犬が水をよく飲むことは一見良いことのように思われがちですが、実はストレスによる症状のひとつであったり、命にかかわる深刻な病気が隠れていたりするケースもあります。
「愛犬が水を飲みすぎているかも?」と思ったら、犬の体調をよく観察し、心配な症状がある場合には早めに動物病院を受診しましょう。
この記事では、飲みすぎの基準や気をつけたい症状などについて詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
- 子犬の飲水量の目安は何ml?
- 獣医師による経験談とアドバイス
- 犬が水を飲みすぎるのは”ストレス”のせい?
- 飲んだ水の量を測る便利な方法!
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犬が水を飲みすぎたと判断する基準はどれくらい?飲むべき量は?
運動量や季節などによって異なりますが、1日に必要な成犬の飲水量は体重1kgあたり20~90mlといわれています。ただし、ウェットフードなど水分量の多いフードを使用している場合には、飲水量が少なめでも問題ありません。
一方で、体重1kgあたり100ml以上の水を飲んでいる場合は、飲みすぎ(多飲)と判断されます。たまたま運動量が多かった日だけたくさん水を飲んでいたケースなどは心配ありませんが、日常的に基準を超える飲水が認められる場合には注意が必要です。
子犬は1日にどのくらい水を飲むべき?
子犬の場合も飲水量の基準は成犬と同様で、体重1kgあたり20~90mlが基準です。小型犬(柴犬)の子犬を例にして、1日あたりの目安を見てみましょう。
生後月齢 | 体重 | 飲水量/日 |
3か月 | 4kg | 80~360ml |
6か月 | 7kg | 140~630ml |
12か月 | 9kg | 180~810ml |
老犬は1日にどのくらい水を飲むべき?
1日に必要な老犬の飲水量は、体重1kgあたり50~60mlといわれています。老犬になると活動量が少なくなるのに比例して飲水量が少なくなる傾向がありますが、脱水や腎機能低下を予防するためにも水を飲ませる工夫が必要です。
犬が水を飲みすぎるとどうなる?どんな症状が出る?
犬が水を飲みすぎると、以下のような症状が出ることがあります。
- お腹が膨れる
- 下痢・軟便
- 吐く
また、急激に大量の水分を摂取すると水中毒(低ナトリウム血症)になり、命の危険がともなうケースもあるでしょう。
そのほか、水を大量に飲む背景には慢性腎不全や糖尿病などの病気が隠れていることもあります。
- 呼吸が荒い
- よだれが多い
- ふらつく
- 排尿回数が多い
上記のような症状がみられたら、早めに動物病院を受診しましょう。
我が家で飼育しているミニチュア・ダックスフンドは幼少期のころ、夏場のお散歩のあとは水入れを抱えるようにして水をがぶがぶ飲んでいました。今考えれば、水中毒の危険があった要注意な飲水行動です。このように、暑い時期のお散歩や激しい運動をした場合には、水を飲ませながら体温を下げる工夫をしてあげると良いでしょう。もし飼い主さまが気付いたときにはすでに飲み終わってしまっていたら、そのあと犬の体調を注意深く観察するようにしてください。
犬が水をたくさん飲む原因
次に、犬が水をたくさん飲むときに考えられる原因について解説していきます。
体が脱水状態だから
特に夏に多い原因のひとつが「脱水」です。脱水状態のときは体が水分を必要としているため、いつもよりたくさん水を飲む様子がみられます。特に老犬の場合は季節に関係なく脱水を起こしやすいため、注意しましょう。
犬の脱水症状については、関連記事を参考にしてみてください。
関連記事:犬はなぜ脱水症状になる?見分け方や対処法、予防する方法とは?
フードが変わったから
水分含有量の多いウェットフードから水分含有量が少ないドライフードに変えた場合には、飲水量が増えます。フードの切り替えによる飲水量の増加は問題ないケースが多いため、いつでも新鮮な水を飲めるように用意しておきましょう。
病気で服薬中だから
病気の治療のために利尿作用のある薬やステロイド剤を服用中の場合には、尿量の増加にともない水をたくさん飲むことがあります。飲みすぎが心配な場合は、薬を処方してもらった動物病院に相談してみると良いかもしれません。
ストレスを抱えているから
心理的あるいは環境的なストレスによる症状のひとつとして、たくさん水を飲む様子がみられることがあります。さらに、食欲や元気の低下などの症状があらわれることも多く、なかには自分のおしっこをなめるといった異常行動がみられるケースもあるようです。
老犬が水をよく飲むのは病気だから?
老犬に必要なエネルギー量は成犬よりも少ないため、多少水を飲む量が増えた程度であれば老化現象のひとつとして考えても問題ないでしょう。
傾向として、高齢になるとさまざまな身体機能に加えて体内の水分調節にかかわる代謝機能も低下するため、自然と飲水量が増えていきます。もしくは活動量の低下にともなってご飯を食べる量が減り、その割に水はよく飲んでいるように見えているケースもあるかもしれません。
しかし、老犬は慢性腎不全などのリスクが高いため、定期的な健康診断を行い早期発見に努めましょう。
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犬が水を飲みすぎる場合に考えられる病気とは?
