犬が下痢や血便、嘔吐を繰り返している場合、パルボウイルス感染症を考えなければいけません。
パルボウイルス感染症は、致死率も高い病気であり、早期発見・治療が必要です。また、感染を予防するために飼い主さまが知っておくべきことも多々あります。
そこで本記事では、犬のパルボウイルスについて以下の点に注目して解説していきます。
・犬のパルボウイルスの症状、原因
・検査方法
・治療法、予防方法
・かかりやすい犬の特徴
治療費用の目安やよくある疑問に対してもお答えしているので、ぜひ最後までお読みください。
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犬のパルボウイルス感染症について
パルボウイルス感染症は、犬がパルボウイルスに感染することによって発症します。
下痢や嘔吐が進行すると脱水症状がみられ、最悪の場合は死に至ることもある恐ろしい病気です。
人にはうつることはありませんが、手や衣服に付着したウイルスから愛犬が感染する場合があります。
効果的な治療方法はなく、対症療法で免疫力を回復させなければいけません。
無治療の場合の致死率は90%にもなるため、早期の発見・治療が大切な病気です。
飼い主さまは、愛犬の異変に気づいた場合には、早急に動物病院に連れていきましょう。
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犬のパルボウイルス感染症はどんな症状?
犬のパルボウイルス感染症の症状は以下の通りです。
・嘔吐
・下痢(血便)
・脱水
・発熱
・元気消失
・食欲不振
・体重減少
・敗血症
最も多くみられる症状は、嘔吐と下痢、発熱です。
パルボウイルスは腸管の細胞に感染すると腸粘膜を引き剥がし、激しい炎症を起こすため血便がみられる場合があります。
感染を引き起こし、敗血症になることもあるため、注意が必要です。
嘔吐や下痢、食欲不振により脱水や低血糖が引き起こされ、最悪の場合は死に至ることもあります。
パルボウイルス感染症の原因となるのは?
感染犬の糞便などに含まれるウイルスを間接的または直接的に取り込むとパルボウイルス感染症を発症します。
多くの犬が飼われている多頭飼いの環境では、ほかの犬にうつることもあるため、注意が必要です。
パルボウイルスは非常に感染力が強く、乾燥した空気中や土壌といった環境でも数ヶ月間生存できます。
人間の衣服や手についているウイルスを舐めることによって、犬が感染する場合もあります。
ほかの犬を触った後は、しっかりと清潔な状態で愛犬と触れ合うようにしましょう。
パルボウイルス感染になりやすい犬種
すべての犬種にかかる可能性はありますが、免疫力が整っていない、予防接種のプログラムが終わっていない子犬はとくにパルボウイルスにかかりやすくなります。
また、海外の研究では、以下のような犬種はパルボウイルスに感染しやすいとされています。
・ロットワイラー
・ピットブル
・ドーベルマン・ピンシャー
・ジャーマン・シェパード・ドッグ
・アメリカン・ピット・ブルテリア
・イングリッシュ・スプリンガー・スパニエル
愛犬が上記に該当する場合には、ワクチン接種と衛生管理をしっかりと行うことが大切です。
犬のパルボウイルス感染症の検査法
犬のパルボウイルス感染症の検査方法は以下の通りです。
・抗原検査
・血液検査
・糞便検査
抗原検査は動物病院で行える最も有効な検査です。
糞便中にパルボウイルスが検出されるかどうか、専用のキットを用いて簡単かつ迅速に確認できます。
感染した犬では、白血球数の減少がみられることがあるため、血液検査で白血球の数を観察することも重要です。
糞便検査では、寄生虫や細菌などほかの原因によって、下痢をしていないかどうか確認していきます。
犬のパルボウイルス感染症の治療法とは?
