メインクーンをはじめとする猫がかかりやすい病気の1つに、膀胱炎があります。猫はストレスがたまると免疫力が低下して膀胱炎などの病気になりやすいといわれているため、飼い主さまは十分な注意が必要です。
たとえば、体が大きくなるメインクーンを狭い環境で飼うことは避けましょう。
この記事では、メインクーンを飼うのに適した環境や膀胱炎になる原因、おもな症状、予防法などについて解説します。飼い主さまはぜひ参考にしてください。
- メインクーンを飼うのに適した環境
- メインクーンの飼い方のポイント
- メインクーンがかかりやすい膀胱炎の概要
- 膀胱炎の予防や再発防止のためにできること
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メインクーンに適した環境で飼う
メインクーンは体が大きくなる猫種です。ストレスがかからないように、身体や性格に適した環境で飼うことが欠かせません。ここでは、メインクーンに適した環境について解説します。
広いスペースを確保する
メインクーンは成長すると体長1mにもなる大きな猫です。そのため、窮屈な住宅環境では思うように体を動かすことができず、ストレスがたまってしまいます。
できるだけ広いスペースを確保して、自由に運動できる環境を整えましょう。メインクーンは都会のマンションよりも郊外の広い家で飼いたい猫です。
独立心が強いので環境さえ整えれば、飼い主さんが家を空けることが多くても問題なく飼うことができます。
家の中を自由に移動できるように工夫する
広いスペースを確保しても、家の中で自由に移動できないと猫はストレスに感じてしまいます。できるだけ昼間は部屋の戸を解放して、家の中を自由に移動できるように工夫しましょう。
さらに、猫専用の出入り口を設けると効果的です。部屋と部屋、部屋と廊下を行き来したり、走り回った入りするだけでもいい運動になり、ストレスの発散にもつながります。
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庭やテラスを活用する
大柄なメインクーンは室内での運動だけでは体を持て余すことがあります。そこで、一戸建てにお住まいの方は庭やテラスを活用しましょう。
庭に出して家の周りを歩くだけで運動とストレス発散になります。もちろん、敷地外に出ないように注意が必要です。テラスを活用する場合は周りを柵で囲みましょう。
とは言え、メインクーンは体が大きく一般的な猫よりも運動神経が良くないので、人間の肩ほどの高さの柵があれば脱走を防げます。また、あまり俊敏に動き回る猫ではないので、飼い主さんが近くにいれば脱走されるおそれは少ないでしょう。
大きな家具やキャットタワーは固定して事故を防ぐ
メインクーンの平均体重は4~8kgほどで、10kgを超える個体も珍しくありません。これほど重量級の猫が家中を動き回るのですから、衝撃で家具が倒れて、けがをするおそれがあります。
大きな家具は、猫がぶつかったときに倒れたり、動いたりしないようにしっかり固定しましょう。キャットタワーも高さのあるものは固定が必要です。
万全の暑さ対策を行う
メインクーンはアメリカ北部のメイン州原産の猫です。寒冷な気候に適応した猫のため、日本の高温多湿な夏は苦手です。また、ボリュームのあるセミロングの被毛も日本の夏場は持て余してしまいます。
いくら体が大きくても高温多湿な室内で長時間過ごすと「熱中症」になります。夏場は体調を崩さないように万全の暑さ対策を行いましょう。
冷房の設定温度は27度が目安で、やや強めにかけます。湿度が高い日はエアコンの除湿機能や空気清浄機で除湿しましょう。
加えて、遮光カーテンなどで日陰を作ってください。冷房がない部屋や廊下は窓を開けて網戸をして風通しを良くします。さらに、涼しい素材のベッドや保冷剤入りのマットを用意すると効果的です。
体の大きさに合ったペット用品を用意する
メインクーンはとにかく体が大きいので、日常的に使用するペット用品はLサイズやLLサイズの大きなものを用意しましょう。食器はフードがたくさん入り、ガツガツ食べてもこぼれない大きく少し深さのあるものが適しています。
トイレも思う存分に砂をかけられる大きなものを購入しましょう。また、体長が1mにもなるメインクーンは寝るときに場所を取ります。ゆったり体を伸ばして寝られるように複数の猫用、または犬用のビッグサイズのベッドを用意しましょう。