犬が水を飲みすぎる背景には、深刻な病気が隠れていることもあります。考えられる病気について見ていきましょう。
糖尿病
糖尿病では、上がってしまった血糖値を正常に戻そうとする体の機能によって多飲多尿の症状がみられます。
以下のような症状があらわれることもあるため、特にリスクの高い老犬では注意して観察するようにしてください。
- 下痢
- 嘔吐
- 体重減少
慢性腎不全
慢性腎不全は、腎臓の機能が低下して体内の水分調整がうまくできなくなる病気です。
特にリスクが高いのは老犬で、以下のような症状があらわれます。
- 多飲多尿
- 下痢
- 嘔吐
- 食欲の低下
なかには膵炎(すいえん)を併発するケースもあります。
腎臓は体内の水分やミネラルの量を調整する機能をもつ大切な臓器です。飲水量とともに排尿頻度も増えている場合には腎機能の異常も考えられるため、早めに動物病院を受診してください。
クッシング症候群
クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)は、副腎皮質ホルモン(コルチゾール)が過剰分泌されることにより、
- 多飲多尿
- 左右対称の脱毛
- お腹の張り
などの症状がみられる病気です。
高齢の犬に多くみられますが、老化にともなう症状に似ているため注意が必要です。
子宮蓄膿症
子宮蓄膿症とは、避妊手術を受けていないメス犬の子宮内に膿がたまってしまう病気です。
細菌感染によって全身をめぐる血液にも影響がおよび、細菌が出す毒素によって腎臓がダメージを受けた結果、多飲多尿の症状がみられることがあります。
子宮蓄膿症の予防には若いうちの避妊手術が有効です。
水中毒などほかに気を付けたい病気
上記でご紹介した病気以外で多飲の症状がみられる病気には、以下のようなものがあります。
- 膀胱炎
- 水中毒
- 尿崩症(にょうほうしょう)
排尿回数の増加や、運動後に水を長時間がぶ飲みしている様子がみられる場合は注意しましょう。
※補足情報※
動物医療は自由診療のため、ペット保険に加入していなければ医療費は全額自己負担となります。
高額治療に備えて、ペットが若齢のうちにペット保険に入っておくと万が一のときに安心です。
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犬が水を飲みすぎるときの対処法
次に、犬が必要以上に水を飲みすぎてしまうときの対処法について解説します。
1日あたりの飲水量を確認する
「犬が水を飲みすぎているかも?」と思ったら、犬の様子をよく観察しつつ、正確な飲水量を把握するために計量カップを使って水の量を測ってみましょう。
容器に入れた水の量から残った水の量を引くと、簡単に1日の飲水量がわかります。
動物病院に相談する
多飲の背景には、慢性腎不全や糖尿病、クッシング症候群などの命にかかわる深刻な病気が隠れていることがあります。
多飲のほかに、
- 頻尿
- 血尿
- 下痢
- 嘔吐
などの症状がある場合には、早めに動物病院を受診して獣医師に相談してください。
多飲以外の症状がない場合には、動物病院に連れていくべきか悩んでしまう飼い主さまもいるでしょう。多飲の疑いがある場合には、まずは犬の飲水量を把握してみてください。計量カップで毎日の飲水量を把握するのが難しい場合には、目盛りのついた水入れを使用するのがおすすめです。何日も連続してたくさん水を飲んでいる様子があれば、念のため動物病院を受診しておくと安心でしょう。
犬が水を飲みすぎるときの検査方法
多飲の原因を調べる検査には、次のようなものがあります。
- 尿検査
- 血液検査
- レントゲン検査
- 超音波検査
動物病院では、尿検査や血液検査を行うことが多いでしょう。
なお、尿検査は自宅で採尿して持参することもできます。飼い主さまが自宅で採尿する際には、犬の排尿時に清潔な容器でキャッチするか、ペットシーツを裏返しておいて表面にたまった尿を採取する方法が簡単です。注意点として、かならず新鮮な尿を清潔な容器に入れ冷蔵庫で保管し、半日以内に提出するようにしてください。
まとめ│犬が水を飲みすぎるのは病気のサインかも!
今回は、犬が水を飲みすぎる原因について解説しました。重要なポイントを確認していきましょう。
- ストレスも原因のひとつ
- 急激な水分補給は水中毒の危険あり
- 慢性腎不全などの深刻な病気の可能性もある
- 老犬では自然と飲水量が増える傾向がある
- 飲水量の把握は計量カップを使うと簡単
上記のポイントを参考にして犬の様子を観察しながら、ぜひ飲水量の把握も心がけてみてください。
※動物病院は自由診療のため、医療費が高額になる可能性があります。
ペット保険に加入していなければ、全額を自己負担で支払わなければなりません。
万が一の備えとしてペット保険に加入しておくと安心です。
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