犬の鼻血

深刻な病気と思わず見逃してしまいがちな鼻血ですが、犬の鼻血には大きな病気が隠れているかもしれません。

そこで本記事では、犬の鼻血について以下の点を中心に解説していきます。

  • 犬の鼻血は病院に行くべきか
  • 犬が鼻血を出す原因
  • 犬が鼻血を出したときの対処法

犬が鼻血を出したときにやってはいけない対処法や、予防法もあわせて解説しています。

ぜひ最後までお読みください。

 

【ペット保険比較のピクシー】では人気ペット保険おすすめランキングもご紹介しております。
まだペット保険に加入していない方、これから加入する方、保険の乗り換えを検討中の方は参考にされてください。

目次

犬が鼻血を出したら早急に動物病院へ!

結論から述べると、愛犬が鼻血を出した際はできるだけ速やかに動物病院を受診するのが望ましいでしょう。

犬は人間と違い、のぼせたり乾燥したりすることによって鼻血を出すことはほぼありません。犬が鼻血を出したときは原因のほとんどが何らかの病気によるものだと考えられます。

なかには最悪の場合死に至る病気も含まれているため、早期発見・早期治療のためにも動物病院への受診が大切です。

 

犬にとって鼻血はストレス

健康的な犬が鼻血を出すことはほぼありません。

呼吸はもちろん、さまざまな情報を嗅覚から得ている犬にとって、鼻血の影響で嗅覚が衰えたり、呼吸がしづらかったりすることは大きなストレスを感じるでしょう。

早急に原因を突き止め、治療することが大切です。

犬が鼻血を出す原因とは

犬が鼻血を出す原因

犬が鼻血を出す原因は主に以下のとおりです。

  • 鼻腔内腫瘍
  • 血小板減少症
  • 血液の凝固異常が起こる疾患
  • 歯周病
  • アレルギー性鼻炎
  • ワルファリン中毒
  • 外傷

それぞれ詳しく解説していきます。

 

鼻腔内腫瘍

鼻腔内腫瘍は、文字どおり鼻腔のなかにできる腫瘍で、高齢犬のオスに多くみられる病気の一つです。病状の進行が比較的早く、無治療の場合の生存期間は3か月ほどといわれています。

 

鼻腔内腫瘍の症状は、鼻血や膿性鼻水、顔まわりの腫れなどで、腫瘍が脳を圧迫することによるけいれんや麻痺などがみられることも少なくありません。

 

血小板減少症

血小板減少症とは、血液中にある血小板が大幅に減ってしまう病気です。血小板は血を固める役割を持っており、血小板が減少すると突発的な鼻血をはじめ、内出血によるあざや打ち身が頻繁にみられるようになります。血が止まりにくくなることで大量出血が起き、最悪の場合死に至ることもあるため注意が必要です。

 

血液の凝固異常が起こる疾患

血液の凝固異常が起きて鼻血が出る病気は、先述した血小板減少症だけではありません。遺伝性疾患であるフォンウィルブランド病や、先天性疾患である血友病なども、血が止まりにくくなる病気として挙げられます。

治療法がそれぞれ異なるため、どの病気かを見極めるための検査が必要です。

 

歯周病

歯周病が原因で鼻血が出ることもあります。歯周病は歯肉炎歯周炎の総称であり、こちらも比較的高齢犬に多い病気です。歯垢に含まれる細菌が歯肉に入り込み、歯肉炎を引き起こします。

歯肉炎が進行すると瘻管(ろうかん)という膿の通り道ができ、鼻とつながることで鼻血が出やすくなるのです。

 

アレルギー性鼻炎

アレルギー性鼻炎の重症化により鼻血を出すことがあります。鼻腔内の粘膜に炎症が起き、傷つきやすくなるのです。

ただアレルギー性鼻炎で鼻血だけが出るという症例はあまりなく、くしゃみや鼻水が主な症状です。アレルギー性鼻炎のほかにも、ウイルスや細菌などといった原因で鼻炎や鼻血がみられることもあります。

 

ワルファリン中毒

ワルファリン中毒により、鼻血を出すことがあります。ワルファリンは血液凝固阻害剤と呼ばれ、主に殺鼠剤に含まれる成分です。ワルファリンを摂取することで体中に出血が起こります。

出血が肺や脳でみられた場合は呼吸困難や意識障害が起き、死に至ることもあるため注意しなければなりません。

 

外傷

顔をぶつけたり、犬同士のケンカで噛まれたりした際にできた外傷によって出血がみられることがあります。確実に外傷による鼻血だと判断でき鼻血がすぐ止まった場合でも、鼻腔内部に損傷がある可能性もゼロではありません。念のため、動物病院を受診するのが望ましいでしょう。

【症状別】鼻血の出方の違いと考えられる病気

鼻血の出方と考えられる病気について、今回は

  • くしゃみと共に少量の鼻血が出る
  • 大量の鼻血(鮮血)が出る
  • 片方の鼻から鼻血が出る

以上の3つに分けて紹介します。必ずしも当てはまるわけではありませんが、参考にしてください。

 

くしゃみと共に少量の鼻血が出る

くしゃみや少量の鼻血から始まる病気は、鼻腔内腫瘍鼻炎が挙げられます。くしゃみや鼻水はさまざまな病気の初期症状であり、深刻な病気であってもなかなか気付くことができません。

