ペットが迷子になってしまったとき、マイクロチップは飼い主さまのもとへ帰るための大切な手掛かりになります。
「そういえば義務化のニュースを見た気がする」「うちの子はどうなんだろう?」と思っている方も多いのではないでしょうか?
この記事では、マイクロチップの費用や埋め込む方法についてご紹介しながら、装着するメリットやデメリットについても解説します。よくある質問にも回答していますので、一つずつ不安を解決していきましょう。
- マイクロチップが”無料”になる方法
- ペットを保護したらどうするべき?
- 耐久性は何年?壊れないの?
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犬・猫のマイクロチップとは?
犬や猫のマイクロチップとは、皮膚の下に埋め込む円筒形の電子標識器具です。
大きさは直径1~2mm、長さ8~12mmほどであり、外側は丈夫な素材でコーティングされています。マイクロチップには15ケタの番号が記録されており、専用のリーダーを体にかざすと個体情報がわかる仕組みです。耐用年数は30年ほどのため、故障や脱落などのトラブルがない限り、一度装着すれば一生涯使用できます。
犬・猫のマイクロチップ埋め込み費用はいくら?
マイクロチップを埋め込むための費用は、数千円~1万円程度のようです。動物病院によって費用は異なるため、事前に問い合わせるか、ホームページで確認しましょう。
マイクロチップ埋め込み費用は補助金が出る場合も!
一部の自治体では、犬や猫のマイクロチップ装着に対して助成を行っており、調べたところ1,000円以上の補助金が出るようです。なかには全額を補助するという自治体もありました。
2023年6月時点で、補助金が出る自治体は
- 神奈川県横浜市
- 愛知県名古屋市
- 京都府京都市
などがあります。
申請期間や上限頭数が限られている場合があるため、詳細は各自治体のホームページでご確認ください。
参照:マイクロチップ装着費用に関する補助・助成事業を実施している自治体
マイクロチップの値段が無料になる方法はある?
マイクロチップを無料で装着する方法は見つけられませんでした。しかし、過去にはポイント付与で実質無料になるキャンペーンが実施されていたことがあります。
前述したように補助制度が用意されている場合がありますので、各自治体のホームページで確認してみましょう。
マイクロチップの費用は誰負担?4パターンを解説
マイクロチップを装着する費用は、かならずしも飼い主さまの負担ではありません。以下の4パターンに分けて「誰が負担するのか?」を解説します。
- ペットショップやブリーダー
- 2022年6月1日以降にお迎えした人
- 2022年6月1日以前から飼っている人
- 犬や猫を保護した人
ペットショップ・ブリーダー
ペットショップ、ブリーダーといった販売業者には、マイクロチップ装着と情報を登録する義務があり、かかる費用も負担します。
ブリーダーは生まれてから120日以内にマイクロチップを装着し、情報登録は30日以内、ペットショップはブリーダーからお迎え後、30日以内に情報を変更しなければいけません。
2022年6月1日以降にお迎えした人
2022年6月1日以降、ペットショップやブリーダーから購入した場合、マイクロチップはすでに装着されているため費用はかかりません。
しかし、購入してから30日以内に所有者の変更登録の手続きを行う際に、手数料がかかります。
2022年6月1日以前から飼っている人
2022年6月1日以前から犬や猫を飼育している場合には、マイクロチップの装着は努力義務とされています。
マイクロチップを装着・登録する際の費用は飼い主さまの負担となりますが、自治体によっては補助金制度があるため、装着を検討される際には調べてみると良いかもしれません。
※「努力義務」とは、当事者の努力を促すために定められたもので、強制ではなく罰則はありません。
犬や猫を保護した人
マイクロチップが埋め込まれていない犬や猫を保護したケースでは、マイクロチップ装着は努力義務とされています。
装着費用は保護した方の負担となり、装着後は情報登録をしなければいけません。保護した方が所有者として登録されますが、もし新しい飼い主さまが見つかった場合は、登録内容を変更する義務が生じます。
犬・猫のマイクロチップ登録料はいくら?手続き方法は?
マイクロチップを装着する際には、情報の登録も必要なことをご存じでしょうか?
この章では、手数料(登録料)と手続き方法をまとめましたのでご覧ください。
犬・猫にマイクロチップを装着・登録する場合は?
犬や猫に新たにマイクロチップを装着した場合には、新規登録の手続きが必要です。
獣医師から「マイクロチップ装着証明書」を渡されますので、30日以内に登録手続きを行いましょう。
1件あたりの登録手数料は、以下のとおりです。
- オンライン:300円
- 郵送:1,000円
犬・猫を購入して変更登録をする場合は?