パルボウイルス感染症に効果的な治療方法はありません。
感染犬の体がウイルスに打ち勝てるように、以下のような対症療法を行っていきます。
・輸液療法:嘔吐や下痢によって失われた水分を補給する
・抗生剤:腸粘膜障害による二次感染や敗血症を予防する
・吐き気どめ:嘔吐による脱水を予防する
・輸血:血便がひどい場合や低タンパク血症が重度な場合に用いる
感染犬がパルボウイルスに対して、免疫を獲得できた場合には、症状は改善していくでしょう。
しかし、治療に反応せず嘔吐や下痢の症状が数日経っても改善しない場合には予後不良となるので注意が必要です。
犬のパルボウイルス感染症の治療費用
犬のパルボウイルス感染症の治療費用については以下の通りです。
治療費用例はあくまで目安となります。
診察・治療内容 | 治療費例 |
診察料 | 750円 |
血液検査 | 6,250円 |
糞便検査 | 1,000円 |
ウイルス検査 | 4,000円 |
抗生剤 | 1,200円 |
吐き気どめ | 1,200円 |
静脈点滴 | 4,000円 |
輸血 | 11,250円 |
入院 | 2,500円(1日当たり) |
重症度によって、さまざまな治療方法が選択され、入院の期間も1週間以上に長引く場合もあります。
パルボウイルス感染症の予防法はある?
パルボウイルス感染症を予防するためには、定期的なワクチン予防接種を行いましょう。
混合ワクチンを接種することで、パルボウイルスに対する免疫を獲得できます。
特に子犬はパルボウイルス感染症にかかると重症化しやすいので、しっかりとワクチン接種を行うようにしてください。
パルボウイルスは環境中にも存在するため、愛犬の周囲の環境を清潔に保ち、感染リスクがあるような場所に連れていかないようにすることも大切です。
犬のパルボウイルスに関する疑問4点!
犬のパルボウイルスに関してよくある疑問点を紹介します。
・パルボウイルスの潜伏期間は?
・パルボウイルスの消毒をするには?
・パルボウイルス感染症は再発する?
・パルボウイルス感染症の死亡率とは?
それぞれの疑問について順に解説していきます。
パルボウイルスの潜伏期間は?
パルボウイルスの潜伏期間は、通常4〜7日です。
潜伏期間中にウイルスを撒き散らしてしまう場合もあるので注意が必要です。
潜伏期間中の犬と触れ合うことによって、パルボウイルスに感染することもあります。
予防接種のプログラムが終わっていない子犬は、ほかの犬との接触は避けてあげると安心です。
パルボウイルスの消毒をするには?
消毒には、次亜塩素酸ナトリウム(塩素)を希釈したものを用いてください。
アルコール消毒では、パルボウイルスを消毒できません。
感染した犬が触れた場所や使用した食器などは、しっかりと消毒しましょう。
同居犬がいる場合には、感染しないように隔離しておくと安心です。
パルボウイルス感染症は再発する?
パルボウイルスに対する免疫を獲得している場合、再発したり、複数回かかったりすることはありません。
しかし、定期的なワクチン接種を行っておらず、免疫が十分に獲得できていないと再度パルボウイルスに感染する可能性もあります。
パルボウイルスが完治した後も、免疫を十分に獲得するため、定期的なワクチン接種が必要です。
パルボウイルス感染症の死亡率とは
パルボウイルス感染症の死亡率は、無治療の子犬で90%です。
しかし、早期発見・治療を行えば、死亡率を10%以下にまで下げることができます。
飼い主さまは、愛犬に異変がみられた場合にはすぐに動物病院に連れていき治療を行うことを意識しましょう。
まとめ
本記事では、犬のパルボウイルスについて解説してきました。
重要な点をおさらいしておきましょう。
・犬のパルボウイルスの症状は、下痢、嘔吐、発熱など
・原因は環境中、糞便中のウイルスからの感染
・有効な治療法はなく、対症療法を行う
・予防には定期的なワクチン接種が重要
犬のパルボウイルスは、しっかりと治療を行えば助かる場合もありますが、無治療の場合約90%は死亡してしまう恐ろしい病気です。
飼い主さまは、愛犬のワクチン接種をしっかり行い、感染リスクがあるような場所には近づけないようにしましょう。
※動物病院は自由診療のため、医療費が高額になる可能性があります。
ペット保険に加入していなければ、全額を自己負担で支払わなければなりません。
万が一の備えとしてペット保険に加入しておくと安心です。
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