犬の噛み癖をやめさせるには?

子犬が指をあぐあぐと噛む様子はかわいらしいものです。

しかし、こんな犬の噛み癖も、放っておくとさまざまなトラブルにつながるかもしれません。特に成長した後の噛み癖は、人やほかの動物にケガをさせてしまうことも考えられます。

 

噛み癖の改善には、愛犬が噛みつく原因を知り、早めに適切な対策をとることが重要です。そこで今回の記事では、犬が噛みつく原因や対処法などについて解説します。

【この記事でわかること】

  • 犬のさまざまな噛みつく理由
  • 子犬の甘噛みのかわいい理由とは?
  • シェパードの本気噛みは○○○kg超え!?
  • 獣医師にきいた噛むのをやめさせる方法

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目次

犬が突然噛むのは本能?理由はある?

犬が突然噛むのは本能?

そもそも犬は、噛む習性をもつ動物です。手で物をつかみ言葉で意思表示をする代わりに、口を使って物を運び、歯を見せたり噛みついたりして、自分の感情を表現します。

 

そのため、噛み癖を改善するには、なぜ愛犬が噛みついてしまうのかを考え対策することが大切です。

犬の噛み癖には、以下のようにさまざまな理由が挙げられます。

  • 本能
  • 感情の高ぶり(甘えや興奮)
  • 口内の違和感
  • 不安や恐怖・ストレス
  • 健康上の問題(ケガや病気)
  • 不適切なしつけ

犬の噛み癖の原因は?

この章では、先述した犬に噛み癖がつく原因を詳しく解説します。噛む対象や年齢ごとの理由については次の章をご覧ください。

 

甘えや遊びに興奮

飼い主さまへ甘えているときや、遊びに夢中になって興奮したときに、思わず強く噛んでしまったということもあるでしょう。

また、子犬は母犬や兄弟犬との遊びを通して、噛む力加減を学んでいきます。子犬を家族としてお迎えした場合、この役割を果たすためのしつけが大切になります。

 

歯茎のトラブル・かゆみ

生後6〜7か月齢の子犬の場合、歯がむずがゆくて噛んでいる可能性が考えられます。この時期は、ちょうど乳歯から永久歯に生え変わるころです。人の手やケージ、家具などを噛んで、歯が生え変わるときに感じる違和感を紛らわそうとしているのでしょう。

 

ストレスや不安

ストレスや不安を感じると、犬は噛みついて自分の身を守ろうとする様子をみせることもあります。

知らない人に急に触られたり、引越しをして知らない場所に来たりすると、そのストレスのせいで噛み癖が出やすくなるかもしれません。このような場合は、不安の原因から遠ざける、リラックスできる環境作りなどで対策すると良いでしょう。

 

ケガ・病気

犬がケガや病気を患っている場合、痛い場所に触れてしまうと、犬は思わず噛みついてしまうかもしれません。

また、温厚な犬でも、脳の病気である認知症てんかんが原因で噛みつきやすくなることがあるといわれています。ほかには犬が妊娠している場合、子どもを守ろうと気が立っているため、普段よりも攻撃的になるでしょう。

 

普段とは違う気になる症状や様子がみられたら、早めに動物病院に相談することが大切です。

犬が噛む理由をケース別に解説!

ここまでの内容で、犬が噛みついてしまう背景がおわかりいただけたのではないでしょうか?こちらの章では、シチュエーションごとに理由や注意点を解説します。

 

犬が飼い主を噛む理由

ほとんどの場合、犬は飼い主さまの気を惹こうとして体や服を噛んでいます。これに応えると、犬に「噛んだら遊んでもらえる!」と勘違いさせ、ますます頻繁に噛むようになってしまいます。

 

逆に、かまいすぎによっても噛む行動が誘発されることがあるので注意してください。なでられるのが好きではない犬の場合、なでようとすると噛んだり逃げたりして抵抗する場合があります。

 

犬がしっぽや手足を噛む理由

犬がしっぽを追いかけてぐるぐる回ったり、手足の肉球をなめたり噛んだりすることは珍しいことではないでしょう。

たまに噛む程度であればストレス発散や暇つぶしと思われますが、噛みすぎて赤くなったり、血が出たりしている場合は注意が必要です。過剰なストレスや体の痛み、皮膚のかゆみが原因かもしれません。

 

犬がケージをガジガジ噛む理由

子犬であれば、歯の生え変わりに伴う違和感を紛らわそうと、ケージをガジガジと噛むことがあるでしょう。一方で成犬は、飼い主さまの注目を集めたいという気持ちの表れやストレスのせいであると考えられます。

ただし、ケージを噛み続けて歯が傷ついたり、壊れた破片を飲み込んでしまったりすることがあるので注意が必要です。

 

犬が散歩中にリードを噛む理由

遊び好きな犬であれば、散歩中にリードにじゃれて噛むことも珍しくありません。

遊びの延長上で噛んでいることがほとんどですが、散歩に慣れていない犬の場合、リードでつながれているのが嫌で抵抗している場合もあります。

 

犬が急に噛むようになった理由

普段穏やかな犬が突然噛むようになった場合、第一にケガや病気の可能性が考えられます。知らぬ間に痛い場所に触ってしまうと、犬は自分の身を守るためにとっさに噛みつくことがあります。また老化による認知症が原因で、温厚な性格が変わってしまい攻撃的になることもあるでしょう。

 

ほかには、成長とともにわがままがエスカレートして、噛む行動が目立ってくるケースも考えられます。子犬のころからわがままを許していると成犬になったときに自己主張の強い犬になり、自分の要求を通そうとして噛みつくようになります。

犬が噛む理由を年齢別に解説!

