猫のおしりから急に強烈な臭いがしたり、おしっこやうんちとは違う臭い液体が出てきたりして驚いた経験はありませんか?
猫のおしりから臭いを感じると、猫の体調について不安になってしまう方も多いでしょう。
一時的におしりが臭い場合は問題ありません。しかし、時間が経っても臭う場合は何らかの病気を引き起こしている可能性があるため、注意が必要です。
この記事は、猫のおしりからする強烈な臭いの原因や肛門腺絞りのやり方について解説します。
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猫のおしりが臭くなるのはなぜ?
結論から言うと、猫のおしりが臭くなるのは「肛門腺から分泌される液体」が主な原因です。
猫のおしりには肛門嚢(こうもんのう)という袋があり、肛門嚢には肛門腺から分泌された液体が溜まっています。通常は排便時に少しずつ排出されますが、驚いたときや恐怖を感じたとき、緊張や興奮したときなどにも猫は分泌液を排出します。
猫のおしりが急に臭くなる場合、こうした分泌液を排出した可能性があります。
後ほど詳しく解説しますが、場合によっては何らかの病気が関係していることもあるため、異変を感じる場合は獣医師に相談しましょう。
肛門腺の臭いや形状
肛門腺の分泌液は、猫によって個体差があります。
例えば粘度が高い分泌液からさらさらとした分泌液もあり、色も黄色や茶色もあれば灰色や黒茶色のものもあり、猫種や健康状態などによってさまざまです。
また、「腐った魚のような臭い」や「鉄が焼けた臭い」と例えられるほどの刺激臭であることも特徴です。
分泌液が被毛についた場合は、シャンプーやペットの消臭スプレーを使ってきれいにしてあげましょう。
猫の肛門腺の役割とは?
肛門腺は、猫たちのコミュニケーション手段として重要な役割を果たしています。
肛門腺の分泌液は1頭ごとに異なり、こうした臭いの違いによって、猫は相手の血縁関係をはじめ、性別や体調、発情の状態など個体を識別します。
猫同士がおしりを嗅ぐ仕草をするのは、お互いの分泌液の臭いを嗅いで相手を認識しているからなのです。
また、肛門腺の臭いは、自分の縄張りであることを主張するマーキングの役割も担っています。
注意すべき肛門腺トラブル
ここでは、特に注意すべき肛門腺トラブルについて解説します。
肛門腺の分泌物は排便と一緒に出ることが多いものの、運動不足や水分不足の猫、高齢猫や子猫の場合、うまく排出できないケースも少なくありません。
分泌物が溜まり続けると、炎症や破裂を引き起こすおそれがあるため注意しましょう。
肛門嚢炎
肛門腺に溜まった分泌液を排泄できない場合、肛門嚢炎を引き起こす恐れがあります。
肛門嚢炎とは、細菌感染が引き金となって、皮膚炎やただれを引き起こす病気です。
主な原因は肛門嚢内の分泌液の充満ですが、下痢などによる肛門周辺の汚れから細菌感染を起こすこともあります。
肛門嚢炎を引き起こした場合、以下のような症状がみられます。
- 肛門周辺が赤く腫れる
- 排便困難
猫が肛門を舐める、おしりを床にこすりつける、肛門の周りが腫れるといった様子がみられる場合は、早めに獣医師に相談しましょう。
肛門腺破裂
分泌液が溜まりすぎると、肛門嚢が破裂することもあります。
破裂して皮膚が破れると、膿や血が流れ出るだけでなく、強い痛みから元気・食欲の低下を引き起こしかねないため注意が必要です。
再発することが多い病気であるため、あまりにも繰り返す場合は、肛門嚢の摘出手術を検討しましょう。
猫が肛門を舐めている、おしりの周りから出血しているなどの様子がみられる場合は破裂の可能性があるため、速やかに動物病院を受診することをおすすめします。
猫の肛門トラブル防止策
肛門トラブル防止のために、以下のことに気を配りましょう。
- 肥満予防
- 肛門周囲の衛生
- 定期的な肛門腺絞り
猫は太ると、グルーミングができずに分泌液が溜まるうえ、病気のリスクも上がるため注意が必要です。
また、肛門腺が溜まりやすい猫や下痢が多い猫は、肛門トラブルが起きやすい傾向があります。定期的に肛門腺絞りをしたり、適切な運動や食事などで腸の調子を整えたりして、猫の健康を保つようにしてあげましょう。
肛門腺絞りのやり方
猫の肛門腺絞りは、1か月に1回程度行いましょう。
やり方は以下の通りです。
- 片手でしっぽを持ち上げる
- もう片方の手の親指と人差し指で肛門腺を確認する
- 肛門腺の下に指をあて、肛門に向かって押し上げる
- 絞り残しがないか確認する
肛門腺は、肛門を時計の中心とすると4時と8時の位置にあります。絞るときに強い力を加えると猫が嫌がるため、注意しましょう。
また、分泌液の臭いはかなり強いため、周りに飛び散らないようにティッシュなどをあてながら行うことをおすすめします。
肛門絞りは専門家に頼んでもOK
肛門腺絞りは、間違った方法を繰り返すと肛門周りの皮膚を傷つけてしまいかねません。
猫が嫌がったり、暴れたりしてうまくできない場合は専門家に相談しましょう。動物病院やトリミングサロンでは、1回500円ほどでしてもらえます。
無理をせずに、猫の健康を守るベストな方法を選んでください。
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猫のおしりの臭いは病気が原因のことも!
