「犬が低血糖になるとどんな症状がでるの?」
「低血糖の予防方法は?」
犬の低血糖は、子犬や疾患を持った成犬に多いとされています。発症してから時間が経つと命の危険もあるため、早期に治療を開始する必要がある怖い病気です。
今回は犬の低血糖の症状や原因、予防法について解説します。
低血糖になったときの応急処置の方法も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
- 犬の低血糖はとても危険!
- 犬が低血糖になるさまざまな原因
- 犬が低血糖になった時どうすればいい?
- 犬が低血糖にならないためにすべきこと
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犬が低血糖になったら?死亡することもあるの?
犬の低血糖症とは、何らかの原因によって血液中の糖分が減少し、脳神経系に十分な栄養が行き届かなくなる病気です。
低血糖になると犬の行動や見た目にさまざまな不調があらわれ、重度になると死亡する危険性があります。
低血糖になった場合、早期に治療を開始しなければなりません。早期治療のためにも、低血糖のときにあらわれる症状を知っておくことが大切です。
犬の低血糖で起こる症状は震えや嘔吐?
低血糖による症状は、震えや嘔吐以外にも下痢や元気消失、痙攣(けいれん)など多岐にわたります。
犬によっては、低血糖がかなり進行してから症状があらわれるケースも少なくありません。
ここでは、犬の低血糖による症状を初期の段階と低血糖が進行した段階に分けて紹介します。
◆初期症状
初期の低血糖であらわれる症状は、以下のとおりです。
- 元気消失
- 食欲の低下
- 歩行の際のよろつき
- 下痢
- 嘔吐
- 舌や眼球の色の変化
- ぐったりした様子
- 体温の低下
低血糖になると中枢神経系で使われるエネルギー源が減少するため、神経障害があらわれます。
そのため、散歩に行きたがらなかったり、歩行の際のふらつきがみられたりなどの症状を引き起こします。
愛犬が急に散歩を嫌がるようになったり、一日中寝ていたりするときには、低血糖を疑いましょう。
◆長時間続くと危険!
次に低血糖が進行したときにみられる症状を紹介します。低血糖が進行すると、初期症状よりも神経症状がはっきりとあらわれます。
- 痙攣発作
- 歩行困難
- 意識障害
- 昏睡状態
上記のような症状がある場合、低血糖が重症化している可能性が高いと考えられます。
一刻も早く獣医師の治療を受ける必要があるため、早めに動物病院を受診しましょう。
また、犬が震える原因については、別の症状も考えられます。
こちらの記事もあわせて参考にして下さい。
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犬にとって危険な血糖値の数値はどれくらい?
健康な犬の血糖値は、平均60~111mg/dLです。
そのため、血糖値が60mg/dLを下回ると、低血糖と診断されます。
一般的に、血糖値が40~50mg/dL未満になると低血糖の症状がみられるようになります。
しかし、犬によっては血糖値が60mg/dLを上回る場合でも低血糖の症状があらわれるケースもあります。
低血糖の症状があらわれる血糖値の数値は、個体差があると考えてよいでしょう。
犬が低血糖になってしまう原因は?
