猫の座り方からわかること

「うちの猫は最近座り方がおかしい」
「猫が変な座り方をしていて心配」
「よく香箱座りをしているけどリラックスできているの?」
猫と暮らしている方は、このような疑問や悩みを持ったことがありませんか?

この記事では、猫の見せる基本的な座り方を紹介したうえで、記事後半では猫の座り方から気づける病気を紹介します。
猫の座り方について何か気になることがある方は、ぜひご覧ください。

 

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目次

猫の座り方7種類!このときの気持ちや状態は?

人間と同じように猫も、さまざまな座り方をします。
そして座り方からは、警戒やリラックスといった猫の心理状態も推測することができるのです。
また、暑さや寒さによっても座り方を変えます。
この章では、よく見られる7種類の座り方を見ていきましょう。

エジプト座り

エジプト座りをする猫

エジプト座りは、犬のお座りのように床にお尻をつけて、前足を綺麗にそろえた姿勢です。エジプト神話の猫の女神であるバステト神の姿に似ていることから、素敵な名前がつけられました。凛々しく気高く見える座り方です。
前足をそろえた様子が、旅館の女将が三つ指をついている姿に似ていることから三つ指座りとも呼ばれます。猫のかわいらしい前足が目立つ座り方でもあります。
エジプト座りは、目線が高くすぐに動ける状態なので、何かに注目しているときによくしています。警戒心の強い野良猫でよくみられますが、飼い猫であれば、おもちゃやご飯に期待しているときにもこの座り方をします。

 

首をかしげる

首をかしげる猫

見たことがないものを見たとき、首をかしげる猫がいます。そのときの猫は、初めて見るものをよく見て、音をよく聞いて、これからどうするべきかを考えています。

不思議なものや、わからないものに出会ったときにするしぐさが、人間と猫で共通しているのは面白いものです。
猫が首をかしげていたら集中しているサインなので、邪魔をするのはやめましょう。

 

片足をあげる

片足を浮かせる猫

座ったまま片足を浮かす猫を目にしたことはないでしょうか?
これは、気になるものを目の前にした犬でもみられ、よく知らない相手の様子をうかがっている状態です。また、獲物を狙おうとして片足をあげる猫もいるでしょう。

さらに、前足をあげた状態にしていることで、逃げる準備をしているともいわれています。

 

しっぽ巻き座り

しっぽ巻き座りをする猫

これは、お尻をついて両足をそろえたまま、しっぽで前足を覆う座り方です。別名しっぽマフラーとも呼ばれています。
すぐに逃げられる体勢であり、家族以外の人や動物に会ったときにみられるため、警戒心を持っているときの座り方とされています。
しかしこのほかにも、しっぽで前足を覆うことで防寒している、またしっぽが汚れるのを防ぐために巻いている、ともいわれています。

 

スフィンクス座り

スフィンクス座りをする猫

これは、犬の伏せのように前足を前に伸ばして、お腹を床につけた座り方です。後ろ足は、名前の由来であるスフィンクスのように体に沿って折りたたまれています。
リラックス中の一般的な座り方で、横になる前の段階ともいえるでしょう。とはいえ、上体が起き、後ろ足の肉球は床についているため、やや警戒している状態とされています。
体の大きな猫や子猫は香箱座りができないため、よくこの座り方をします。

 

香箱座り

香箱座りをする猫

これは、すべての足を体の下にしまった座り方です。その様子を上から見ると長方形で、海外では「パンの塊」ともいわれます。かわいらしく猫らしい座り方であるため、猫好きの間では人気の高い座り方だといえます。
香箱座りのまま、リラックスしてウトウトする猫もいます。前足をおった状態ですぐに動くことが困難なため、安心しているといえるでしょう。
ただし、後ろ足の肉球が地面についていることから、警戒しているという見方もあります。

また、猫が香箱座りをしていたら、もしかしたら寒さを感じている可能性もあるため、室温を見直してみましょう。

 

