猫の妊娠期間

飼育している猫が突然攻撃的になり、お腹がふっくらしてきたら、妊娠している可能性があります。猫は安産が多い動物とされていますが、突然のトラブルを回避するために、飼い主が妊娠と出産についての知識を持っておくことが重要です。

本記事では、猫が妊娠している兆候期間発情期について獣医師の平松育子先生監修のもと解説します。飼い主にできる出産のための準備も紹介しますので、出産を控えている猫がいる方はぜひ最後までご覧ください。

 

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目次

猫が妊娠した兆候は?症状を見分けよう!

猫の妊娠の兆候

妊娠しているかどうかの判断は、乳首の色の変化が一番分かりやすいと言われています。猫は妊娠すると乳首の色がピンクになり、乳腺に張りが出る ため、飼い主でも目視できるほど乳首が目立っているようであれば、妊娠している可能性があります。

また妊娠初期には、食の好みが変化することがあるようです。元気もあり、異常は見られないのに、いつものご飯を食べないというときは、妊娠が疑われます。

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猫の妊娠中の変化とは

妊娠中には、精神的・身体的にさまざまな特徴が現れます。ここでは、妊娠中の特徴出産間近の特徴を紹介します。猫の妊娠が疑われる際に、ぜひ参考にしてください。

妊娠中の特徴

猫は妊娠20日頃から、乳首の色がピンクに変化し、乳房の張りが目立つようになります。さらに妊娠30日あたりには、お腹がふくらみ、触診や目視での判断ができます。この頃には、食欲が大幅に増し、体重の増加も確認できるでしょう。 また、いつもは穏やかな猫でも、妊娠したことで母性が生まれ、子猫を守るために攻撃的になる場合もあります。性格の変化は個体差があるので、いつも通りの様子で変化しない猫もいます。  

出産間近の特徴

妊娠50日頃には、胎動を感じられるでしょう。妊娠60日前後になると、落ち着きなく歩き回り、暗く落ち着ける場所を探したり、敷物などを前足で掘ったりと巣作り行動が見られます。また、陰部を気にして頻繁に舐める行動や、頻尿になる場合もあります。 出産間近には、母乳が出るようになり、母乳が出てくると分娩まであと数日と考えて良いでしょう。急激な食欲低下が見られたら、24時間以内に分娩が始まる可能性があります。分娩前に慌てないように、出産のための準備は事前に整えておきましょう。

妊娠した可能性がある場合は病院へ

猫の超音波検査

妊娠の可能性がある場合、動物病院を受診することをおすすめします。猫は比較的安産と言われていますが、出産中にトラブルになった時に、獣医師よりアドバイスをもらっておくと、安心してサポートができるというメリットがあります。

超音波検査

病院を受診すると、妊娠しているか確認するために超音波検査が行われます。早ければ妊娠30日目以降にお腹に胎児がいるかの確認ができます。また、分娩間近になると胎児の頭数や位置、心拍などの確認が可能です。

レントゲン検査

妊娠50日目以降は、胎児の骨格がしっかりしてくるため、レントゲンで頭数と胎位を確認できます。また、胎児の大きさと産道の広さを比較して、難産になる可能性も予測できます。事前に頭数確認もできるので、お腹の中に胎児が1匹残ったままで放置してしまうなどのトラブルを防ぐことが可能です。

猫の妊娠期間はどれくらい?

猫の妊娠期間は、交配日から約2か月です。品種や、胎児の頭数、栄養状態によって個体差があり、59~65日の間に出産する場合が多いとされています。1回の出産で1~8匹ほど産みます。

出産が終わり、子猫たちが離乳する約2か月後には、次の妊娠が可能です。さらに生まれた子猫は、生後約6か月で妊娠が可能になるため、繁殖サイクルが非常に早いという特徴があります。不妊手術をしないと、あっという間に頭数が増えていきます。

猫の妊娠に関するQ&A

猫の妊娠率

猫の妊娠は、人間とは異なる特徴が多くあり、詳しくは知らないという方が多いでしょう。ここでは、猫の妊娠についての疑問を解説します。交配を考えている方には、必ず知っておいて欲しい基礎知識ばかりなので、ぜひ参考にしてください。

猫の妊娠率は高いって本当?

猫は哺乳類の中では珍しく、交尾の刺激によって排卵する交尾排卵型の動物です。交尾の際に排卵することで、卵子と精子が出会いやすく、繁殖力が高いという特徴があります。また猫は複数の卵子を一度に排卵します。そのため、複数の精子を定着させることができます。

 

猫は何歳から妊娠できる?

メスは、生後6か月から妊娠可能です。またオスは、生後6~10か月で性成熟を迎えて、繁殖可能になります。個体差はありますが、メスは約12歳まで妊娠・出産が可能と言われています。ただし、12歳での出産は高齢出産とされ、若い頃の出産よりリスクが高くなります。

 

猫にはつわりがある?

人間の妊娠とは違い、つわりはほぼ見られません。猫によっては、食の好みが変化し、いつものご飯を食べなくなることもありますが、食欲はいつも以上に増す傾向にあります。

 

猫の偽妊娠期間って何?

