猫の脳血管障害とは

猫の脳血管障害は、さまざまな症状がみられ、急死することも多い病気の1つです。

もし、愛猫に歩行異常や意識の低下などの症状がみられた場合には、脳血管障害の可能性も考えなければなりません。

 

本記事では、猫の脳血管障害について以下の点を中心に解説します。

・猫の脳血管障害の症状、原因

・診断、治療方法

・予防方法

実際の治療にかかる費用の目安や後遺症の有無もあわせて解説しますので、ぜひ最後までお読みください。

 

【ペット保険比較のピクシー】では人気ペット保険おすすめランキングもご紹介しております。
まだペット保険に加入していない方、これから加入する方、保険の乗り換えを検討中の方は参考にされてください。

目次

猫の脳血管障害について

猫の脳血管障害は、脳血管からの出血や血栓による詰まりにより、神経学的な異常がみられます。

脳血管障害には、以下の3つの病態があります。

・脳梗塞

・脳出血

・くも膜下出血

それぞれについて解説していきます。

 

猫の脳梗塞とは?

脳梗塞は、脳血管に微小な血栓が詰まり、脳の一部に血流が届かなくなる状態です。

血流が無くなった脳組織には、壊死や損傷が発生し、さまざまな症状を引き起こします。

後遺症が残ることも多い病態であり、予後も重症度によってさまざまです。

 

猫の脳出血とは?

脳出血は、脳の内部の血管が破れ出血した状態です。

出血した血液が脳を圧迫することで、脳組織が傷害を受け、神経学的な異常がみられます。

 

重症度が高く出血量も多い場合には、死に至る可能性があります。

 

猫のくも膜下出血とは?

くも膜下出血とは、脳の表面を走行している血管に発生した動脈瘤が破裂することにより起こります。

 

出血した血液が脳表面にあるくも膜の下に溜まり、脳を圧迫します。

意識障害を起こし突然死の原因になることもあるため注意が必要です。

ペット保険比較のピクシーにはペット保険についての記事も多数ございますので、安心して保険をお選びいただけます。
保険選びで迷われている方は、保険料補償割合などの条件を一括比較できる「人気ペット保険おすすめランキング」も参考にされてください。

猫の脳血管障害の症状

猫の脳血管障害の症状

猫の脳血管障害の症状は、以下の通りです。

・足の麻痺

・歩行不全

・意識がなくなる

・嘔吐

・けいれん

脳血管障害が部分的であり、軽度ならば無症状の場合もありますが、障害を受ける部位が広がると重症化します。

脳出血では脳圧が上昇し、嘔吐がみられたり、意識レベルが低下したりします。

大きな血栓が詰まったり、脳出血が重度であったりすると、急に意識を失い死亡する可能性もあるため注意が必要です。

脳血管障害の原因となるのは?

猫の脳血管障害の原因は、以下の2つが考えられます。

・脳の血流低下

・脳血管からの出血

それぞれについて解説します。

 

脳の血流低下

脳の血流の低下が起こると、血栓が形成され、微小な血管に詰まりやすくなります。

また、血圧も保てなくなり、脳が虚血状態に陥る可能性もあります。

脳の血流低下を引き起こす病気は以下の通りです。

・心臓病

・低血圧ショック

・熱中症

・血栓症

・寄生虫や腫瘍などの塞栓

・動脈硬化

心臓病や腫瘍などの持病がある場合や熱中症のリスクがある場合には、脳血管障害に注意が必要です。

 

脳血管からの出血

脳血管からの出血により脳が圧迫されてさまざまな症状がみられます。

脳圧が上昇すると意識障害や脳ヘルニアが引き起こされ、死に至る場合もあります。

 

脳出血を引き起こす病気は以下の通りです。

・血管奇形

・高血圧

・凝固不全

・血管炎

特に高齢猫では、腎不全や甲状腺機能亢進症により高血圧になる場合も多く、脳出血を起こす可能性が高まります。

 

飼い主さまは、愛猫にこうした疾患が隠れていないかどうかを確認することが大切です。

もし持病があるならば適切な治療を行うようにしてください。

猫の脳血管障害の検査や診断方法

猫の脳血管障害の検査

猫の脳血管障害の検査では以下のような検査が必要です。

・身体検査

・血液検査

・X線検査

・超音波検査

・CT検査

・MRI検査

脳の疾患の診断には、MRI検査が有用です。

しかし、ほかに疾患が隠れている可能性や麻酔リスクもあるため、いきなりMRI検査を行うことは少ないでしょう。

身体検査やX線検査、超音波検査でほかの疾患の有無と麻酔リスクを確認した後、CTやMRI検査など麻酔下の検査を行います。

猫の脳血管障害の治療法とは?