横座り

横座りをする猫

これは、前足を下につけたまま、後ろ足を横に伸ばした座り方です。
とてもリラックスした座り方で、前足を完全に横に流している場合はさらに気がゆるんだ状態です。体を起こした姿勢だと、女の子座りとも呼ばれます。
飼い主さまにもたれるように横座りをしているのは、信頼している証だといえるでしょう。また、猫がこの座り方をしているときは、その場所に安心感を覚えていることも示しています。ライオンやチーターといった野生のネコ科動物も気を抜いて休んでいるときは横座りをします。

 

スコ座り(おやじ座り)

スコ座りをする猫

これは、お尻を床につけて後ろ足を前に伸ばしている座り方です。スコティッシュフォールドという猫種がよくする座り方で、名前の由来はここにあります。中に人が入っているようなユニークな姿から、オジサン座りともいわれています。
スコ座りではすぐに立ち上がることができず、急所であるお腹も見せているため、かなりリラックスした状態だといえるでしょう。一見してくつろいでいることがわかり、かわいらしい体勢のため、猫の座り方のなかでは有名です。
ただし、関節の痛みを和らげるためにこの座り方をしているときもあるので、注意が必要です。

 

箱のり座り

箱のり座りをする猫

“箱のり”と聞くと、車の窓枠に腰かけて上半身を車の外に出した状態を思い浮かべる方もいるかもしれません。しかし、猫の箱のり座りは、箱や棚の上にのって縁に前足をかける座り方です。 すぐに飛び降りたり、動き出したりできるため、休むのではなく活動的なときによくみられます。好奇心旺盛な性格の猫は、とくにこの座り方をするのではないでしょうか。 ちなみに、縁に前足をかけることで前足のストレッチをしているともいわれています。

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猫の気持ちは「しっぽ」にもあらわれる!

しっぽからわかる猫の気持ち

座り方7種類をご紹介しましたが、これだけでは猫の気持ちをすべて理解することはできません。
そこで注目したいのがしっぽ。猫の気持ちは、しっぽにもあらわれます。この章では、猫が座っているときのしっぽの動きを紹介します。

ゆっくり振る

しっぽを左右にゆっくり振るときは、リラックスしているときです。また、猫がご機嫌であるサインでもあります。邪魔をしないように、寄ってこない限りはそっと様子を見守りましょう。興味があるものを見つけたときにもよくみられます。

 

くねくねさせる

しっぽをくねくねさせているのは、何かに集中して考え事をしているときです。また、何か興味のあるものを見つけたのかもしれません。楽しいことを発見して、ワクワクしているときにみられる動きでもあります。
ちなみに、飼い主さまに名前を呼ばれた返事の代わりに、しっぽの先だけ振ることもあります。

 

バタバタさせる

しっぽをバタバタさせているときは、イライラしているときです。なだめるために触ろうとすると逆効果になるので、そっとしておきましょう。犬がしっぽを激しく振るときは嬉しいサインですが、猫は違います。不機嫌な理由がある場合は、環境を改善してあげましょう。

 

上下に動かす

エジプト座りの状態でしっぽを上下に動かすときは、考え事をしているときです。わざと考え事の邪魔をするのはおすすめしません。子猫のうちはあまり考えないためみられない動きです。

 

おしりの下にしまう

しっぽをおしりの下にしまっているときは、恐怖や不安を感じています。自分よりも強い敵と遭遇した際に、降参の意味をこめてこの姿勢をすることもあります。ストレスを軽減するためにも、猫を刺激しないようにしてください。

猫の座り方がおかしい?可能性のある病気は?

