犬の多飲多尿
目次

犬の多飲多尿の原因とは何か?

―犬がたくさん水を飲んで、たくさんおしっこをします。何か原因、理由があるのでしょうか。

犬の多飲多尿には、次のような原因が考えられます。

ストレス

犬は、緊張やストレスを感じると飲水量が増加し、その結果、尿量も増加します。この現象を心因性多飲と言います。

食事

ドライフードは含まれている水分量が少ないため、犬にドライフードを与えていると水をよく飲むようになります。

また、腎臓病用の療法食を犬に与えている場合も、水をよく飲むようになります。これは、意図的に喉の渇きを引き起こし、水をたくさん飲ませ、腎臓の血液量を増やすためです。

服薬

犬にステロイド系の薬を服用させていると、副作用により多飲多尿になる場合があります。

これらのほか病気を原因として、犬が多飲多尿になる場合があります。

犬の多飲多尿で疑われる病気について

―犬の多飲多尿で考えられる病気について教えてください。

糖尿病

糖尿病は、インスリンが不足することで持続的に高血糖を示す病気で、犬に比較的多く見られます。高血糖状態が続くと、多飲多尿を始め、体重減少や白内障などの症状を示します。

クッシング症候群

クッシング症候群は、副腎皮質機能亢進症(ふくじんひしつきのうこうしんしょう)とも呼ばれ、副腎皮質から放出されるグルココルチコイドが過剰に分泌され、さまざまな症状を示します。人や猫と比べ、犬に発症率の高い病気です。クッシング症候群は、脳下垂体に原因のあるものと、副腎腫瘍によるものの大きくふたつに分類されます。最も多く見られる症状は多飲多尿です。そのほかの以下のような症状が見られます。

  • 多食
  • 腹部膨満
  • 皮膚の菲薄化
  • 脱毛
  • 呼吸促迫
  • 筋力低下
  • 甲状腺ホルモンの低下
  • 糖尿病の併発

免疫力が下がるため、感染症を伴う場合もあります。

子宮蓄膿症

子宮蓄膿症は子宮の中に膿(うみ)がたまってしまう病気で、犬に多飲多尿を引き起こします。子宮蓄膿症の原因菌のほとんどは大腸菌です。子宮蓄膿症の症状は、多飲多尿のほか、次のようなものが挙げられます。

  • 食欲不振
  • 嘔吐(おうと)
  • 腹部膨満
  • 外陰部の腫大
  • 陰部からの膿の排出など

慢性腎不全

腎臓病が進行して慢性腎不全が悪化すると、犬が多飲多尿になる可能性があります。これは、腎臓の機能の大部分が失われると、失われた機能を補うために尿が多く作られるためです。慢性腎臓病は基本的には進行性で、治ることはありません。病気がさらに進行していくと、貧血が見られたり、尿が作られなくなったりし、最終的には尿毒症により死んでしまうおそれがあります。

尿崩症(にょうほうしょう)

尿崩症は、バソプレシンという抗利尿ホルモンの分泌や作用が不足し、引き起こされる病気です。尿崩症は、中枢性尿崩症と腎性尿崩症のふたつに分けられます。特徴的な症状は著しい多飲多尿で、そのほかはほとんど見られません。

犬の多飲多尿が疑われる場合の動物病院に連れて行くタイミング

犬の多飲多尿 病院に連れていくタイミング

―動物病院を受診すべきタイミングについて教えてください。

なるべく早く動物病院に連れていきましょう。

犬が一日にどれくらいの水を飲み、おしっこをすると多飲多尿なのか?

体重1kgあたり100ml以上飲み、60ml以上のおしっこをすると多飲多尿の疑い

―犬の多飲、多尿と思われるそれぞれの量を教えてください。

一日に体重1kgあたり、100 ml以上の水を飲んでいるようだと多飲、60 ml以上の尿を排泄していると多尿と言えます。

自宅でできる犬の飲水量とおしっこの量の測り方

―犬の飲水量やおしっこの量を測るにはどうしたらいいのでしょうか?

飲水量は、ペットボトルのように計量できる容器に水を入れて犬に飲ませるか、お皿に入れて減った量を測ればわかります。

尿量は、犬がペットシートにおしっこをしている場合は、おしっこの前後でペットシートの重さを測ればわかります。

犬が多飲多尿になった場合の家庭内での対処

―犬が多飲多尿になったら、自宅でどのように対処すればいいのでしょうか?

特に自宅でできることはありません。また、飲む水の量を制限する必要も特にありませんが、早めに動物病院を受診してください。

動物病院を受診する際には、いつから、どのくらいの量の水を飲み、どのくらいの量の尿をしているかを記録しておくと問診がスムーズに進みます。また、その日の尿を持参すると、尿検査できるので診断に役立ちます。

犬の尿は、犬がおしっこをしようとしたときに紙コップなどの容器をうまく差し出して採取してください。直近のおしっこを持参するのが難しい場合は、尿を冷蔵庫で保管してください。

犬の多飲多尿の診療内容とかかる治療費

犬の多飲多尿とかかる治療費

犬の多飲多尿の診療内容と治療費例

一般的な身体検査や尿検査、ホルモン検査、超音波検査などを行い、多飲多尿の原因となっている病気を特定します。病気がわかったら、その病気に合わせた治療を行います。

糖尿病

一生涯にわたるインスリン投与が必要になります。基本的には一日2回、自宅でインスリンを投与します。また、月に1回程度、血糖値をモニタリングするために通院が必要になる場合があります。

治療費は、毎月2万円程度です。

クッシング症候群

一生涯にわたる薬の内服と、定期的なホルモンのモニタリングを行います。クッシング症候群の原因が副腎腫瘍の場合、根治を目指す場合には外科的治療が必要です。

治療費は、内服薬による治療の場合は毎月2万円、副腎腫瘍の外科的切除を行う場合は30万円です。

子宮蓄膿症

子宮蓄膿症の場合、基本的な治療は子宮の摘出です。手術後は数日間の入院が必要になります。

治療費は、10万円ほどです。

慢性腎臓病

慢性腎臓病の場合、失われた腎機能を補うために定期的な点滴による水分補給が必要になります。腎臓病のステージが初期の段階であれば、週1回程度で問題ありません。しかし、末期的な場合は、ほぼ毎日の点滴が必要です。

治療費は、毎日点滴治療をした場合、毎月9万ほどかかります。

尿崩症

先天性の尿崩症の場合、犬に水を十分に与えられていれば特に問題はありません。しかし、飼い主さんが犬の多飲多尿に困っているのであれば、治療の対象になる場合があります。治療は基本的に点眼薬により行います。

治療費は、毎月3万円ほどです。

※上記の診察内容や期間、治療費は、小型犬を基にした一例であり、全国の平均や水準を示すものではありません。また、体格や病状、動物病院によって異なりますのでご了承ください。

・参考文献

獣医内科学 第2版 文永堂出版

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