猫の脳血管障害の治療方法は、病態や重症度によってさまざまです。

以下のような治療方法が考えられます。

・外科手術

・利尿剤

・ステロイド

・抗けいれん薬

くも膜下出血や脳出血を起こしている場合には、外科手術により血腫を取り除き、出血を止めなければならない場合があります。

また、脳圧が亢進している場合には、利尿剤を使用して脳圧を下げる処置が必要です。

 

脳浮腫や炎症、けいれん発作が起きる場合には、症状に合わせた対症療法を行います。

炎症を抑えるためにステロイドやけいれん止めの薬を使用し症状を緩和させます。

猫の脳血管障害の治療費用

猫の脳血管障害の治療費は以下の通りです。

脳血管障害は、重症度や病態によって治療方法も変わります。

治療費用例はあくまで目安として考えるようにしましょう。

診察・治療内容

治療費例

診察料

750円

血液検査

6,250円

X線検査

4,000円

超音波検査

4,000円

CT検査

35,000円

MRI検査

45,000円

麻酔代

11,250円

静脈点滴

4,000円

利尿剤

3,000円

ステロイド剤

1,000円/週

抗てんかん薬

3,000~5,000円/月

外科手術

500,000円

脳血管障害をしっかりと診断するためには、麻酔前の検査とMRI検査は必須になるため、5〜10万円ほどの治療費がかかります。

また、対症療法や外科手術を行った際にも高額の治療費が必要となるでしょう。

猫が脳梗塞になったら後遺症は残る?

脳障害により壊死した脳組織は元には戻らないため、脳梗塞後は後遺症が残ることが多くなります。

後遺症としては、以下のような症状がみられます。

・歩行不全

・足の麻痺

・けいれん発作

脳の障害部位や病態によってさまざまな後遺症がみられます。

できるだけ後遺症を残さないためにも、早期に動物病院を受診して適切な治療を受けましょう。

脳梗塞になった猫はリハビリが必要?

猫の脳血管障害のリハビリ

脳梗塞で歩けなくなった猫は、筋肉の低下や硬化がみられ、寝たきりの状態になることもあります。

犬のリハビリでは、マッサージやバランスボールなどを使用したり、プールなどの水中を歩かせたりすることが多いのですが、猫には不適切です。

猫がストレスを感じることも考えられるので、スキンシップも兼ねて自宅で筋肉をほぐすマッサージを行う程度にしましょう。

 

おとなしい子の場合には、動物病院で専門のリハビリ機器を使用してあげるのもおすすめです。
猫の性格に合わせて、ストレスにならないリハビリ方法を考えてあげましょう。

猫は脳血管障害で急死してしまう可能性もある?

猫は、脳梗塞により脳の大部分が壊死した場合や、脳出血で脳が持続的に圧迫された場合には命を落とす可能性があります。

 

特に愛猫が、急に意識を失ってしまった場合には、脳血管障害が起きている可能性があるため注意しましょう。

 

放置すると、そのまま死亡することもあるため、早急に動物病院を受診するようにしてください。

脳血管障害の予防方法

脳血管障害を予防するためには、原因となる基礎疾患の治療を適切に行うことが大切です。

特に高齢猫では、腎不全や甲状腺機能亢進症により高血圧になる場合が多く、脳出血の原因になります

 

また、定期的に健康診断を受けて、原因となる疾患を早期発見することも大切です。

飼い主さまは、積極的に動物病院を受診したり、適切な治療を行ったりして脳血管障害を予防してあげましょう。

そのほかに気をつけたい猫の脳の病気

猫の脳の病気には、脳血管障害以外にも気をつけるべきものが多々あります。

代表的な猫の脳の病気は以下の通りです。

・脳腫瘍

・てんかん

・脳炎

・FIP(猫伝染性腹膜炎)

・トキソプラズマ症

・小脳低形成

けいれんや歩行異常などの神経症状がみられている場合には、さまざまな疾患の可能性を考えなければいけません。

 

また、猫の脳の病気は、脳腫瘍や脳血管障害以外にも真菌による脳炎やウイルス疾患などの感染症も多くみられます。

 

生活環境やワクチン接種で予防できる疾患は多いため、飼い主さまは、愛猫の生活環境をしっかり見直し病気にかかるリスクをできるだけ抑えるようにしましょう。

関連記事:猫の脳腫瘍は治る?症状の進行速度や末期症状、余命まで徹底解説!

まとめ

本記事では、猫の脳血管障害について原因や症状、治療方法を解説してきました。

重要な点をおさらいしておきましょう。

・猫の脳血管障害は、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血

・原因は、脳の血流低下、脳血管からの出血の2つ

・足の麻痺や歩行不全などがみられ急死する場合もある

・治療方法は、外科手術や内服薬による対症療法など

・原因となる疾患の治療と定期的な健康診断が大切

猫の脳血管障害は、重症の場合、意識の消失がみられ急死することもあります。

 

猫で多い腎不全や甲状腺の病気なども関与している場合があるため、健康診断をしっかりと行い原因となる病気の予防や治療を適切に行うことが大切です。

 

※動物病院は自由診療のため、医療費が高額になる可能性があります。
ペット保険に加入していなければ、全額を自己負担で支払わなければなりません。
万が一の備えとしてペット保険に加入しておくと安心です。
また保険選びで迷われている方は、ペット保険の保険料や条件を一括比較できる「人気ペット保険おすすめランキング」もご覧ください。

獣医師入江悠先生
この記事の執筆者 入江 悠
宮崎大学農学部獣医学科では循環器内科を専攻。卒業後は、関西の動物病院に勤務する。 獣医師として、飼い主さんの悩みに寄り添うため、ペットに関するさまざまな情報を発信している。好きな犬種は柴犬。保有資格:獣医師国家資格

この情報をシェアする

【ペット保険比較】10秒でカンタン比較