犬はトマトを食べられる?

トマトは、「トマトが赤くなると医者は青くなる。」といわれるほど、栄養満点の食べ物です。犬に与えてはいけない玉ねぎなどとは違い、一部のドッグフードの原材料にもなっているトマトは、子犬・老犬にも与えられます。

 

トマトが大好きで好んで食べる、という犬も珍しくありませんが、与える際に注意すべきことはあるのでしょうか?

今回は、犬にトマトをあげる際のメリットや適量など、トマトに関するさまざまな疑問について解説します。

【この記事でわかること】

  • 犬はトマトを食べていい!
  • トマトの”トマチン”は悪い成分?
  • 犬にケチャップは絶対ダメ!な理由
  • トマトを初めて与える際の注意点は?

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目次

犬にトマトを食べさせても大丈夫!与えるメリットは?

犬とトマト

熟した赤いトマトであれば、犬に中毒を起こす危険な物質は含まれておらず、愛犬に安心して与えることができます。

 

トマトのメリットは、βカロテンやビタミンC、カリウムなどの栄養素が豊富なことです。また、トマトに多く含まれるリコピンには、強い抗酸化作用があり、アンチエイジングに役立つと考えられています。

 

しかし、与えすぎには注意しましょう。トマトの約94%は水分であるため、食べすぎると下痢を引き起こすことがあります。

犬にトマトを毎日あげていい?適量は何個まで?

適量を守れば、愛犬に毎日トマトを与えても、健康上の心配はありません。犬にとってのトマトの適量を、こちらの図でご紹介します。ぜひ参考にしてください。

体重 適量
3kg プチトマト1個(トマト8分の1)
5kg プチトマト2個(トマト6分の1)
10kg プチトマト4個(トマト2分の1)
15kg プチトマト6個(トマト1個)
20kg プチトマト8個(トマト1個と2分の1)

トマトばかり食べていると、いくら体に良いとはいっても栄養が偏ってしまいます。トマトはあくまでおやつやトッピング程度にとどめ、栄養バランスの整ったフードを与えることを心がけましょう。

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犬はトマトを生で食べられる?与え方は?

犬が生のトマトを食べても何も問題ありません。より効率よく栄養を吸収するためには、加熱して与えるのがおすすめです。

 

愛犬にトマトを与える際は、真っ赤に完熟した実を選びましょう。未熟で青いトマトには、トマチンという中毒成分が含まれています。トマチンは、トマトのヘタや茎などにも含まれているため、かならず取り除いて与えてください。

 

また犬は、食べ物を噛まずに丸呑みしやすいため、そのまま与えるとのどに詰まってしまうおそれがあります。トマトを与える際も細かく刻んで与えると良いでしょう。

犬にミニトマトやフルーツトマトを与えても良い?

ミニトマトやフルーツトマトなど、どのような種類のトマトでも与えることができます。しかし、これらのトマトも与え方に気を付けてください。

 

プチトマトなどのミニトマトでも、丸ごと与えると、のどに詰まったり、消化不良を起こしたりする危険性があります。普通のトマトと同じように小さく切って与えてください。

また、糖尿病の持病をもつ子には、フルーツトマトのような糖度の高いトマトは与えないほうが良いでしょう。

犬にトマトジュースやトマト缶はあげても良い?

トマトを含む加工品は、犬にあげても良いものとあげてはいけないものがあります。以下のような加工品を与える際は、事前に原材料をよく確認してください。

  • トマト缶
  • トマトジュース
  • トマトケチャップ
  • トマトピューレ
  • トマトペースト
  • ドライトマト
  • 野菜ジュース
  • トマトスープ

たとえば、ケチャップには玉ねぎや香辛料が含まれており、愛犬に与えると、体調を崩してしまうおそれがあります。

また、トマトジュースには食塩が含まれている場合があり、塩分の過剰摂取になるかもしれません。トマトジュースを与える際は、無塩のものを少量のみ与えましょう。

 

このように加工品は、トマト以外に注意すべき原材料を含むことがあります。フレッシュなトマトや、トマトを含む犬用おやつを与えるほうが安心かもしれませんね。

犬にトマトを与えるときの注意点は?

犬にトマトを与えるときの注意点

栄養満点のトマトですが、愛犬に与える際にはどのようなことに注意したら良いのでしょうか?この章では、気をつけるべきポイントについて解説します。

 

未熟な青いトマト、ヘタ、葉や茎には中毒成分が!

未熟で赤くなりきっていないトマトは、「トマチン」という中毒成分を含みます。赤く熟し切ったトマトは、犬に与えることができますが、未熟な実は与えてはいけません。

犬がトマチンを摂取すると、下痢・嘔吐といった症状が出ることがあります。最悪の場合、死に至る可能性も考えられますので、十分に注意しましょう。

トマチンは、トマトのヘタや葉、茎などさまざまな部分に含まれています。家庭菜園でトマトを作る際は、愛犬が誤食しないよう気をつけてください。

 

犬のトマトアレルギーに注意!

