猫には換毛期があり、猫の抜け毛が一時的に増えることは問題ありません。ただし猫の抜け毛に、感染症や寄生虫、アレルギーなどの原因がある場合は、動物病院の受診を検討しなければなりません。
この記事では、猫の抜け毛の原因、疑われる病気、家庭内での対処法や、動物病院での診療内容などについて、獣医師の平松育子先生監修のもと解説します。
猫の抜け毛の原因とは何か?
―猫の抜け毛の原因、理由について教えてください。
換毛期
猫には換毛期があり、この時期に体中の毛が多く抜けます。猫の換毛期は春と秋の年2回です。しかし、クーラーや暖房により一年を通して室温の変化が少ないと、はっきりとした換毛期が見られない場合もあります。換毛期にはブラッシングを定期的にして猫の抜け毛を取り除いてあげましょう。ブラッシングによって皮膚を清潔に保ち、皮膚病の予防も期待できます。
ストレス
猫は環境の変化によって強いストレスを感じると、一時的に毛が多く抜けます。一時的なものであれば、基本的にはほとんど問題ありません。
フード
フードが適切でなく栄養不足に陥ると、猫の毛が抜けてしまう場合があります。原因が明らかであれば、栄養価の高いフードに変えてあげましょう。また、食物アレルギーによっても抜け毛が見られる場合があります。
環境
ブラッシングや毛繕い不足などにより猫の体表に抜け毛がくっ付いたままでいると、抜け毛が多くなったように見える可能性があります。
加齢
加齢によっても猫の抜け毛が多くなる場合があります。老化によるものであれば問題ありませんが、気になるようであれば、サプリメントを服用させる場合もあります。
これらのほか、病気を原因とする場合があります。
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猫の抜け毛で疑われる病気について
―猫に抜け毛が見られたら、どのような病気が考えられますか?
感染症による抜け毛
膿皮症
膿皮症は、皮膚の常在菌であるブドウ球菌が皮膚の内部に進入して発症する感染症です。健康な皮膚であればほとんど発症しませんが、次のような状況で皮膚のバリア機能がうまく機能しないと発症する可能性があります。
- 皮膚に傷がついた
- 免疫力の低下
- 不衛生な環境で生活している
症状は、主に背中や腰、胸、お腹に見られ、脱毛以外にもフケの増加やかさぶた、フケ、膿瘍などが挙げられます。
皮膚糸状菌症
皮膚糸状菌症は、カビの一種である糸状菌による感染症です。猫だけでなく、あらゆる動物に感染します。人に感染する可能性もある人獣共通感染症の一種であるため、感染動物に触れた後は、よく手洗いをしなければいけません。
感染経路は主に感染動物との接触や菌に汚染されたほこりなどです。主な症状は脱毛のほか、かさぶた、皮膚の赤み、かゆみ、フケなどが挙げられます。感染動物との接触を避け、室内を清潔に保つことが予防につながります。
寄生虫による抜け毛
疥癬
疥癬(かいせん)は、ネコショウセンコウヒゼンダニの感染により引き起こされる感染症です。かゆみを伴う皮膚炎を起こし、脱毛やフケなども伴います。症状は耳や顔、目のまわりの皮膚から始まり、首や四肢などにも広がります。予防には、感染動物との接触を避けることが有効です。
アレルギーによる抜け毛
ノミアレルギー性皮膚炎
ノミアレルギー性皮膚炎は、猫ノミの唾液中に含まれる物質にアレルギー反応を起こし、生じる皮膚炎です。主な症状は、抜け毛のほか、フケや皮膚のかゆみなどが挙げられ、これらの症状は腰や尾の周辺に見られます。猫ノミは人間に寄生しませんが、吸血されるとかゆみを生じるため注意が必要となります。ノミの寄生予防が大切です。
アトピー性皮膚炎
上記に挙げた皮膚炎の原因が抜け毛の可能性から除外されると、アトピー性皮膚炎と診断される場合があります。アトピー性皮膚炎の発症は、多くは2歳くらいまでに見られます。主な症状は、脱毛を始め、皮膚のかゆみ、フケなどが見られます。また、主な患部は、頭部や首、耳、胸、下腹部、大腿部です。
食物アレルギー
食物アレルギーを発症すると、アレルゲンである何らかの食べ物を食べたときに皮膚症状や嘔吐(おうと)、下痢などの消化器症状を起こす可能性があります。皮膚症状としては、主に脱毛や皮膚のかゆみ、赤み、フケなどが見られ、全身に現れる場合があります。
過剰な毛繕い(グルーミング)
猫がストレスを感じると、過剰に毛繕い(グルーミング)をして毛が抜けてしまう場合があります。症状を抑えるには、ストレス要因を取り除いたり、精神を安定させる薬を使ったりする場合もあります。
猫の抜け毛で気になる症状と動物病院に連れて行くタイミング
―動物病院を受診すべきタイミングについて教えてください。
猫に次のような症状が見られたら、早めに動物病院に行きましょう。
- 皮膚が赤い
- 皮膚をかゆがる
- 抜け毛が多い
- フケが多い
- かさぶたができている
- ノミが見られる
猫の抜け毛の家庭内での対処
―猫から抜け毛があったら、自宅でどのように対処すればいいのでしょうか?