メインクーンを飼う際のポイント
メインクーンはあまり手間のかかる猫ではないものの、お世話の際はいくつか注意すべきポイントがあります。
愛猫が健康でストレスなく過ごせるように、ポイントを押さえてお世話をしましょう。ここでは、飼う際に特に注意したいポイントについて解説します。
栄養価の高い食事を与える
メインクーンの大きな体を維持するには豊富なエネルギーが必要です。エネルギー源として利用できるタンパク質・脂質を豊富に含む食事を与えましょう。さらに、エネルギー源として利用できる炭水化物も上手に活用しましょう。
カロリーは標準的な運動量の猫で体重1kg当たり80kcal必要です。重量級のメインクーンには普通の猫よりもたくさんカロリーをとらせましょう。
メインクーンは体が大きいのでしっかり運動している限りは、高カロリーの食事をとらせても太ることはありません。ただし、高齢になると足腰が弱くなり、運動量が落ちてくるので、摂取カロリーを減らしてください。
腎臓や心臓に負担がかからないように配慮する
体の大きなメインクーンは腎臓や心臓に負担がかかりやすく、「慢性腎不全」や「肥大性心筋症」になりやすいとされています。定期的に健康診断を受けさせて病気を予防しましょう。
猫は年齢を重ねるほど腎臓機能が低下していきます。7歳を過ぎたらタンパク質とカロリーを控えめにした食事に少しずつ切り替え、腎臓にかかる負担を軽減しましょう。
ほかにもナトリウムの摂り過ぎは腎臓に強い負担をかけますので、塩分の多い加工食品や人間用に味付けした料理を与えるのは止めましょう。
また、肥満は心臓に負担をかけますので、体重と運動量に見合った適切な量のフードを与えてください。
毎日一緒に過ごす時間を確保する
メインクーンは穏やかで社交的な性格で、飼い主さんの近くに寄りそうのを好む猫です。仕事や家事でどんなに忙しくても、できるだけ毎日一緒に過ごす時間を確保しましょう。
猫は飼い主さんと一緒に過ごすだけで安心でき、ストレスの緩和にもつながります。30分でも1時間でもいいので時間を確保しましょう。
定期的にブラッシングを行う
セミロングの被毛を持つメインクーンは短毛種の猫よりも抜け毛が多く出ます。猫は自分で毛繕いを行いますが、その際に抜け毛を飲み込んでしまいます。
飲み込む抜け毛の量が多いと、お腹に毛玉がたまる「毛球症」を引き起こします。メインクーンには定期的なブラッシングを行って、抜け毛を取り除きましょう。
特に、冬毛から夏毛に生え変わる初夏から夏にかけては、長い毛がどんどん抜けていくので、1日2回ブラシやコームを入れてください。
シャンプーを行って皮脂汚れを洗い流す
メインクーンはアメリカ北部の厳しい寒さに適応した猫種であり、体温を保つために皮脂が多く分泌されます。皮脂はベタベタしているのでゴミやほこりが付きやすく、放置すると黒ずんで汚れが目立つようになります。
そこで、1か月に2回はシャンプーを行って皮脂汚れをきれいに洗い流しましょう。ただし、猫は濡れるのを嫌がりますから、子猫のうちからシャンプーに慣れさせておくのがポイントです。
メインクーンに多い膀胱炎とは
一般に、猫は膀胱炎になりやすい傾向にあります。 膀胱炎は膀胱の粘膜に炎症が起きる病気で、放置すると命にかかわるおそれがあるため、早期発見・早期治療が大切です。
ここでは、メインクーンが膀胱炎にかかるおもな原因や症状、発症が疑われるときの対処法などについて解説します。
猫が膀胱炎にかかるおもな原因
猫が膀胱炎にかかるおもな原因には以下のようなものがあります。
- 細菌感染:免疫機能の低下により、雑菌が尿道に侵入して発症する
- 結石・結晶:尿のなかの成分が結晶化し、膀胱の粘膜を傷つけて発症する
- 腫瘍や外傷:膀胱内にできた腫瘍や外傷により発症する
原因がわからない特発性膀胱炎を発症するケースも少なくありません。特発性膀胱炎は、ストレスがもとでかかるといわれていますが、はっきりした原因は定かではありません。
また、水をあまり飲まない猫も、尿が濃くなって膀胱炎を発症しやすくなります。
猫が膀胱炎にかかったときの症状
猫が膀胱炎にかかると、以下のような行動・症状が見られます。
- トイレの周辺をうろうろしたり、何度も出たり入ったりと落ち着きがなくなる
- トイレに入っても尿が少ししか出ない・出るまでに時間がかかる
- 排尿時に痛みから鳴く
- おしっこの色が濃くなる、血が混じったような色になる
