン酸の希釈率は40倍であるため、200mlの水なら小さじ1杯(約5g)ほどのクエン酸を入れて混ぜればクエン酸スプレーの完成です。

軽くスプレーボトルを振ってから、吹きかけるようにしましょう。

 

服やマットの臭い消し方法は?

服についた猫のおしっこがついた場合は、酸素系漂白剤を使って臭いを分解しましょう。

おしっこされた部分に漂白剤を塗り込み、ぬるま湯に30分〜1時間ほど付けた後、そのまま洗濯します。なお、漂白剤は素材が毛や絹の場合は液状タイプ、それ以外は粉状タイプというように使い分けるのがポイントです。

一方、マットなど洗濯できないものの場合は、ペーパーなどで吸わせるように拭きとった後、ペット用消臭剤をかけると良いでしょう。臭いが頑固な場合は、薄めた酢や熱湯などをかけるというのも方法の1つです。

 

布団の臭い消し方法は?

布団についた猫のおしっこの臭いを消す場合、まずぬるま湯でおしっこがついた部分を洗います。このとき、擦るように洗うと、かえって奥まで汚れが染み込む可能性があるため注意してください。

その後、消臭効果が期待できるクエン酸水とミョウバン水を霧吹きなどで交互にかけ、再度ぬるま湯につけて押し洗いします。

最後に水気を取ってから、天日干しをしましょう。

なお、あまりにも臭いがきつい場合は、クリーニングで洗ってもらうのもおすすめです。

 

ソファの臭い消し方法は?

猫がソファにおしっこをした場合、まずはペーパーやお湯で濡らした雑巾などで叩くようにおしっこを拭きとります。

次に、クエン酸水をおしっこに吹きかけ、その上から再度雑巾で軽く叩くように拭きとりましょう。あとは乾くまで天日干しをします。

仕上げにファブリーズなどを拭きかけるとより効果的です。

また、クエン酸水でも落ちない頑固な臭いには、スチームクリーナーが役に立ちます。

まとめ

猫のマーキングには、主に以下のような理由があります。

  • テリトリーを主張したい
  • ストレスや不安を感じている
  • 安心感を得たい
  • 異性へアピールしたい

マーキングそのものは猫の本能的行動です。

特にスプレー行動は一度癖がついてしまうと、治すのが困難になってしまうため、できるだけ早めに去勢・避妊手術をすることをおすすめします。

去勢後もマーキングが続く場合は、何が原因なのか探り、猫が感じているストレスや不安に合わせて対処してあげましょう。

 

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獣医師平松先生
この記事の監修者 平松 育子
獣医師・ペットライター。山口大学農学部獣医学科(現:共同獣医学部)卒業。2006年3月~2023年3月、有限会社ふくふく動物病院・取締役、院長。ジェネラリストですが、得意分野は皮膚疾患です。獣医師歴26年(2023年4月現在)の経験を活かしペットに関する情報をお届けします。

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