トマトには少量のタンパク質が含まれているため、まれにアレルギー反応を起こすことがあります。

アレルギーとは、食物や環境中のタンパク質に、体の免疫細胞が過剰に反応してしまう状態を指します。

 

スギやブタクサ、カバノキ(シラカバ)に対して花粉症をもつ場合は、特に注意が必要です。これらの花粉がもつタンパク質は、トマトのタンパク質と構造が似ているため、花粉症をもつ子は、トマトに対してもアレルギー反応を起こす可能性があります。

【獣医師アドバイス】トマトを初めて与えるときの注意点は?

はじめて愛犬にトマトを与える際は、まずは少量から与えることがおすすめです。慣れない食べ物を一度にたくさん与えると、お腹を壊すことがあります。特に消化機能が弱い子犬や老犬では、より注意が必要です。

また、アレルギー反応にも注意し、トマトを与えた後は、愛犬の様子をよく観察するようにしましょう。

 

犬が肝臓病や腎臓病ならトマトは危険?

肝臓や腎臓に持病をもつ子の場合、トマトがもつ豊富な栄養は、ときとして負担となるかもしれません。

 

トマトに含まれるβカロテンは、体内でビタミンAに代謝されます。そのためトマトを食べすぎると、ビタミンA中毒を起こし、肝臓病を悪化させるおそれがあるのです。

またトマトに含まれるカリウムは、過剰に摂取すると、不整脈などを起こすことがあります。健康な子であれば、過剰なカリウムは腎臓の働きで体外へ排出されますが、腎臓病の子では、うまく排出できない場合があるため注意が必要です。

 

子犬や老犬はトマトを小さくカット!

トマトは、子犬から老犬まで、さまざまな年齢の犬に与えられます。しかし、消化管が未熟な子犬や、消化機能が衰えている老犬には、ひと手間加える必要があります。

子犬や老犬にトマトを与えるときは、消化管に負担をかけないよう、小さくカットし、少量のみにとどめましょう。またトマトの皮や種は消化しにくいため、取り除いて与えると良いでしょう。

犬がトマトを食べて体調不良に!応急処置法は?

トマトを食べた愛犬が体調を崩してしまった場合、どのように対処したら良いのでしょうか?

 

食べた直後で、まだ口の中にトマトが残っている場合、可能であれば口内のトマトを取り除いてください。食べた部分などによっては、中毒の可能性も考えられるため、以下のような内容を記録しておくと良いでしょう。

  • 愛犬の様子
  • いつ、どのくらい食べたか
  • 食べた部位

無理に吐かせようとすると、さらに病態を悪化させてしまうことがあります。焦らずに、すぐに近くの動物病院を受診しましょう。

【獣医師アドバイス】犬がヘタや茎を誤飲した!どうすればいい?

愛犬がトマトのヘタや茎など、中毒を起こす可能性のある部分を食べてしまった場合、まずは焦らずに動物病院に連絡しましょう。その際、食べた時間や量、現在の症状などがわかると判断の助けになります。電話口で聞かれた場合に備えて、答えられるように事前に準備しておきましょう。

トマトは栄養豊富!どんな効果がある?

トマトの栄養素

これまでご紹介してきたとおり、トマトにはさまざまな栄養素が豊富に含まれています。この章では、その中でも代表的な栄養素についてご紹介します。

 

リコピン

リコピンは、トマトの赤色の成分であり、強い抗酸化作用をもっています。活性酸素から体を守り、アンチエイジングや癌(がん)などの予防に効果があるといわれています。

 

βカロテン

βカロテンから合成されるビタミンAには、目の健康を保つ効果が期待されます。また、皮膚や被毛の健康維持にも効果を発揮するでしょう。

 

ビタミンC

リコピンと同様に抗酸化作用をもち、全身の健康維持に役立ちます。また、皮膚などに存在するコラーゲンを作るのには必要不可欠な成分です。

 

カリウム

過剰な塩分を体外へ排出し、血圧維持や、むくみの解消に役立ちます。心臓や神経、筋肉など、全身の働きに重要な役割を果たすミネラルです。

まとめ│トマトが大好きな子も!一緒に楽しんでみては?

この記事では、犬にトマトを与えるメリットや、注意点などについて解説しました。最後に、重要なポイントについておさらいしてみましょう。

  • 熟したトマトは、犬でも食べられる
  • トマトは栄養素が豊富
  • 中毒物質を含む未熟なトマト、ヘタなどは与えない
  • 持病がある子や、子犬・老犬には特に慎重に

トマトは栄養が豊富で、賢く使えば愛犬の健康維持に役立つかもしれません。与え方に気を付けつつ、愛犬と一緒においしいトマトを楽しんでみてはいかがでしょうか?

※この記事は、犬にトマトを与えることをおすすめするものではありません。
※記事と写真に関連性はありません。

 

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増山綾乃
この記事の執筆者 増山 綾乃
獣医師・Webライター。2018年に北海道大学獣医学部を卒業後、複数の病院にて小動物臨床医として勤務。現在、獣医学についてさらに勉強するために、北米の大学にて勤務する傍ら、Webライターとして獣医療に関する情報を配信する活動を行っている。獣医療やペット保険に関する情報を、みなさまにわかりやすくお伝えできるように心がけます。

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