愛犬の耳がいつもと比較して膨らんでいる場合には、耳血腫になっているかもしれません。
耳血腫は、耳介軟骨と耳介軟骨膜の間に血様漿液(または血液が体液で薄まったもの)が溜まっている状態です。
自宅で治療することは難しく、放置すると耳の繊維化や変形を引き起こす可能性があるため、早期の治療が必要です。
本記事では、以下の点に注目して解説していきます。
・犬の耳血腫について
・原因、症状
・好発犬種
・診断、治療方法
治療にかかる費用目安や予防方法もご紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
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犬の耳血腫について
耳介軟骨と耳介軟骨膜の間にある空間に、血液や血漿成分が溜まってしまう状態を「耳血腫」といいます。
耳の内部にある血管がさまざまな原因で損傷し、発症します。
血液が溜まり、耳がパンパンに膨れ上がることで気づくことが多い病気です。
命に影響を与える病気ではないですが、進行すると耳の繊維化や変形を引き起こす可能性もあるため早期に治療する必要があります。
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犬の耳血腫の症状
犬の耳血腫の症状は、初期と進行した末期の段階で認められる症状が若干異なってきます。
ここからは、犬の耳血腫の初期症状と末期症状について解説していきます。
初期症状
犬の耳血腫は急性に発症することが多く、初期症状は以下のようなものが考えられます。
・耳が膨れる
・耳を触られると痛がる
・耳が腫れる
・耳をよく掻く
・耳が汚れている
・耳が垂れる(立ち耳の犬の場合)
愛犬の耳がパンパンに膨れてくることで気づく場合がほとんどです。
外耳炎を併発していることが多く、痒みから頭をしきりに振ったり、耳をよく掻いたりする症状がみられます。
末期症状
犬の耳血腫が進行した末期段階になると、耳の萎縮や変形を引き起こします。
聴覚機能に影響を及ぼすことは少ないですが、耳がカリフラワー状に小さく萎縮するため、汚れが溜まりやすくなります。
一度、萎縮してしまった耳の構造は元には戻りません。
耳掃除を行えなくなり、外耳炎が重症化するおそれもあるため、飼い主さまは耳血腫などの耳の異変を発見したらすぐに動物病院を受診するようにしましょう。
犬の耳血腫の原因となるのは?
犬の耳血腫の原因は、以下のようなものが考えられます。
・外耳炎
・中耳炎
・外傷
・アレルギー体質
・免疫疾患
・副腎皮質機能亢進症
・血液凝固異常
耳血腫では、外耳炎や中耳炎、外傷が主な原因です。
耳を掻く、頭を振る衝撃などで、毛細血管が損傷することがきっかけとなります。
また、副腎皮質機能亢進症などで、血管がもろくなっている場合にも耳血腫を発症する可能性があるため注意が必要です。
耳血腫と外耳炎の併発も多い
耳血腫は外耳炎との併発が多い病気です。
外耳炎とは、鼓膜より外側の耳道に発生する炎症により引き起こされる疾患で、細菌やカビ、ミミダニの感染などが起こっている場合や、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーなどのアレルギー体質が関与していることがあります。
外耳炎の炎症や違和感によって頭を振ったり、耳を掻いたりする衝撃で毛細血管が破壊され耳血腫が引き起こされることも多くあります。
飼い主さまは、愛犬の耳の様子を常に観察して外耳炎などの炎症を起こしていないか確認するようにしましょう。
耳血腫になりやすい犬種は?
耳血腫になりやすい犬は、以下の通りです。
・ビーグル
・ゴールデン・レトリーバー
・トイ・プードル
・アメリカン・コッカー・スパニエル
耳血腫は、垂れ耳で耳の大きな犬種によくみられます。
性別による発症の差はありませんが、5歳以上〜中高齢の犬によくみられる病気です。
また、外耳炎やアレルギー体質の犬は、耳血腫を発症しやすいため、注意が必要です。
一度、耳血腫になった犬は再発しやすいため、日頃から耳の様子をしっかりと観察するようにしましょう。
備考:耳血腫になりやすい猫種は?
猫も犬と同様に耳血腫になることがあります。
耳血腫になる可能性が高い猫の特徴を以下に挙げます。
・スコティッシュフォールド
・外耳炎を繰り返す猫
・耳ダニなどの感染がある猫
・外猫でよくケンカする猫
一般的に猫における耳血腫の発症率は犬よりも低くなりますが、外耳炎を発症している場合には耳血腫も併発することもあります
早めに処置することで、耳の変形を防げるため、耳の膨らみや「頭をよく振る」「耳をよく掻く」といった症状がみられたらすぐに動物病院を受診するようにしましょう。
耳血腫の検査や診断方法
耳血腫の検査や診断方法は以下のとおりです。
・身体検査
・耳鏡検査
・耳垢検査
・穿刺検査
身体検査では、耳の膨らみや硬さを確認します。
また、耳血腫の原因として一般的である外耳炎が併発していないかどうかを調べるために、耳鏡検査や耳垢検査を行うことは必須です。
穿刺検査では、耳の膨らみに針を刺してどんな液体が排出されるのかを確認します。
血液や血漿成分が排出されてきた場合には、耳血腫の可能性が高く、耳血腫に対して適切な治療を行っていく必要があるでしょう。
犬の耳血腫の治療方法とは?
