犬の咳と聞くとどのようなものを想像しますか?そもそも、犬も咳をすること自体知らなかったという方もいるでしょう。結論から言うと犬も咳をします。
ですが、人間のような咳をするわけではないので、愛犬が咳をしていても飼い主は気が付いていない可能性があるでしょう。
今回は、犬の咳とその原因について解説するとともに、対処法や予防法についてご紹介します。
- 犬の咳はどんな音がするのか
- 犬はなぜ咳をするの?考えられる病気は?
- 犬が咳をしていたら動物病院に行くべき?
- 病気別に犬の咳の予防方法を紹介!
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犬の咳はどんな感じ?
犬は人間のように咳をする生き物です。犬の咳の様子は、以下のようなものになります。
- 「カハッ」や「カッカッ」とした乾いた音
- 「ガーガー」と濁った音
- 「オエッ」とえずく
- 「カフカフ」と何かが喉に詰まったような音
犬は人間のように「コンコン」、「ゲホゲホ」といった咳はしないので覚えておきましょう。
そして、犬の咳は頻繁に起こるものではないため、咳の症状が続いている場合は注意が必要です。
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犬の咳の原因は?
犬が咳をしていたら「風邪?」「喘息?」「何が原因?」と気になりますよね。
犬の咳の原因として考えられるのは主に次の2つです。
- 生理現象
- 病気によるもの
どのようなものかをそれぞれ紹介します。
犬の咳の原因①生理現象
犬の咳には生理現象で出るものがあります。水を飲んでいるときにむせたり、散歩中にリードが首に当たって思わず咳が出てしまったりと理由はさまざま。
これは、犬の気道に何らかの刺激が加わったときや、異物を追い出すときなどにみられます。このようなときに出る咳の音は「カハッ」とした乾いた音です。
生理現象で出る咳はすぐに治まるため、特に心配する必要はありません。
犬の咳の原因②病気によるもの
犬の咳が生理現象ではない場合は、すぐに治まることはなく、断続的に咳が続きます。その場合、病気が原因で咳が出ている可能性もあるので注意しましょう。
犬の咳を引き起こす病気には以下のようなものがあります。
- ケンネルコフ
- 気管虚脱
- 喘息
- 肺炎
- フィラリア
- 花粉症やアレルギー
- 僧帽弁閉鎖不全症
これらの病気は咳のほかにもさまざまな症状がみられるため、一つひとつ見ていきましょう。
◆ケンネルコフ
犬アデノウイルス2型や犬ジステンパーウイルスなどのウイルスや細菌が原因となる感染症です。
「ガーガー」という濁った咳とともに、発熱や膿のような鼻水が出るなどの症状が現れます。
免疫力の低い子犬や老犬は感染しやすく、重症化する場合もあるので注意が必要です。
◆気管虚脱
遺伝的なものや首輪により頸椎が圧迫されることによる原因のほか、無駄吠えする犬にも気管虚脱を発症する場合があります。
「ガーガー」という濁った咳や喘鳴(呼吸をするときに、ゼーゼーと音がする)をするのが特徴です。
気管虚脱が重症化すると、呼吸困難を起こし、舌が真っ青になるチアノーゼがみられることも。
◆喘息
気管支が突然収縮してしまう喘息は、人間同様に犬が咳をする病気です。気管支が収縮する原因には、タバコの煙や冬の冷え込み、ウイルスや細菌による感染症などがあります。
喘息は「カフカフ」と何かが喉に詰まったような咳を伴います。症状が重くなってくると、呼吸困難や、歯茎や舌が青白くなるでしょう。
◆肺炎
細菌やウイルス、寄生虫の感染や誤嚥(ごえん)などがきっかけになる肺炎も、犬が咳をする病気です。
「ガーガー」という咳とともに、鼻水や発熱、食欲の減退、元気がない、といった症状が初期症状として現れます。
症状が進むと異常な呼吸音もみられ、正常に呼吸ができなくなってしまうのです。
◆フィラリア
蚊を媒介にして犬の心臓や肺動脈の中に寄生するフィラリアは、病気が進行すると咳の症状が現れます。
その際、「オエッ」とえずくように咳をするのが特徴です。
ほかにも、毛艶が悪くなったり散歩を嫌がったり、食欲が減退したりするなどの様子がみられたら注意しましょう。
◆花粉症やアレルギー
犬も人のように、木・花・草の花粉やハウスダスト、食物などに対してアレルギー反応が現れる場合があります。
その際「カハッ」や「カッカッ」とした乾いた咳をする場合があるでしょう。ほかにも便に粘膜が付着したり、体にかゆみが出たりするケースもあります。
◆僧帽弁閉鎖不全症
右心房・左心房に一つずつある弁のどちらかが正常に働かなくなって、心臓の中で血液が逆流する僧帽弁閉鎖不全症(そうぼうべんへいさふぜんしょう)があります。
弁が正常に働かず、心臓が肥大して気管支や気道を刺激することで咳が出ます。
ほかにも、睡眠時間が長くなる、元気がなくなるなどがみられるでしょう。
老犬の咳は特に注意が必要
成犬から老犬になると、体はもちろん内臓機能が徐々に衰え始めます。そのため、前述した病気を発症する可能性が高くなり、咳も起こりやすくなります。
さらに、高齢になると心臓が弱まってしまい、心不全や心室中隔欠損症(しんしつちゅうかくけっそんしょう)、心筋症といった心臓病を患うリスクが高まります。
もし、老犬が咳を頻発している場合、放置をせずかかりつけの動物病院を受診してください。
犬が咳をしたときの対処法
愛犬が突然咳をして止まらなくなったら、飼い主ならできるだけ症状を軽くしてあげたいと思うかもしれません。
給水時や、リードが首に当たって咳が出るのであれば、サイズにあった水入れの器を用意したり、首輪からハーネスに変えたりするなど工夫してみましょう。
犬が頻繁に咳をしているようであれば、まずは咳の状態をスマホに撮影したり、メモに記録を取ったりしてあげてください。
記録を取ることで、獣医師へ愛犬の様子を伝えるときにとても役立つでしょう。
犬の咳と一緒にこんな症状があればすぐに病院へ!
