犬が血便をしてしまったら、注意深く様子を見守らなければなりません。
場合によっては、すぐに動物病院へ連れて行く必要があるでしょう。
この記事では、血便の原因や考えられる病気、動物病院へ連れて行くタイミングや、病院での診療内容などを、獣医師の平松育子先生監修のもと解説します。
犬の血便の原因とは何か?
―犬の血便の原因、理由について教えてください。
黒色のタール便
黒色のタール便の正体は、消化された血液がうんちとして排泄されたものです。そのため、犬に黒色のタール便が見られたら、それは食道や胃、十二指腸などの上部消化管からの出血を意味します。上部消化管からの出血の原因としては、感染症、ストレス、異物誤飲、慢性的な腸炎、消化管潰瘍、腫瘍などが考えられます。
鮮血混じりの赤い便
犬に鮮血混じりの赤い便が見られたら、肛門に比較的近い消化管、つまり大腸からの出血を意味します。鮮血混じりの赤い便が出る原因は、黒色のタール便の場合と同様に、感染症、ストレス、異物誤飲、慢性的な腸炎、消化管潰瘍、腫瘍などが考えられます。下痢が長く続き、腸の粘膜が傷つくと、鮮血便が見られる場合があります。
では、このような症状を引き起こす病気にはどのようなものがあるのでしょうか?
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犬が血便をした際、疑われる病気について
―犬の血便の原因となる病気としてどのようなものが考えられますか?
感染症による血便
犬パルボウイルス感染症
犬パルボウイルス感染症は、犬パルボウイルス感染により引き起こされる病気です。犬パルボウイルス感染症は、心筋炎型、および腸炎型に別れ、血便の原因となるのは主に腸炎型です。腸炎型は生後8週齢以降の犬で多く見られる病型です。
犬パルボウイルスは糞便や嘔吐物などから経口感染し、腸の細胞に感染して増殖します。感染された腸粘膜は破壊されて出血が起こり、トマトケチャップ状の血様下痢便の原因になります。出血が大量だと貧血を起こす場合もあります。
犬ジステンパー
犬ジステンパーは、犬ジステンパーウイルスの感染によって引き起こされる病気です。主な症状は、呼吸器症状や消化器症状、神経症状で、致死率が高い感染症です。犬に消化器症状が起こっている場合は、血様の下痢が見られる場合があります。
カンピロバクター症
人の食中毒菌として知られているカンピロバクター属菌ですが、犬に感染してカンピロバクター症の原因となる場合があります。感染源は、すでに感染している動物や鳥類の糞が考えられます。成犬では感染しても症状を示さない場合が多いでのすが、子犬では、食欲不振や発熱、血様の下痢が見られる可能性があります。
クロストリジウム症
クロストリジウム症は、犬を始め動物の正常腸内細菌でもあるクロストリジウム・パーフリンゲンスが腸管内で放出する毒素によって腸粘膜に炎症を起こす病気です。主な症状は、下痢で血便を伴う場合があります。
腫瘍による血便
消化管の腫瘍が、犬の血便の原因となる場合があります。食道や胃、十二指腸などにできた腫瘍からの出血では黒色のタール便、大腸にできた腫瘍では赤い鮮血便がよく見られます。腫瘍が大きくなると、腸閉塞を起こし、死に至るおそれがあるため注意が必要です。
胃腸炎による血便
胃腸炎によって胃や腸に炎症が起き、出血があると、血便が見られる場合があります。腫瘍による血便の場合と同様、炎症を起こしている部位によって、黒色のタール便や赤色の鮮血便などが見られます。この原因は、病原体の感染による胃腸炎もあれば、ストレスによるもの、薬物によるものなど、さまざまです。
アレルギーによる血便
食物アレルギー
食物アレルギーによる消化管の炎症が、血便の原因となる場合があります。根本的な解決策は、アレルギーの原因となる食べ物を犬に与えないことです。しかし、何が原因になっているのか不明な場合は、アレルギー検査を実施するといいでしょう。この場合はIgE検査ではなくリンパ球反応検査が有効です。また、動物病院で処方される療法食も有効な場合があります。まずは、動物病院で相談してください。
犬の血便で気になる症状と動物病院に連れて行くタイミング
―動物病院を受診すべきタイミングについて教えてください。
犬に次のような症状が見られたら、早めに動物病院を受診してください。
- ゼリー状の血便
- 赤い鮮血便
- 黒いタール便
- 長く続く下痢や嘔吐(おうと)
- 口の粘膜や目の結膜が白い(貧血の可能性があり、緊急性が高い状態です)
- 脱水を起こしている
犬が血便をした場合の家庭内での対処
―犬が血便をしたら、自宅でどのように対処すればいいのでしょうか?
