犬の耳の病気・治療・ケア

犬がじゃれてきたときに、耳から悪臭がしたら耳の病気を患っている可能性があります。

特に、垂れ耳の犬種は耳の病気を発症しやすい傾向にあるため、耳のチェック・ケア・定期的な検診が必要です。

 

犬の耳が臭いときや耳を痒がるときに考えられる病気と症状をはじめに、耳の病気になった犬が取る行動についても初心者にわかりやすく解説します。

【この記事でわかること】

  • 犬の耳が臭い原因は病気以外にもある?
  • 犬がかかりやすい耳の病気
  • 定期的な検診で病気の早期発見!
  • デリケートな犬の耳に対する正しいケア方法

さらに、耳の病気の治療内容や治療費についても解説していくので、ぜひ最後まで読んでください。

 

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目次

犬の耳の構造はどうなっているの?

耳には音を集める耳介(じかい)があり、耳介の中心に軟骨があります。

犬に立ち耳と垂れ耳があるのは、耳介の大きさ・形・軟骨の硬さに違いがあるからです。

音は耳の穴から外耳道(がいじどう)を通り、奥にある鼓膜を振動させます。外耳道とは、耳の穴から鼓膜へ伸びているトンネルです。

 

人の外耳道はほぼ真っすぐですが、犬の外耳道は途中で曲がっているためL字型をしています。

音を感じると鼓膜が振動し、その振動を耳小骨(空洞状の小さな骨)に伝え、さらに奥にある蝸牛(かぎゅう)へと伝えて音を認識します。

 

犬の耳が臭い原因とは? 

犬の耳が臭いときは、耳が赤い、または黒い耳垢が出る・痒がる・頭を振る・耳をかくなどの症状がないかチェックしましょう。

本来、健康的な犬であれば耳垢は臭わないため、耳が臭い場合は何か原因があります。

続いては、犬の耳が臭い原因について解説しますので、臭いが気になる方はぜひチェックしてみてください。

 

病気以外の原因 

犬の耳が臭い場合に疑われる、病気以外の原因をご紹介します。病気ではないからといって、楽観視はできません。

病気以外の原因でも、放置すると病気につながるケースもあります。

原因を探り、必要なケアをしてあげましょう。

 

◆耳の中の蒸れ 

犬の耳が臭くなる原因の一つが、耳の中の蒸れによる菌の増殖です。

蒸れによる耳トラブルは、トイ・プードルやミニチュア・シュナウザーなどの、耳毛が多くて垂れ耳の犬種によくみられます。

 

犬の耳道はL字型のため、通気性が悪い上に外耳の毛の影響で蒸れやすく、さらに垂れ耳の場合は耳道をふさいでしまうため蒸れやすくなります。

特に、梅雨時期では愛犬に耳掃除を行い、蒸れと耳垢の不快感から開放してあげましょう。

 

◆耳の中のケガ 

犬の耳はとてもデリケートなため、耳をケガしないようにしっかりと行動を見守りましょう。

犬がカーペットや草むらに頭をこすりつけた際、耳を傷つけてしまうケースがあります。

 

また、頭をこすりつけたとき、耳に異物が入り込んでケガをするケースもあります。

耳から悪臭がするときは、耳の中のケガ・かさぶた・異物の有無をチェックしてあげてください。

 

原因として挙げられる病気 

ここからは、犬が発症しやすい耳の病気を解説します。

耳に蒸れやケガなどの状態がないのに臭う場合は、病気の可能性を視野にいれてチェックしましょう。

犬がかかりやすい耳の病気・耳の病気になりやすい犬種・病気のときの症状をご紹介します。

 

◆外耳炎 

耳を痒がる・頭を振る・耳垢が増えた・耳が赤い・耳をかいた後ろ足を舐めるなどの症状がみられたら、外耳炎の可能性があります。

特にわかりやすい症状として、耳や耳の周辺をかくことが多くなったり、耳を床にこすり付けたり、頭を振る回数が増えたりなどです。

 

外耳炎はあらゆる犬種で発症する可能性のある病気ですが、特に若い犬・垂れ耳の犬・アトピーの犬・アレルギー体質の犬は発症しやすい傾向にあります。

そのため、定期的に耳をチェックし、耳垢が出てきたら乾いたコットンで耳の表面をやさしく拭き取ってあげてください。  

 

◆中耳炎・内耳炎 

中耳炎・内耳炎を発症しやすいのは、垂れ耳の犬種です。

▼中耳炎・内耳炎の症状

  • 耳の悪臭
  • 首が傾いている
  • 繰り返し頭を振る
  • 耳を床にこすり付ける
  • 後ろ足で耳の周辺をかく
  • 耳に触れると嫌がったり痛がったりする
  • 耳だれ(膿)が出る
  • 平衡感覚の喪失

中耳炎とは、鼓膜とその周囲にある器官に炎症が生じる病気です。中耳炎の多くは外耳炎を併発しています。

 