ペットショップやブリーダーから犬や猫をお迎えした際には、30日以内に所有者の変更手続きが必要になります。
1件あたりの変更登録の手数料は、以下のとおりです。
- オンライン:300円
- 郵送:1,000円
なお、登録証明書の再交付には、オンラインで200円、郵送では700円の手数料がかかります。
犬・猫の死亡時にマイクロチップの手続きは必要?
犬や猫が亡くなった際には、登録機関に死亡の届け出を行う必要があります。
亡くなってから30日以内に、登録証明書に記載してあるマイクロチップの識別番号と暗証記号をご確認のうえ届け出てください。なお、死亡の届け出の際には手数料はかかりません。
犬・猫のマイクロチップ装着義務化の経緯・背景
犬や猫へのマイクロチップ装着が義務化された背景には、1995年に起こった阪神・淡路大震災の際に所有者がわからない犬や猫が多くいたことが挙げられます。当時、鑑札や名札を付けていたほとんどの犬や猫は飼い主さまのもとに戻ることができたのに対し、なにも付けていなかった犬や猫のなかで所有者が判明したのはごく少数だったといわれています。
このような背景から、マイクロチップ装着について定めた動物愛護管理法の一部改正内容は、2022年6月1日から施行されました。
また、世界的にもマイクロチップの装着は急速に進んでおり、マイクロチップを装着していないペットの輸入が禁止されている国もあります。
犬・猫のマイクロチップでわかることは?
マイクロチップには、データベースに登録されている飼い主さまや犬・猫の情報が記録されています。登録内容は次のとおりです。
- 個体識別番号(15ケタの数字)
- 犬や猫の情報(名前・生年月日・品種など)
- 飼い主さまの情報(氏名・住所・電話番号など)
- そのほか環境省令で定める事項
飼い犬や飼い猫が迷子になった際には、動物病院などにあるマイクロチップリーダーを体にかざすと情報がわかるため、飼い主さまのもとへ戻すことができる仕組みになっています。
犬・猫のマイクロチップは痛みがあるって本当?
犬や猫のマイクロチップは、獣医師が専用のインジェクターと呼ばれる注射器を用いて埋め込みます。マイクロチップの装着時に痛みを感じるのは針が刺さる瞬間のみです。そのため、一般的には麻酔や鎮静の必要はないといわれています。
痛みが心配な方は、麻酔や鎮静をともなう手術や処置のついでにマイクロチップの装着をお願いすると良いでしょう。
犬・猫のマイクロチップはかわいそう?普及率が低い?
マイクロチップに関するアンケートを見てみると、「かわいそう」という理由での反対意見もあるようです。
たしかに痛みや安全性を心配する声もみられますが、安全性の高い素材を使用しているため、健康被害のリスクはほとんどないといわれています。
なお、マイクロチップの正確な普及率はわかりませんでした。
しかし、動物IDデータベースシステムの登録数は、2010年の45万頭ほどから、2023年10月時点では300万頭近くになっており、増加傾向であることがうかがえます。
参照:犬と猫のマイクロチップ装着に関する意識・実態調査2023年:ペット保険「PS保険」調べ
犬・猫のマイクロチップによる探し方や確認方法は?
マイクロチップは、動物病院などにある専用のリーダーでしか読み込めないことはご存じでしょうか?
マイクロチップを埋め込んだからといって、迷子のペットをスマートフォンのアプリで探したり、ネットで検索してデータベースを閲覧したりすることはできません。
そのため、飼い犬や飼い猫が迷子になった際にはかならず自治体に届け出や問い合わせをして、保護された際にすぐに連絡が取れるようにしておきましょう。
犬・猫のマイクロチップは触るとわかる?
犬や猫のマイクロチップは、首の後ろの皮下(皮膚と筋肉の間)に埋め込まれているため、装着した場所を触るとわかる場合もあります。
なでるのは問題ありませんが、マイクロチップを装着した場所をむやみに強く触ったり叩いたりすると、移動してしまうことがあるため避けましょう。
外れたり落ちたりすることはほとんどありませんが、異常を見つけたら動物病院へ相談してください。
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犬・猫のマイクロチップは入れるべき?メリットとは
この章では、犬や猫のマイクロチップを装着するメリット2点について解説します。
なんといっても飼い主のもとへ帰りやすい
マイクロチップを装着する最大のメリットは、ペットが迷子になったときに飼い主さまのもとへ帰りやすくなることです。また、災害発生時や盗難時にもマイクロチップの情報が役立ちます。首輪ははずれてしまうリスクがありますが、皮下に埋め込むマイクロチップならはずれてしまう心配がないため安心です。
マイクロチップは何年もつ?寿命はない?