犬が低血糖になる原因はさまざまです。
低血糖は、臓器の発育が十分ではない生後3か月頃までの子犬が発症するケースが多いとされています。
ここでは、子犬・成犬・老犬に分けて、低血糖になる原因を解説します。
子犬が低血糖になる原因
子犬が低血糖になる主な原因は、以下のとおりです。
- ストレス
- 消化器疾患
- 先天疾患
- 寒さ
- 食事回数の不足
成犬の場合、糖分を体内に貯蔵できるため、数日間食事を摂らなくても血糖値を安定させることができます。
しかし子犬の場合、糖分を体内に蓄える機能が十分にないため、空腹の状態が続くと低血糖を発症します。
子犬は成犬よりも食事によって糖分を補っているため、食事回数の不足や消化器疾患によって低血糖になる可能性が高いでしょう。
成犬が低血糖になる原因
次に成犬が低血糖を発症する主な原因を紹介します。
- 肝臓・膵臓の腫瘍
- 副腎皮質機能低下症
- 重度の感染症
- ホルモン異常
- 激しい運動
低血糖を発症する成犬は、5歳以上の大型犬が多い傾向にあります。
病気によってホルモンバランスが乱れたり、血糖値を維持できなくなったりすると低血糖になります。
また、体に異常がなくても、猟犬や競技犬が低血糖を発症するケースも少なくありません。
猟犬と競技犬は激しい運動を行うため、食事では体内の糖質が確保できなくなり低血糖を発症します。
老犬が低血糖になる原因
老犬の場合、成犬と同様に病気の二次症状として低血糖を発症する可能性があります。
特に低血糖の原因として多いのは、膵臓にできた腫瘍です。膵臓に腫瘍ができると、血糖値を下げる「インスリン」が過剰に分泌され、低血糖を発症します。
低血糖の症状である痙攣や歩行時のふらつきなどは、老犬によくみられる老いの症状でもあります。
そのため、低血糖の症状と気づかずに治療が遅れるケースもあるため注意しましょう。
キシリトールの摂取も低血糖の原因に
犬は年齢に関係なくキシリトールを摂取すると中毒症状を引き起こします。
キシリトール中毒で代表的な症状は、低血糖です。
キシリトールは低カロリーの甘味料であり、ガムや歯磨き粉、クッキーなどさまざまな製品に使用されています。
人間には無害なキシリトールでも、犬が少量口に含むだけで低血糖などの中毒症状があらわれ、最悪死に至ります。
自宅に人間用のキシリトール製品がある場合は、愛犬が届かない場所に保管することが大切です。
糖尿病などの病気にも注意
糖尿病の治療を行っている犬の場合、治療に使用する「インスリン」によって低血糖を発症するケースがあります。
インスリンは、血糖値を下げる役割のある薬です。
適正な量を使用している場合には問題ありませんが、過剰にインスリンを摂取すると血糖値が下がりすぎてしまい、低血糖を引き起こします。
とくに、愛犬が食事をしていないときや体重が減少しているときにインスリンを摂取することは危険です。
低血糖のような症状がみられた場合、動物病院に相談することをおすすめします。
低血糖になりやすい犬種
低血糖は、以下の犬種が発症しやすいといわれています。
- 超小型犬・小型犬全般
- ゴールデン・レトリーバー
- アイリッシュ・セター
- ボクサー
- スタンダード・プードル
チワワやポメラニアンなどの超小型犬・小型犬は体が小さく、体温維持のために多くのエネルギーを必要とします。
食事などで多くの糖分を補給する必要があり、低血糖になりやすいとされています。
また大型犬の場合、膵臓に腫瘍ができやすい犬種は、インスリンが過剰分泌される可能性が高く、低血糖になりやすいといえます。
犬が低血糖になってしまったときの対処法
犬が低血糖を起こしたときには、できるだけ早く応急処置を行うことが重要です。
ここからは、愛犬が低血糖になったときの対処法を紹介します。
犬が低血糖を起こしたら、砂糖水やガムシロップ・はちみつで応急処置
犬が低血糖を起こしたときに、自宅でもできる応急処置は糖分を与えることです。
犬が自力で食事ができる状態であれば、食事を少量ずつ複数回に分けて与えます。
食事ができなければ、砂糖水やガムシロップ、ブドウ糖などを用意し、犬に舐めさせます。
痙攣発作を起こし、口も開けれないような状態の場合、歯茎に塗り込みましょう。
自宅に砂糖やガムシロップがないときには、はちみつで代用できるという説もあります。
◆犬の低血糖におすすめ、砂糖水の作り方
低血糖の犬に応急処置として与えやすいのは砂糖水です。
砂糖水は、砂糖1:水4の割合で混ぜて作りましょう。
砂糖は冷たい水には溶けにくい性質があるため、体温程度にあたためたお湯を用意することをおすすめします。
冷たい水で作る場合は、ガムシロップなどを代用した方がよいでしょう。
作った砂糖水は、愛犬に舐めさせます。
自力で舐めることができない犬には、気管に入らないように注意しながら少量ずつ与えます。
応急処置をするときの注意
愛犬が低血糖を起こしているときに応急処置する場合には、気管に入らないようにすることが大切です。
自立で舐めることができない犬には、口の横から少量ずつ砂糖水を与えることで応急処置できます。
しかし、無理に飲ませようとすると気管に入り、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)を引き起こす可能性があります。
誤嚥性肺炎は命に関わるため、慎重に行う必要があります。
また、意識がない犬には、歯茎に砂糖水を塗り込むと応急処置になります。
しかし、口の中に手を入れると噛まれる危険性があるため注意してください。
必ず動物病院・獣医師に相談
上記で紹介した応急処置では、一時的に低血糖の症状をおさえられる可能性があります。
しかし、効果は一時的なため、時間が経つと低血糖の症状が悪化するケースも少なくありません。
応急処置をした後、低血糖の症状が改善した場合も、症状に変化がない場合も、必ず動物病院で獣医師の診察を受ける必要があります。
犬が低血糖になった場合の治療法
動物病院では、緊急を要する低血糖の場合、血管内に直接ブドウ糖液を投与します。
その後、ブドウ糖を含んだ点滴を行います。
こまめに血糖値を測定し、治療によって血糖値が上昇したか、変化がないかなどを確認しながら治療を継続していくことがほとんどです。
低血糖以外の疾患がある犬には、ほかの薬剤を治療で使用することもあります。
犬の基礎疾患や状態、症状の重さによって治療方法は異なると考えてよいでしょう。
犬が低血糖にならないための予防法は?