猫の座り方がおかしいときは、病気体調不良の可能性があります。いつもと違う座り方をしている場合は、猫をよく観察してください。
そしてこの章で解説することを参考にし、座り方以外にも気になることがあれば、動物病院を受診することをおすすめします。

膝蓋骨脱臼

膝蓋骨脱臼はパテラとも呼ばれ、膝のお皿が本来の位置からずれてしまう病気です。外傷性のものと遺伝による先天性のものの2種類あります。
激痛を少しでも軽減するためにいつもと違う座り方になる以外にも、歩行困難や足を引きずるといった症状がみられます。先天性膝蓋骨脱臼はスコティッシュフォールドやペルシャで多くみられるので、飼い主さまは注意してください。
膝蓋骨脱臼と診断されても、それほど痛みがなく生活できる場合もあります。しかし、成長に伴って症状が悪化することもあるので、日々のケアが大切です。

 

椎間板ヘルニア

椎間板ヘルニアとは、背骨と背骨の間にある椎間板が変形して、神経を圧迫することで痛みが生じる病気です。主に、加齢や肥満によって引き起こされますが、交通事故や高い場所から落ちたことによる外傷によっても発症するケースがあります。
座り方の変化以外にも、じっとしている、触ると痛がるといった症状がみられます。
特に胴長のマンチカンや大型のメインクーンと暮らしている飼い主さまは、キャットタワーの高さを調節する、フローリングにマットを敷くなど対策しましょう。さらに、太らせ過ぎないことも大切です。激しい運動はかえって逆効果になるため、食事を調節してください。

 

骨軟骨異形成

骨軟骨異形成とは、言葉のとおり関節の間にある軟骨に異常が起こる遺伝子疾患です。マンチカンのような「短足」、ペルシャのような「鼻ぺちゃ」、スコティッシュフォールドのような「耳折れ」といった特徴を持つ猫は、要注意な病気です。
スコ座りは、骨軟骨異形成による関節の痛みを抑えるための座り方とされています。このほかにも、歩き方がおかしい、足を引きずるといった症状がみられます。
遺伝子疾患のため完全に予防することはできませんが、日ごろから関節に負担をかけさせないことが重要です。

 

変形性関節症

変形性関節症は、軟骨の変形によって関節部分に炎症が生じる病気です。主に、加齢や肥満によって引き起こされますが、外傷や先天的な要因によっても発症します。
関節に負担をかけないようにいつもと違う座り方になるほかにも、運動しなくなる、触られるのを嫌がるといった症状が見られます。
予防のためにも、若いころからの適切な体重管理と環境整備を徹底しましょう。また、予防のためにサプリメントを使用したい場合は、獣医師に相談したうえでおすすめのものを使うと安心です。

猫が痛みを感じているときのサインとは?

上記でも解説しましたが、猫が痛みを感じているときは座り方がおかしくなるだけでなく、さまざまな症状が現われます。とはいえ、猫は痛みを隠す動物です。

少しでも猫の座り方がおかしいと感じたら、すぐに他にも異変がないかチェックしましょう。そして、以下のようなサインが見られたら猫が痛みを感じている可能性が高いので、できるだけ早く動物病院を受診してください。

・触られるのを嫌がる
・動きが鈍くなる
・高い場所にジャンプしない
・飛び降りない
・食欲低下
・トイレの失敗が増える
・暗い場所でうずくまっている
・体を丸めた状態から動かない
・人に対して攻撃的になる
・耳が寝ている
・ヒゲが下を向いている
・人に対して攻撃的

まとめ

この記事では“猫の座り方によってわかる気持ちや病気の可能性”について紹介しました。

最後に、この記事のポイントをまとめておきます。

  • 座り方から、猫のリラックス度がわかる
  • しっぽの動きからも猫の気持ちは汲みとれる
  • 猫がおかしな座り方をしているときは他の異変もチェック

 

猫は気分によってさまざまな座り方をするため、座り方だけでは病気に気づくのは難しいかもしれません。しかし、愛猫の異変に気づくきっかけになれば、早期治療につながります。

愛猫の健康を守るためにも、普段からよく観察しましょう。

 

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獣医師平松先生
この記事の監修者 平松 育子
獣医師・ペットライター。山口大学農学部獣医学科(現:共同獣医学部)卒業。2006年3月~2023年3月、有限会社ふくふく動物病院・取締役、院長。ジェネラリストですが、得意分野は皮膚疾患です。獣医師歴26年(2023年4月現在)の経験を活かしペットに関する情報をお届けします。

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