内耳炎とは、音の認識や平衡感覚を司る内耳に炎症が生じる病気です。

内耳には、体の平衡感覚を感じ取る神経があります。中耳炎や内耳炎で首が傾くのは、この平衡感覚の神経が障害を受けているからです。

 

犬の首が傾いている場合は、傾いているほうの耳に炎症の疑いがあります。

獣医師の診断を受けて、適切な処置をしてあげましょう。  

 

◆マラセチア 

マラセチアはカビの一種で、健康な耳にも存在する常在菌です。

しかし、耳の健康状態が悪くなると異常繁殖し、炎症を引き起こすケースがあります。

耳の中や耳垢の状態をチェックし、マラセチアの早期発見へとつなげましょう。

▼マラセチアの可能性がある基本的な症状

  • 耳の中から酸っぱい臭いがする
  • ベッタリとした茶色の耳垢もしくは黒い耳垢が出る
  • 耳を痒がる
  • 耳の中が赤い、または黒い
  • 耳垢の量が増える
  • 頭を振る

高温多湿の梅雨時期に発症しやすく、完治するまで痒みが続くケースが多いため、愛犬の行動をしっかり観察してあげてください。

また、耳をかきむしると皮膚を傷つけ、細菌による二次感染につながる可能性もあります。  

 

◆耳ヒゼンダニ症 

耳ヒゼンダニ症は耳疥癬(みみかいせん)とも呼ばれる病気で、体長0.3mmほどの耳ヒゼンダニが耳に寄生すると発症します。

耳ヒゼンダニ症は、小型・大型の犬種の幼犬と成犬に多くみられる病気です。

▼耳ヒゼンダニ症の症状

  • 耳が臭い
  • 頻繁に頭を振る
  • 頻繁に耳をかく
  • 耳をひどく痒がる
  • 耳の周辺に触れると嫌がる
  • 黒い、または赤黒い耳垢が大量に出る

耳ダニのフンが耳垢に混ざると、黒い耳垢が大量に出ます

黒い耳垢は濡れたティッシュの上に置くと赤い色に変色するため、黒い耳垢が大量に出てきたら確認してください。

 

耳ヒゼンダニ症は人に感染しませんが、犬が頭を振るとダニの卵や成虫が飛び出して、ほかの犬に感染する恐れがあります。

 

犬の耳が臭い場合に動物病院の受診が必要な症状について 

犬の耳受診が必要

犬の反応や症状から病気を疑っても、病名を正確に特定するのは困難です。

耳の病気は脳に近い位置で発症するため、炎症が悪化すると脳にダメージを与える可能性があります。

飼い主の独断で判断せず、獣医師の診断と処置を施し、自宅ケアのアドバイスを受けるのが大切なポイントです。

 

受診が必要な症状 

ここでは、受診が必要な症状について解説します。

▼受診が必要な症状

  • 耳が腫れている
  • 頭を振る
  • 頻繁に耳をかく
  • 耳を触ると熱い

上記は耳血腫(じけっしゅ)の症状です。耳血腫を放置すると、深刻な状況に進展してしまう可能性があります。

耳血腫とは、耳のヒラヒラしている部分(耳介)の血管が破れて耳介軟骨の隙間に血がたまり、耳が腫れる病気です。

 

耳血腫は放置すると耳が変形し、激しく痛みます。

さらに、耳が壊死する可能性もあるため、耳血腫の疑われる症状がある場合は、獣医師の受診を受けましょう。

耳血腫は、外耳炎や中耳炎が原因となって発症するケースが多くみられます。

 

様子を見ても問題ない症状 

犬の耳は蒸れやすいため、病気ではなくとも独特の臭いを発する場合があります。

しかし、悪臭や炎症などの症状がなく、以下のような状態やリアクションがみられる場合は、自宅で様子を確認しましょう。

▼様子を見ても問題ない症状

  • 耳垢が少ない
  • 耳から嫌な臭いはしない
  • 耳の色に異常はない
  • 耳の中に異物が入り込んでいない
  • 耳に腫れや膿などの症状がみられない
  • 耳に触れても、嫌がったり痛がったりしない

耳には耳垢を外に出す自浄作用があるため、少しくらいの耳垢なら深刻に考えなくても問題はありません。

少ししかない耳垢を強引に取り出すと、デリケートな耳を傷つける可能性があります。

ただし、犬のリアクションをしっかりと観察し、異常な行動がみられたら獣医師の診察を受けましょう。

 

犬の耳の病気に対する治療内容と治療費 

犬の病気に対する治療内容と治療費について解説します。

犬の治療が高額な場合は、経済的に大きな負担です。

犬がかかりやすい耳の病気・治療内容・治療費を調べて、いざというときに備えておきましょう。

 

犬がかかりやすい外耳炎の治療費と治療方法 

外耳炎の治療費は、3,000円〜5,000円が相場です。しかし、検査や薬以外の治療をして、治療期間が長引くと高額になる場合があります。

また、手術にいたっては10万円ほどの治療費が必要です。

 