犬の耳血腫の治療方法は、以下の通りです。
・注射器で血腫を抜去
・内服薬
・手術
それぞれについて解説していきます。
注射器で血腫を抜去
犬の耳血腫の一般的な治療方法は、耳血腫部分に針を刺し、注射器を使用して液体を抜去する治療方法です。
溜まった液体が全て抜去できたら、直接ステロイド剤を注入し炎症を抑えます。
この治療では、何度か再発する場合もありますが、次第に改善していくことも多くなります。
しかし、すぐに再発してしまう場合や、再発回数が多い場合には手術などの外科的治療を取る必要もあるでしょう。
内服薬
内服薬は、耳の炎症を抑えたり、二次感染を防いだりするために行うことが多くなっています。
使用される薬剤としては、ステロイド剤や抗生剤が挙げられます。
耳血腫の原因に合わせて、抗菌薬や痒み止めの薬が使用されることもあるでしょう。
注射器で血腫を抜去した後や手術などの外科的治療の後に併せて内服薬を飲むことが多く、治療をサポートする役割を担います。
手術
難治性の耳血腫であり、再発を何度も繰り返す場合には、麻酔をかけて外科的な治療を行う必要があるでしょう。
手術などの外科的治療では、耳にパンチで穴を開けたり、切開しドレーンを装着したりする治療法が考えられます。
切開後は、血腫内の壊死組織や繊維組織を除去して縫合を行うことで再発を防ぎます。
全身麻酔を行う処置になるので、術前検査をしっかりと行うことが必須です。
耳血腫の治療費用
犬の耳血腫にかかる治療費の目安は以下の通りです。
治療費用例はあくまで目安となります。
診断・治療内容 | 治療費例 |
診察料 | 750円 |
穿刺検査 | 1,500円 |
耳鏡検査 | 1,500円 |
耳垢検査 | 1,500円 |
内服薬 | 1,000円 |
手術代 | 17,500円 |
麻酔代 | 11,250円 |
入院 | 2,500円 |
耳血腫は何度も再発する可能性がある病気です。
また、外科的処置をする場合には、麻酔をかけて手術を行う必要があるので、治療費が高額になる可能性があることに注意しておきましょう。
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耳血腫は放置しても自然治癒する?
症状を放置すると耳の繊維化や変形を引き起こします。
放置して変形した耳は、カリフラワー状に小さくなり、「カリフラワー耳」と呼ばれる状態になります。
自宅で放置するだけで、綺麗に自然治癒することは難しいため、動物病院を受診して適切な処置を行ってあげましょう。
命に関わることは少ないのですが、QOL(生活の質)の低下や外観の問題もあるため、早期に治療することをおすすめします。
耳血腫になったら冷やす応急処置は有効?
耳血腫になった場合に耳を冷やす処置を行う飼い主さまがいますが、効果があるという報告はありません。
冷やすことにより、外耳炎の炎症や痛みを抑えることができる可能性はあるが、あくまで対症療法です。
動物病院での適切な治療を行うことが重要であるため、飼い主さまは早急に受診することをおすすめします。
犬の耳血腫が再発率はどのくらい?
犬の耳血腫は再発しやすい病気です。
犬の耳血腫の再発率は、治療方法によって変わってきます。
注射器で血腫を抜去した後、ストロイド剤を投入した治療では、1ヶ月後の再発率は33%です。
対して、パンチ皮膚生検器を使用して外科的に治療した場合では、1ヶ月後の再発率は4%と報告されています。
この数字から、血腫の抜去のみを行った場合、1ヶ月後の再発率は3割と非常に高いことがわかります。
治療を繰り返すことで、再発しにくくなりますが、あまりにも再発頻度が高い場合には、外科的治療により再発を抑える必要があるでしょう。
犬の耳血腫の予防方法
犬の耳血腫に対して飼い主さまができる予防方法は、日ごろからよく犬の耳の健康状態をチェックすることです。耳をかゆがる様子がみられたら、早めに動物病院に連れていきましょう。
また、アトピー性皮膚炎などのアレルギー体質も耳血腫の原因となる場合があるため、かかりつけの獣医師とアレルギー体質について相談しながら、治療していく必要があります。
まとめ
本記事では、犬の耳血腫の症状や診断、治療、予防方法について解説しました。
重要な点をおさらいしておきましょう。
・耳血腫では耳介軟骨と耳介軟骨膜の間に血液が溜まる
・原因はさまざまだが、外耳炎との併発が多い
・垂れ耳の犬種や外耳炎に罹患している犬は注意
・再発することも多く、動物病院での適切な治療が必要
耳血腫は放置すると、耳の繊維化や変形を引き起こします。
また、愛犬も耳を気にすることでQOL(生活の質)が低下することが考えられるでしょう。
飼い主さまは、耳の様子に異変を感じたら、早めに動物病院を受診することをおすすめします。
※動物病院は自由診療のため、医療費が高額になる可能性があります。
ペット保険に加入していなければ、全額を自己負担で支払わなければなりません。
万が一の備えとしてペット保険に加入しておくと安心です。
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