犬の血便が単発で、ほかに特に症状もなく、元気や食欲がある場合は、たいてい一過性であると考えられるため、そのまま様子を見ていても問題ないでしょう。
しかし、血便を伴う便が長い期間続く、元気や食欲がない、下痢や嘔吐などの症状も犬に見られる場合は、動物病院を早めに受診しましょう。また、血便の中でも黒いタール状の便は、鮮血便と比べて重症度が高い傾向にありますが便の外観で重症度を測ることはできません。いずれにしても早めの受診をお勧めします。
動物病院を受診する場合は、できれば犬の便を持参するといいでしょう。診断するうえでとても役立ちます。持参するのが難しい場合は、写真を撮って獣医師に見せるのもいいですが、やはり糞便検査は必要になります。また、受診前に、いつから、どの様な症状が、どのくらいの頻度で起こっているかをメモしておくといいでしょう。問診がスムーズに進みます。
犬の血便の診療内容とかかる治療費
犬の血便の診療内容
まずは触診や聴診など一般的な身体検査を行います。症状が重い場合は、血液検査やレントゲン検査、超音波検査も行う場合があります。また、犬の糞便を持参している場合は、顕微鏡で糞便検査も行い、寄生虫の感染や細菌のバランスを確認します。
血便は下痢や嘔吐も伴う場合が多いため、不足した水分を補うために点滴をしたり、吐き気止めや下痢止めの薬を投与したりすることもあります。
その後は検査結果を踏まえて診断し、原因となっている病気に合わせた治療を行います。感染症であれば抗菌薬の投与を行い、腫瘍性であれば手術や抗がん剤の投与が必要になる場合があります。
犬の血便の治療費例
ここでは、犬の血便の治療費について、一過性の腸炎を例に紹介します。
- 治療期間:1週間
- 通院日数:1日
- 入院日数:0日
- 手術回数:0回
- 治療費 :5,000円
※上記の診察内容や期間、治療費は、小型犬を基にした一例であり、全国の平均や水準を示すものではありません。また、体格や病状、動物病院によって異なりますのでご了承ください。
- イヌ
- ネコ
- 血統種
- ミックス
-
- 0歳
- 1歳
- 2歳
- 3歳
- 4歳
- 5歳
- 6歳
- 7歳
- 8歳
- 9歳
- 10歳
- 11歳
- 12歳
- 13歳
- 14歳
- 15歳
- 16歳
-
- トイ・プードル
- 秋田
- ウェルシュ・コーギー・ペンブローク
- キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
- ゴールデン・レトリーバー
- シー・ズー
- 柴(小柴・豆柴も含む)
- ジャック・ラッセル・テリア
- チワワ
- パグ
- パピヨン
- ビーグル
- フレンチ・ブルドッグ
- ボーダー・コリー
- ポメラニアン
- マルチーズ
- ミニチュア・シュナウザー
- ミニチュア・ダックスフンド
- ミニチュア・ピンシャー
- ヨークシャー・テリア
- ラブラドール・レトリーバー
- その他犬種
- 6kg 未満
- 6kg以上 8kg未満
- 8kg以上 10kg未満
- 10kg以上 12kg未満
- 12kg以上 16kg未満
- 16kg以上 18kg未満
- 18kg以上 20kg未満
- 20kg以上 25kg未満
- 25kg以上 30kg未満
- 30kg以上 32kg未満
- 32kg以上 40kg未満
- 40kg以上 45kg未満
- 45kg以上