マラセチアが見つかると、抗生剤や抗真菌薬で治療します。

薬の種類は、主に局所制御の点耳薬と全身投与の内服薬です。

 

外耳炎の場合は基本的に点耳薬を投与しますが、炎症や感染の状態が重く、点耳薬での治療が困難な場合は内服薬を処方します。

 

感染源が耳ヒゼンダニの場合は、ダニ駆虫薬で治療するのが一般的です。

 

犬の耳を健康に保つ方法について 

犬の耳を健康に保つ方法 

ここでは、犬の耳を健康に保つ方法について解説します。

犬の病気を知り、早期発見と治療に努めるのは大切なことですが、定期検診と自宅ケアで健康を保つのがいちばん重要です。

とてもかんたんなので、ぜひ実践してみてください。

 

週に1回は愛犬の耳の様子をチェックと定期的な検診 

犬の耳を健康に保つには、日ごろから耳の様子をチェックし、定期的な検診を受けることが大切です。

耳垢の量・耳の悪臭・耳の変色や炎症などがないか、しっかりチェックしてあげましょう。

 

また、定期的に検診を受けていると、見落としやすい病気の早期発見につながります。

獣医師以外では判断できない症状もあるため、定期的な検診で耳の健康状態を確認するのが大切です。

頻繁に頭を振るとか耳垢が増えたとか、いつもと違う状態がすぐわかるように、日ごろから行動を観察しておきましょう。

 

定期的な耳掃除を行う 

犬の耳を健康に保つための自宅ケアは、定期的な耳掃除です。犬の耳は蒸れやすい構造なので、耳掃除で少しでも通気性を確保してあげてください。

また、耳掃除をすると耳垢の状態がわかるため、病気の早期発見につながります。

 

かんたんにできる自宅ケアなうえ、さらに犬とのコミュニケーションも深まるため一石二鳥です。耳掃除の際は、乾いたコットンでやさしく拭き取ってください。

 

家の中や飼育環境を清潔にする 

犬が耳の病気を発症する原因の一つとして、耳ヒゼンダニの寄生が挙げられます。

飼育環境を清潔にして、感染を防ぐのが大切なポイントです。湿気を抑える・ホコリを取り除く・こまめに糞尿を処理するなどして、快適な飼育環境を整えてあげましょう。

快適な飼育環境はストレスを抑える効果もあるため、精神衛生面の観点からも重要です。

 

犬の耳のケアでやってはいけないNG行為 

犬の耳のケアNG行為

ここでは、自宅ケアにおけるNG行為について解説します。

犬の健康を保つための自宅ケアでも、間違った方法では感染症を引き起こす可能性があり、かえって逆効果です。

犬の耳は人間と同様、デリケートな器官ですので正しいケアをしてあげましょう。

 

綿棒を使った耳垢掃除 

綿棒はやわらかいイメージですが、綿棒での耳垢掃除はNG行為です。

耳には自浄作用があるため、見える範囲の耳垢を拭き取るだけで問題はありません。

しかし綿棒を使用すると、耳垢を奥に押し戻してしまうため逆効果になります。

 

また、デリケートな外耳道を傷つける可能性もあります。傷や押し戻された耳垢が感染症を引き起こすため、綿棒での耳垢掃除はやめましょう。

 

耳掃除のやりすぎに注意 

犬の耳ケアは、汚れのチェックを1週間に1度、耳垢掃除は1か月に1~2回を目安に行いましょう。

耳には自浄作用があるため、耳が健康な犬は耳垢掃除を頻繁に行う必要はありません。

 

また、耳の皮膚にはバリア機能が備わっています。そのため、耳掃除をやりすぎるとバリア機能が損なわれて、自浄作用が低下するので注意してください。

 

まとめ|犬の耳の病気はこまめなチェックや定期的な検診で予防!

犬の耳は通気性が悪く、耳の病気を発症しやすい構造をしています。

特に、垂れ耳や耳毛の多い犬種は耳道をふさぎやすく、蒸れやすいため耳の病気を発症しやすい傾向にあります。

 

さらに、日本は高温多湿で菌が増殖しやすい環境です。

菌の増殖により、外耳炎や中耳炎などの病気を引き起こすため、こまめな耳のチェックや定期的な検診で予防してあげましょう。

また、耳掃除では綿棒は使用せず、やわらかいコットンでやさしく拭き取ってあげましょう。

耳には自浄作用があるため、耳垢掃除のやりすぎは禁物です。

 

※動物病院は自由診療のため、医療費が高額になる可能性があります。
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この記事の監修者 ペット保険比較のピクシー編集部
ペット保険の専門家であるメンバーがコラムを監修しています。少額短期保険募集人、損害保険募集人、ファイナンシャルプランナー、愛玩動物飼養管理士、いぬ検定、ペット防災指導員などの数多くの資格を保有。犬や猫などの動物が大好きで、飼育歴は10年以上です。知識や経験を活かして、さまざまなお役立ち情報をお届けします。

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