猫のおしりの臭いが強い場合、肛門腺トラブルではなく、以下のような病気が関係している可能性もあります。
- 細菌性膀胱炎
- 下痢や軟便
- 子宮蓄膿症
症状を悪化させないために、少しでも疑われる場合は早めに獣医師に相談することをおすすめします。
細菌性膀胱炎
細菌性膀胱炎とは、膀胱内に侵入した細菌が原因で膀胱に炎症が起きる病気です。
主な症状は以下のとおりです。
- 頻尿
- 排尿時に痛がる
- 尿が白っぽく濁る
また、膿が混じった膿尿が出ることもあります。
尿がツンとした刺激臭に変わるため、猫のおしりからこうした臭いを感じる場合は注意が必要です。
下痢・軟便
下痢や軟便を起こしている場合も、猫のおしりは臭くなります。
主な原因としては
- ウイルス感染
- 内臓系疾患
- 誤飲・誤食
- ストレス
などが考えられます。
また、フードが合わないために下痢や軟便を起こすこともあります。
普段と違うものを与える場合は少量からはじめ、食べた後の様子を観察しておきましょう。
子宮蓄膿症
子宮蓄膿症とは、子宮内に膿が溜まる病気で、大きく開放型と閉鎖型に分けられます。
子宮内に膿が溜まる閉鎖型と比べ、開放型はおしりの臭いや外陰部からの膿の排出から異変に気づきやすい傾向があります。
子宮蓄膿症は避妊手術で予防できるため、出産の予定がない場合は早めに検討しておきましょう。
動物病院へ連れて行くべきタイミングは?
しかし、以下のような症状がみられる場合は何らかの病気が疑われるため、早めに動物病院を受診することをおすすめします。
- おしりの臭いが続いている
- おしりの周りが腫れている
- 分泌液の状態や臭いが前と違っている
- おしりから膿や血が出ている
- 猫がおしりをしきりに気にしている
- 何度もおしりで床を歩いている
特に猫は痛みを隠す傾向があるため、日頃から猫の様子をチェックして、猫がみせるサインを見落とさないようにしましょう。
備考・猫は甘えたいときにおしりの臭いを発する?
これは、子猫のときに母猫の気を引くために臭いを発していた名残が関係しているといわれています。
通常は成猫になると自立しますが、なかには子猫が母猫に依存するように飼い主に依存的な愛情をもつ場合があります。過剰な愛情は猫の精神的な自立を遅らせるうえ、留守中に大声で鳴く、粗相するなどの問題行動にもつながりかねません。
飼い主以外に興味を持たせたり、猫と離れる時間を作ったりと工夫して、猫が自立できるよう促してあげましょう。
そのほかの肛門まわりのトラブル
最後に、そのほかの肛門まわりのトラブルについて解説します。
猫が頻繁におしりを気にしている場合、
- 肛門嚢アポクリン腺がん
- 直腸脱
- 大腸炎
- 寄生虫
といった病気のサインである可能性も考えられます。
おしりを舐める、おしりで床を歩く、肛門周辺が汚れているなどの様子がみられる場合は注意しましょう。
肛門嚢アポクリン腺がん
肛門嚢アポクリン腺がんとは、肛門嚢にあるアポクリン腺が腫瘍化する病気です。
猫では稀な病気ですが、発症すると以下のような症状が主にみられます。
- 肛門周囲の膨張
- 便秘
- 便の形状の変化
- 排便困難
- 出血
肛門嚢アポクリン腺がんは転移しやすい性質をもつため、治療の中心は外科的切除となります。
直腸脱(脱腸)
直腸脱とは、直腸が反転して肛門から突出する状態です。
一般的には、以下のような症状がみられます。
- 排便困難
- 出血
- 排便ポーズを繰り返す
放置すれば、直腸の粘膜が乾燥して壊死しかねません。軽度の場合は押し戻すことが可能ですが、壊死している場合や再発性の場合は外科的手術をすることもあります。
大腸炎
大腸炎とは、細菌感染など何らかの原因で大腸に炎症が起きている状態です。
一般的に以下のような症状がみられます。
- 頻回の排便
- 下痢や軟便
- 出血
- 排便ポーズを繰り返す
症状が長引くと食欲や元気の低下にもつながりかねません。出血が続く、便の臭いが強いと感じる場合は、早めに動物病院を受診しましょう。
寄生虫
猫によくみられる寄生虫は、回虫や瓜実条虫です。例えば、猫の肛門や糞便上に白い粒がみられる場合は条虫症が疑われます。
成猫では無症状の場合も多く、命にかかわる病気ではないものの、稀に下痢や嘔吐などの症状が生じます。
駆虫薬で駆除できるため、寄生虫が疑われる場合は獣医師に相談しましょう。
まとめ│猫のおしりで心配な症状は動物病院へ
猫のおしりが臭い場合、一時的なものであれば肛門腺の分泌液が主な原因です。
肛門腺トラブルを引き起こさないよう、1ヶ月に1回ほどのペースで肛門腺を絞りましょう。
肛門腺絞りの方法は以下のとおりです。
- しっぽを片手で持ち上げる
- もう片方の手の親指と人差し指で肛門腺を確認する
- 肛門に向かって押し上げるように絞る
一方で、おしりの臭いが続く場合は細菌性膀胱炎や子宮蓄膿症など病気のサインの可能性もあります。猫の行動に異変を感じる場合は、早めに獣医師に相談しましょう。
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