- おしっこの臭いがきつくなる
膀胱炎が悪化すると、おしっこが出なくなる尿路閉塞が起きることがあります。 半日以上おしっこをしていないときは尿路閉塞の可能性があるため、すみやかに受診しましょう。
放置していると、急性腎不全や尿毒症になるおそれがあります。
対処法①抗生物質で治療
膀胱炎が疑われるときは早めに動物病院で診てもらいましょう。動物病院では、尿検査で細菌感染の有無を調べます。
細菌性の場合は、抗生物質による薬物治療をおこなうことが一般的です。結石や結晶が疑われるときは、レントゲン検査をする場合もあります。
結石ができているときは抗生物質を使うほかに食事療法をおこなうこともあり、場合によっては手術も必要です。
治療費は病院によって異なりますが、軽症なら2,000~7,000円程度です。ただし、手術が必要なときは15万円ほどかかることもあります。ペット保険への加入を検討するとよいでしょう。
対処法②トイレや生活環境の見直し
特に原因が見当たらない特発性膀胱炎の場合は、抗生剤などによる治療ができません。排尿時に痛みがあって鳴く場合は痛み止めを処方するなど対症療法をおこないつつ、 今の生活環境を見直し、ストレス要因をなくして様子を見ます。
特に、以下のような取り組みが大切です。
- トイレ環境を整える
- メインクーンが隠れられる場所を用意する
- キャットタワーなど登れる場所を用意する
猫のトイレを騒がしい場所に置いているなら、排泄しづらい可能性があるので、落ち着ける静かな場所に移動しましょう。
もともと木に登って生活していた動物なので、キャットタワーなど猫が乗れる高い場所も必要です。身を隠したがる習性があるので、キャットドームや箱を置くなど、隠れられる場所も用意しましょう。
メインクーンの膀胱炎の予防・再発防止でできること
猫は膀胱炎にかかりやすく、治っても再発するケースは珍しくありません。メインクーンの飼い主さまは、日ごろから予防・再発防止を心がけましょう。
ここでは、メインクーンの膀胱炎の予防・再発防止のために特に注意したいポイントを2つ紹介します。
フードや水分の管理
もともと砂漠で生活していた名残で、猫はあまり水を飲まない傾向にあります。とはいえ、水分の摂取量が少ないと膀胱炎の発症リスクが上がるとされているため、しっかり飲んでもらえるように工夫しましょう。
- 新鮮な水を入れた容器をあちこちに置く
- 水はこまめに変え、容器も毎回きれいに洗う
- 冷たい水道水を嫌がる場合は、ぬるま湯や湯冷まし、鶏肉のゆで汁(塩はいれない)などさまざまな種類を用意する
- 流れのある自動給水機を用意する
どうしても水をあまり飲まない場合は、水分の含有量が高いウェットフードやスープを与えるのも1つの方法です。ウェットフードは歯につきやすいので、デンタルケアもしっかりおこないましょう。ウェットフードのみ与えると嚙む力がつかないため、ドライフードとの併用がおすすめです。
ストレスをかけない
普段の生活で、できるだけストレスをかけないようにすることも大切です。メインクーンは穏やかな性格で、飼い主さまに深い愛情をもっています。
特にオスは甘えたがりなので、放置せずに一緒に遊んだり構ったりする時間をもつ ようにしましょう。遊ぶと適度な運動にもなり、ストレス発散につながります。
また、トイレは常に清潔に保つことが大切です。こまめに掃除し、猫砂は2週間に1回を目途に入れ替えましょう。トイレが汚れていると嫌がって排泄を我慢することがあり、おしっこがたまると細菌が繁殖しやすくなって膀胱炎を引き起こす可能性があります。
まとめ│メインクーンは膀胱炎にかかりやすい!ストレスの少ない環境で飼育しよう
メインクーンは膀胱炎などの泌尿器疾患にかかりやすい傾向があります。細菌感染や結石・結晶などが原因で発症することが多いものの、原因が特定できない特発性膀胱炎のケースも少なくありません。
膀胱炎になると、トイレに頻繁に入る、尿量が少ない、おしっこをするときに鳴くといった行動が見られます。尿の色が濃くなったり臭いがきつくなったりすることもあります。放置すると重篤な症状へと悪化することがあるため、症状が見られたらすぐに受診しましょう。
予防や再発防止のため、トイレは清潔にする、一緒に遊ぶ時間をつくるなどストレスがたまらないようにすることも大切です。
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