咳の多くは緊急性のないものですが、もし、愛犬が以下のような症状をしているようであれば、すぐに動物病院を受診してください。
- 発熱
- 元気の消失
- 食欲減退
- 荒い呼吸
- パンティング(口で浅く速く呼吸している)
- 寝転がれない
- チアノーゼ(舌や歯茎が青白くなる)
- 呼吸困難
上記の症状が出ていなくても、数日間にわたり咳を繰り返すようであれば、何らかの病気を発症している可能性があります。
大丈夫だと放置せず、かかりつけの動物病院を受診しましょう。
呼吸困難時の移動方法について
愛犬が呼吸困難を起こしてしまった場合、抱えて移動することは避けてください。犬の胸や首に飼い主の腕が当たった状態が続くと、症状が悪化する可能性が高いためです。
そのため、キャリーや犬用カート、クレートに入れて運んであげましょう。
犬のサイズに合ったキャリーや犬用カート、クレートがない場合は、両腕で包み込むように犬を持ち上げてください。
その際、犬が仰向けにならないよう、体勢を変えることなく胸を押さえないように抱きかかえるのがポイントになります。
病気別、犬の咳の予防法
愛犬にはいつまでも健康でいてもらいたいものです。そのため、病気にならないよう常日ごろの生活で健康を管理してあげてください。
以下の病気別に
- ケンネルコフ
- 気管虚脱
- 喘息
- 肺炎
- フィラリア
- 花粉症やアレルギー
- 僧帽弁閉鎖不全症
犬の咳の予防法について紹介します。
ケンネルコフ
ケンネルコフは、年に1回のワクチン接種で感染リスクを下げられます。
ただし、生まれてばかりで予防接種ができない子犬や免疫力の低い老犬は、ワクチンを打ってもかかってしまう可能性があります。
多頭飼いをしている方は、ケンネルコフに感染している犬との接触を避けるようにしてください。
気管虚脱
気管虚脱は、肥満気味の犬、リードをグイグイ引っ張る犬や、無駄吠えする犬にみられます。
そのため、体重を徹底管理する、首輪ではなくリングハーネスを着用する、吠えないようしっかりしつけることで、予防可能です。
また、激しい運動や興奮状態が引き金となり、気管虚脱を引き起こす場合があるので注意しましょう。
喘息
喘息の原因はさまざまですが、症状を起こさないような環境を作ってあげることで、咳を予防できます。
タバコの煙を吸わせない、寒い日は気温の上がる日中に散歩する、エアコンやヒーターで部屋の温度を上げるなど工夫してあげてください。
肺炎
細菌やウイルス、寄生虫の感染や誤嚥などがきっかけになる肺炎も、しっかり予防することで発症リスクを減らせます。
たとえば細菌やウイルス、寄生虫の感染リスクをさげるには、ワクチン接種が欠かせません。接種時期になったら必ず受けるようにしてください。
誤嚥による肺炎も、フード皿の高さに気をつけたり、早食い防止のお皿を使ったりして予防するできるでしょう。
フィラリア(犬糸状虫症)
フィラリアは、感染し放置してしまうと犬が死に至る病気です。蚊が発生する春から冬に入る直前は、必ずフィラリア症予防薬(経口剤)を毎月1回、1か月間隔で摂取しましょう。
地域ごとに予防期間が異なるため、かかりつけの獣医師と相談するようにしてください。
花粉症やアレルギー
血液検査を行うことで愛犬がどのような素材や食べ物、花粉にアレルギー反応を起こすのかを調べられます。
検査結果で判明したアレルゲンに触れさせないよう注意すれば、犬の咳も治まっていくでしょう。
なお、費用は検査項目や検査機関で変動するため、かかりつけの動物病院で確認してください。
僧帽弁閉鎖不全症
僧帽弁閉鎖不全症は残念ながら予防できる病気ではありません。したがって、早期治療が重要になります。
成犬であれば年に1回、老犬であれば半年に1回は動物病院で健康診断を受診しましょう。
また、愛犬が頻繁に咳をする、疲れやすくなっているのであれば、獣医師に相談するようにしてください。
まとめ│犬に咳以外の症状もあるなら動物病院へ!
犬の咳とその原因について解説するとともに、対処法や予防法についてご紹介しました。
- 判断が難しいが犬も咳をする
- 犬の咳は生理的現象または病気が原因
- 呼吸困難・チアノーゼ・発熱の症状があれば病院へ
- 飼い主は犬の健康管理で咳を予防できる
犬は本来あまり咳をしない生き物です。そのため、えずくそぶりを見せたり、変な音を出していたりしていたら、何らかの病気にかかっているかもしれません。
少しでも犬の様子に異変を感じたら、動物病院を受診してください。
※動物病院は自由診療のため、医療費が高額になる可能性があります。
ペット保険に加入していなければ、全額を自己負担で支払わなければなりません。
万が一の備えとしてペット保険に加入しておくと安心です。
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