猫にブラッシングやシャンプーを行って皮膚を清潔にしてあげましょう。これで症状が落ち着けば、問題ありませんが、改善が見られない場合は動物病院を受診したほうがいいでしょう。動物病院を受診する際には、どのようなタイミングで症状が見られるのか、症状が見られるようになったのはいつからか、皮膚以外に気になる症状はないかをメモしておくと、問診がスムーズに進みます。
猫の抜け毛の診療内容とかかる治療費
猫の抜け毛の診療内容
まずは一般的な身体検査や問診を行います。
膿皮症や糸状菌症などが疑われる場合
病変部の組織をセロテープで取り、顕微鏡検査をする場合があります。
アレルギー性皮膚炎が疑われる場合
アレルギー検査や食事療法を行います。アレルギー検査により原因物質がわかれば、原因物質を避けた食事を与えます。かゆみがひどいと、かゆみ止めを使う場合もあります。
感染性皮膚炎の場合
抗菌薬や抗真菌薬などにより治療します。
寄生虫が原因の場合
駆虫薬により治療します。
猫の抜け毛の治療費例
ここでは、猫の抜け毛の治療費について、アレルギー性皮膚炎を例に紹介します。
- 食物アレルギーの場合
- 治療期間:一生涯
- 通院日数:毎月1回
- 入院日数:0日
- 手術回数:0回
- 治療費 :毎月5,000円(食事療法として)
※上記の診察内容や期間、治療費は、成猫を基にした一例であり、全国の平均や水準を示すものではありません。また、体格や病状、動物病院によって異なりますのでご了承ください。
- イヌ
- ネコ
- 血統種
- ミックス
-
- 0歳
- 1歳
- 2歳
- 3歳
- 4歳
- 5歳
- 6歳
- 7歳
- 8歳
- 9歳
- 10歳
- 11歳
- 12歳
- 13歳
- 14歳
- 15歳
- 16歳
-
- トイ・プードル
- 秋田
- ウェルシュ・コーギー・ペンブローク
- キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
- ゴールデン・レトリーバー
- シー・ズー
- 柴(小柴・豆柴も含む)
- ジャック・ラッセル・テリア
- チワワ
- パグ
- パピヨン
- ビーグル
- フレンチ・ブルドッグ
- ボーダー・コリー
- ポメラニアン
- マルチーズ
- ミニチュア・シュナウザー
- ミニチュア・ダックスフンド
- ミニチュア・ピンシャー
- ヨークシャー・テリア
- ラブラドール・レトリーバー
- その他犬種
- 6kg 未満
- 6kg以上 8kg未満
- 8kg以上 10kg未満
- 10kg以上 12kg未満
- 12kg以上 16kg未満
- 16kg以上 18kg未満
- 18kg以上 20kg未満
- 20kg以上 25kg未満
- 25kg以上 30kg未満
- 30kg以上 32kg未満
- 32kg以上 40kg未満
- 40kg以上 45kg未満
- 45kg以上