くしゃみや鼻水がなかなかおさまらず、少量であっても鼻血が出るといった症状がある場合には動物病院への受診をおすすめします。

 

大量の鼻血(鮮血)が出る

大量の鮮血がみられる場合は、血小板減少症などの病気のほか、外傷やワルファリン中毒の可能性があるでしょう。また、鼻の骨折などでも大量の鮮血が流れ出します。

どちらにしても早急な手当てが必要であるため、家で応急処置などはせず、すぐに動物病院へ直行しましょう。

 

片方の鼻から鼻血が出る

片方の鼻からの出血は、鼻腔内腫瘍の初期症状かもしれません。病状が進行すると、次第に両方の鼻から出血するようになっていきます。反対に血小板減少症など、血液の凝固異常が原因で起こる鼻血では片方のみから出血するという可能性は低いでしょう。

鼻血が出やすい犬種はある?

鼻血が出やすい犬

鼻血は犬種によって出やすいといった傾向はなく、どの犬種でも出る可能性があります。ただ、免疫機能が低下している高齢犬や、先述した病気になりやすい犬(例えば血小板減少症では遺伝的にマルチーズやプードルなどが多い)はとくに注意が必要です。

犬が鼻血を出したときに行う正しい対処法

犬が鼻血を出したときは、なるべく早く病院に向かうことが大切です。

病院到着までの間に行う処置としては、マズルと呼ばれる部分(鼻先~口まわり)の冷却です。保冷材などで冷えすぎないように間隔をあけながら冷やします。一時的に鼻血が止まれば、動物病院でその旨を伝えましょう。

鼻血が止まったからといって家に引き返すことはせず、鼻血の原因をしっかりと特定することが大切です。

 

ティッシュやガーゼを鼻に詰めるのは厳禁

人間が鼻血を出したときのように、ティッシュやガーゼを鼻に詰めることはやめましょう。犬は鼻呼吸をする動物です。とくに短頭種の犬は、鼻に何かを詰めることで呼吸が不安定になる可能性があります。

また、あごを高くして上を向かせる行為も厳禁です。流れ出る鼻血が逆流し、気管やのどに流れ込んで誤嚥性肺炎を引き起こすおそれがあります。

犬が鼻血の治療方法は原因によってさまざま

犬が鼻血を出したときは、ひとまず原因を特定することが大切です。

鼻血の原因に合わせて適切な治療を行います。

  • 鼻腔内腫瘍…摘出手術や放射線・抗がん剤治療など
  • 血小板減少症など血液の凝固異常疾患…免疫機能を抑える治療などの内科治療
  • 歯周病…歯石除去や抜歯など
  • アレルギー性鼻炎…抗アレルギー薬や抗炎症剤など
  • ワルファリン中毒…ビタミンK1製剤の投与など
  • 外傷…裂傷や骨折などの場合は手術など

原因がはっきりしない場合は、複数の病院を受診してみるのも1つの方法です。なかには1次診療の病院では対応できない病気もありますので、2次診療の病院にセカンドオピニオン受診するのもよいでしょう。

犬の鼻血を予防するには

犬の鼻血を防ぐには、鼻血を出すような病気にさせないこと、鼻をぶつけるような環境を作らないことが大切です。

もちろん、遺伝性のものや加齢が原因の病気を防ぎきることは難しいかもしれません。ただ歯周病や外傷など、日ごろのケアや見守りで防げる場合もあります。アレルギー性鼻炎であれば、アレルゲンとなり得るものをなるべく取り除くといった対応も効果的です。

鼻腔内腫瘍は日ごろから注意していても予防は難しいでしょう。片方の鼻から鼻汁が続く場合は、様子を見ないで早めにMRIで確認することをおすすめします。

まとめ

ここまで、犬の鼻血について解説してきました。

  • 犬が鼻血を出したら、なるべく早く動物病院へ
  • 犬の鼻血の原因は、鼻腔内腫瘍や血小板減少症、アレルギー性鼻炎、外傷など
  • 犬の鼻血の対処法は、マズルを冷えすぎない程度に冷やし、ティッシュなどは詰めない

犬の鼻血は、想像以上に深刻な病気の症状であることがわかりました。たいしたことないだろうと様子をみすぎず動物病院でしっかりと検査すれば、共に暮らせる期間がより長くなるかもしれません。

 

※動物病院は自由診療のため、医療費が高額になる可能性があります。
ペット保険に加入していなければ、全額を自己負担で支払わなければなりません。
万が一の備えとしてペット保険に加入しておくと安心です。
また保険選びで迷われている方は、ペット保険の保険料や条件を一括比較できる「人気ペット保険おすすめランキング」もご覧ください。

獣医師平松先生
この記事の監修者 平松 育子
獣医師・ペットライター。山口大学農学部獣医学科(現:共同獣医学部)卒業。2006年3月~2023年3月、有限会社ふくふく動物病院・取締役、院長。ジェネラリストですが、得意分野は皮膚疾患です。獣医師歴26年(2023年4月現在)の経験を活かしペットに関する情報をお届けします。

この情報をシェアする

【ペット保険比較】10秒でカンタン比較

関連記事