犬の低血糖は、日ごろから飼い主さまが気をつけることで予防できる可能性の高い病気です。
ここからは、低血糖にならないための予防法を4つ紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
犬の低血糖はおやつや食事で予防!
犬の低血糖は、日頃のおやつや食事に気をつけることで予防できます。
とくに超小型犬や小型犬の子犬は、日々の食事内容が重要といえるでしょう。
子犬は、毎日の食事から体のエネルギー源である糖分を摂取しています。
空腹の時間が長くなると低血糖のリスクが高くなるため、栄養価の高いフードを用意し、複数回に分けて与えることをおすすめします。
◆おやつなどを与え空腹をさける
犬の低血糖を防ぐには、空腹の時間を作らないことが大切です。
どうしても食事と食事の間が開いてしまうときは、おやつを活用しましょう。
ただし、おやつを与えすぎると肥満になってしまうため注意が必要です。おやつの時間は1日に1~2回程度に留めておきましょう。
◆犬の低血糖に良い食べ物はある?
犬の低血糖の予防には、栄養価の高いフードを選ぶことがポイントです。
とくに糖質量が多いフードであれば、食事で糖質を確保できるため、低血糖を予防できます。
また、日々の食事の量や内容も気をつけましょう。
フードを食べずに、人間用の食べ物や犬用のおやつばかり与えていると、低血糖やほかの病気になるリスクが高くなります。毎日の食事量や食事内容に注意し、バランスのよい食事を心がけましょう。
生活環境を整えてストレスを軽減
とくに子犬の場合、過度なストレスを与えないようにする必要があります。
子犬はストレスによって体調を崩しやすく、食欲不振や嘔吐、下痢などの消化器異常があらわれます。
糖分の補給を食事に頼っている子犬は、消化器に異常があらわれると、あっという間に低血糖になる可能性があります。
子犬のストレスを軽減できるように生活環境を整えましょう。
病気の予防を徹底する
成犬や老犬の場合、糖尿病や腫瘍などの疾患が低血糖に結び付く可能性が高いです。
そのため、低血糖の原因となる病気にならないように予防することが重要です。
病気の予防には、日頃からの健康管理が重要です。愛犬が健康な状態で過ごせるように、日々適切な食事と運動を心がけましょう。
日ごろの観察や定期健診
上記でも解説したとおり、成犬や老犬は疾患によって低血糖になる可能性があります。低血糖を引き起こす疾患を早期発見・早期治療することで低血糖を防ぐことにつながります。
疾患を早期発見するには、愛犬の様子を日頃からしっかり観察したり、病院での定期的な健康診断を受けたりなどが不可欠です。
疾患の早期発見・早期治療は、結果的に低血糖予防に効果的といえるでしょう。
まとめ│犬の低血糖予防には日ごろの食事管理が大切
今回は、犬の低血糖の症状や応急処置の方法、予防方法について解説しました。
- 低血糖は、血中の糖分が減少することで起こる
- 死亡するリスクもあるため早期治療が大切
- 低血糖が重症化すると神経症状があらわれる
- 低血糖は超小型犬・小型犬の子犬に多い
- 日々の食事で低血糖は予防できる
低血糖は、飼い主さまが予防方法を知っておくことで予防できる病気です。今回紹介した内容を参考に、愛犬が低血糖にならないように気をつけましょう。
※動物病院は自由診療のため、医療費が高額になる可能性があります。
ペット保険に加入していなければ、全額を自己負担で支払わなければなりません。
万が一の備えとしてペット保険に加入しておくと安心です。
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