マイクロチップの耐用年数はおよそ30年です。一度装着すれば一生涯使用できるため、途中で故障などのトラブルがない限りは交換の必要はありません。
マイクロチップ装着のデメリットとは
犬や猫にマイクロチップを装着するデメリットについて解説します。健康面での安全性にはほとんど問題はないものの、情報を利用する際には注意しなければならない点もあるようです。
スマホではマイクロチップの情報を読み取れない
スマートフォンではマイクロチップの情報を読み取ることはできないため、以下の施設などに設置されている専用のリーダーが必要です。
- 自治体の保健所
- 動物愛護センター
- 動物病院
マイクロチップにGPS(位置情報)機能はない
マイクロチップにGPS機能はないため、迷子になったペットがいる場所を特定することはできません。GPSを活用したい場合には、首輪につけられるGPS機器を用意しておくと良いかもしれません。
マイクロチップの情報が古い場合も
マイクロチップの情報が更新されていない場合、飼い主さまに連絡が取れない可能性も考えられます。住所や連絡先に変更があった際には登録情報の変更手続きを忘れずに行いましょう。
犬・猫のマイクロチップ装着の危険性や注意点は?
ここでは、犬や猫にマイクロチップを装着する危険性や注意点について解説します。
犬・猫の体に負担や悪影響はある?
マイクロチップには「生体適合ガラス」という安全性の高い素材がコーティングされているため、犬や猫の体に悪影響を及ぼす心配はありません。ただし、装着の際には獣医師がインジェクターと呼ばれる専用の注射器で埋め込むため、ほかの注射と同程度の痛みが生じます。
マイクロチップが体内で破損する危険は?
通常、マイクロチップが体内で破損してしまう可能性はほとんどありません。ただし、交通事故や骨折などの際には破損の可能性もあるため、動物病院でレントゲン検査や専用のリーダーでの読み取りをおこない確認してもらいましょう。
マイクロチップ装着に関するQ&A
ここからは、マイクロチップ装着について飼い主さまから寄せられることが多い、よくある質問について回答していきます。
Q.
犬・猫にマイクロチップを埋め込むには?
A.
犬や猫にマイクロチップを装着するには、動物病院で処置をお願いしてください。
一般的に、麻酔や鎮静の必要はないといわれており、インジェクターという専用の注射器を用いて獣医師が首の後ろの皮下に装着します。
Q.
マイクロチップは何か月から装着できるの?
A.
犬は生まれてから2週間以降、猫は4週間以降にマイクロチップを装着できます。ただし、個体差や健康状態などによって適切なタイミングが異なるため、前もって動物病院に確認しておくと良いでしょう。
Q.
去勢・避妊手術と一緒にできる?
A.
去勢や避妊手術のついでにマイクロチップを装着することもできます。全身麻酔を伴う手術の際にはマイクロチップ装着時の痛みを感じさせずに済むため、ペットへ与える苦痛を最小限に抑えながら装着できるメリットがあります。
Q.
施術は何分で終わる?
A.
マイクロチップを装着するのにかかる時間は、ごくわずかです。ただし、装着後の脱落を防ぐための処置や登録手続きに関する説明があるため、時間に余裕をもって動物病院へ向かいましょう。
Q.
施術が終わった後に注意点はある?
A.
装着直後は注射の穴がまだふさがっていないため、過度な運動やシャンプーなどをすると穴から抜け落ちてしまう可能性があります。念のため装着から数日は安静に過ごし、装着した場所をむやみに触ったりつまんだりしないようにしましょう。
マイクロチップは、大切な家族の一員であるペットを守るためのひとつの手段です。脱走や盗難によって二度と会えなくなってしまうことがないように、万が一のときに備えてマイクロチップを装着しておくと良いでしょう。装着時の痛みが心配な飼い主さまは、麻酔や鎮静をともなう処置のついでにマイクロチップの装着をお願いするのがおすすめです。
なお、マイクロチップを装着していてもレントゲンやCT、MRIなどの検査は通常どおり実施できます。装着による制限などはなく、ペットへ悪影響を及ぼすことはほとんどないためご安心ください。
ペット保険の比較・検討もしてみよう
ペットが迷子になったときに備えるのと同じく、万が一のケガや病気に備えておくことも大切です。ペットにかかる医療費の負担が心配な飼い主さまは、ぜひペット保険への加入も検討してみてください。
お手ごろな保険料で加入できるものから、通院・入院・手術を手厚くサポートしてくれるものまでさまざまなプランがあるため、加入する前に複数のペット保険を比較検討してみるのがおすすめです。
まとめ
犬や猫のマイクロチップの装着について、この記事で解説したことをまとめます。
- マイクロチップの装着費用は、数千円~1万円程度
- 自治体によっては補助金制度あり
- 装着時の痛みは少なく、麻酔や鎮静の必要なし
- 犬では生後2週間以降、猫では4週間以降に装着可能
大切なペットと一緒に安心して過ごせるように、マイクロチップの装着とペット保険への加入をぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
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