排卵後に着床しなかった場合、偽妊娠期間に入る可能性があります。偽妊娠とは、妊娠をしていない状態で、妊娠した時と同じホルモンが働き、乳腺が張ったり、食欲がなくなったりする状態です。病気ではないので、約1か月ほど様子を見ていれば問題ないとされています。

猫の発情期について知っておこう

猫は周期的に発情期を迎える動物です。発情期を迎えると性別問わず、いつもと違う行動をして、問題行動を起こす場合もあります。ここでは、メス猫とオス猫の発情期について解説します。

メス猫の発情期

メスの初めての発情は、生後6~10か月頃に迎えます。発情時期は日照時間に大きく影響されるため、猫は長日繫殖動物に分類されます。長日繁殖動物とは、日照時間が長くなる春先に繁殖を行う動物を指します。

発情期は年に2,3回あり、2~4月や6~9月など日照時間が長く、比較的暖かく子育てしやすい時期が多いようです。1回の発情期は、平均7~10日が一般的です。室内飼育の場合は、人工的な照明も影響するため、季節関係なく発情することがあります。

 

オス猫の発情期

オスは、メスの発情のフェロモンに誘発されて発情するため、メスのように時期や周期が決まっていません。発情したオスは、外に出たがったり、大声で鳴いたり、壁などに尿をかけるスプレー行為をしたりします。

猫の出産準備!飼い主ができること

猫の妊娠が分かったら、出産を迎えられるように飼い主がサポートを行い、準備を整えることが重要です。ここでは、出産前に飼い主が心がけることを3つ紹介します。

栄養のある食事を与える

妊娠中は、胎児を育てるために、栄養のある食事を取る必要があります。妊娠して1か月ほどは、今まで通りの食事内容で問題ありませんが、それ以降は食事量を増やします。ただし、妊娠中に太り過ぎてしまうと難産になる恐れがあるので注意しましょう。

 

難産に備えて病院を調べておく

出産中の難産などのトラブルに備えて、事前に病院を調べておくことが大切です。かかりつけの病院があれば、事前に連絡を入れておくと安心できます。かかりつけの病院が休診日のときや、夜間の出産に備えて、救急対応が可能な病院を調べておきましょう。

 

産箱を用意する

出産日が近づいてきたら、母猫の出産スペースとして産箱を用意します。産箱は、猫がある程度動き回れる大きさのダンボールに、毛布やペットシーツを敷いたものがおすすめです。出産中でも猫が落ち着ける薄暗い場所に用意しましょう。

猫の出産をしっかり見届けよう

猫の分娩後

猫の出産時、万が一のときのために、飼い主が出産をしっかり見届ける必要があります。強い陣痛後に、中々胎児が出てこない場合や、微弱な陣痛が長時間続いている場合は、早めに獣医師へ相談することがおすすめです。ここでは、分娩の流れを紹介します。

分娩直前の様子

分娩直前になると、母猫は落ち着きなくウロウロと歩き回ります。また、頻繁に鳴いたり、毛づくろいをしたりなどの様子があれば、陣痛が始まっている可能性があります。飼い主はなるべく近づかないように、遠くから見守りましょう。

 

分娩開始

子猫は、陣痛が始まって30~40分間隔で生まれてくるため、一般的な出産にかかる時間は2~5時間です。子猫は膜に包まれて生まれ、母猫が膜を破り、舐めて呼吸を促します。生まれて産声をあげたか飼い主がチェックし、鳴かなければ、飼い主が介入する必要があります。

 

分娩後

出産後は、神経質になっている母猫が多いため、むやみに近づかずに、子猫のケアは母猫に任せます。母猫が子猫の面倒をみない場合は、飼い主が母親代わりをする必要があります。まずは獣医師に相談し、母猫と子猫の健康状態を確認してもらうことが大切です。

避妊・去勢手術の検討

新しい命が生まれるのは、とても幸せな出来事ですが、それぞれの命に責任が生まれます。生まれてきた子猫の世話ができる環境を用意したり、子猫の飼い主になってくれる里親を探したりするなど、出産前に準備を整えておくことが必要です。

また、望まない妊娠を事前に防ぐのも、飼い主の責任です。繁殖を望んでいない場合は、不妊手術を検討しましょう。不妊手術は妊娠を防ぐだけでなく、乳腺ガンや前立腺の病気を防ぐというメリットもあります。

まとめ

ここまで、猫の妊娠期間や発情期、出産準備について解説してきました。

・猫は交尾の刺激で排卵するため妊娠率が高い

・妊娠期間は約2か月

・メスには年に2,3回の発情期がある

・オスは、メスのフェロモンに誘発されて発情する

・出産前には、飼い主のサポートが必要

妊娠を望まない場合は、不妊手術を検討することも大切です。
飼い主は、出産のリスクを考慮しながら、猫のことをきちんと考え、責任ある行動をとりましょう。

 

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獣医師平松先生
この記事の監修者 平松 育子
獣医師・ペットライター。山口大学農学部獣医学科(現:共同獣医学部)卒業。2006年3月~2023年3月、有限会社ふくふく動物病院・取締役、院長。ジェネラリストですが、得意分野は皮膚疾患です。獣医師歴26年(2023年4月現在)の経験を活かしペットに関する情報をお届けします。

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