犬の噛み癖の原因

犬の年齢によっても、噛んでしまう理由は異なります。こちらの章では、犬が噛む理由を年齢別にご紹介します。

 

0~2歳の子犬が甘噛みする理由

子犬は好奇心が強く、何でも口に入れて確かめようとしているのです。また歯が生え変わるときに、歯茎に違和感を感じて「甘噛み」をするともいわれています。

しつけでは、噛んでいいものとだめなものをはっきりと教えなければいけません。遊ぶときはロープなどの噛んでも良いおもちゃを使い、人の手や体を噛んだときには遊びを中断し、その場を離れるようにしましょう。

 

3歳以降の成犬が噛む理由

成犬が噛む理由は、以下のようにさまざまなものが考えられます。

  • 遺伝
  • ストレス
  • 不安・恐怖
  • ケガ
  • 病気

特に、子犬期にほかの犬や人と触れ合った経験が極端に少ない場合は要注意です。社会性が身に付いておらずストレスに弱いため、衝動的に噛んでしまうこともあるでしょう。

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犬は噛みつくとどんな気持ちになる?

噛みついた後の犬の気持ちは、噛み付く状況によりさまざまです。

 

遊びの延長で噛みついた場合、飼い主さまが手を引っ込めてしまうと、その手を追いかけようとさらに興奮して噛みついてしまいます。一方、不安や恐怖が原因の場合、噛みつくことで相手が立ち去り、ほっと安心した感情になるでしょう。

不適切なしつけにより噛み癖がついたケースでは、噛みつけば何でも思い通りになると思っているかもしれません。

補足・家族でも噛む人と噛まない人がいるのはなぜ?

家族の中で自分だけ犬に噛まれるという方は、犬にとって嫌なことをしてしまっていたり、ついついわがままを聞いてしまったりしていませんか?

たとえば食事の邪魔をしてしまったり、触ってほしくない部位(しっぽなど)を触ってしまったりすると、犬は「嫌だ!」と意思表示をして噛みつくことがあります。

また、犬が噛みついて遊びに誘ってきたときに応じてしまうと、「この人は噛みついたら遊んでくれる人だ!」と認識されてしまいます。

犬の本気噛みはケガや血が出ることも!力はどれくらい?

犬の噛む力は非常に強く、小型犬でも約100kgと人間の4〜5倍ほどです。たとえ小型犬であっても、力いっぱい噛まれたらひとたまりもありません。

さらに、中型犬では140kgほど、大型犬ではより強く160kg以上といわれています。特にジャーマン・シェパードは噛む力が大変強く、なんと200kgを超えることもあるようです。

 

普段は温厚でかわいらしい犬たちでも、噛まれると重大なケガになりかねません。トラブルを防ぐためにも、噛み癖がつかないよう適切なしつけが重要です。

犬が飛びつき噛みついた!ペットトラブルの高額賠償額事例

愛犬が他人やペットを噛んでケガを負わせてしまった場合、治療費や慰謝料など、多額の損害賠償金を支払わなければなりません。賠償金は数十万円で済むこともありますが、過去には1,000万円を超えた事例もあり、散歩や遊びの際には注意が必要です。

また、飼い犬が子どもやほかのペットに噛みつき、死亡事故につながったケースも存在します。

 

トラブルやペット同士の事故による備えには、「ペット賠償責任特約」をつけられるペット保険への加入もおすすめです。もちろん未然に防ぐことが重要ですが、万が一のときのために検討してみてはいかがでしょうか?

犬の噛みつきをやめさせたい!しつけ・対策方法は?

犬の噛みつきをやめさせるしつけ

こちらの章では、犬の噛み癖をやめさせるためのしつけや対策方法について解説します。記事の最後では、しつけにおすすめのグッズ3選もご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

 

原因を突き止め解消

上述したように、犬が噛む原因は多岐に渡ります。適切なしつけにより改善されることも多いのですが、噛み癖改善への第一段階として、愛犬がなぜ噛んでしまうのかを知り原因を解消するように努めてください。

ストレスがたまっているようなら、散歩や運動の時間を増やして発散させてあげましょう。噛むおもちゃや噛みごたえのあるおやつをあげるのもおすすめです。また、病気やケガが原因であれば治療によって噛み癖が治る可能性もあります。

 

噛まれたら一定の反応を

愛犬に噛まれたときは、「だめ」「やめて」などのシンプルな言葉で冷静に叱るようにしましょう。

過剰に反応すると、犬は遊んでもらえていると勘違いしたり、逆に怖がって余計に自分を守ろうと攻撃的になってしまったりします。また、毎回違う言葉で叱ると、犬が混乱してしまうので、叱る言葉は家族で統一すると良いでしょう。

 

【獣医師のアドバイス】犬が噛むのをやめさせるには?

繰り返しお伝えしているように、犬が噛む原因はさまざまです。愛犬の心理状態にあわせた適切な対応をとらないと、噛み癖がなおらないばかりか、悪化させることもあります。

噛み癖の予防には、何よりも子犬期からのしつけや、適切な社会化が重要です。また恐怖や不安が原因で噛んでしまう場合、犬が不安を感じるものを取り除き、飼い主さまと良好な信頼関係を築くことが大切といえます。

噛み癖の矯正には時間がかかりますが、焦らず、愛犬のペースにあわせて根気良く続けていきましょう。

犬が噛んだときのしつけはどう叱ればいい?NGな対応は?

噛まれたら、短いシンプルな言葉で叱り、犬をおいて部屋を出るようにしてください。地道な方法ですが、犬は徐々に「噛むと大好きな飼い主がいなくなってしまう!」と学習し、噛み癖がなくなっていきます。

 

犬に噛まれたとき、以下のような対応はNGです。

  • 大声を出す
  • 感情的に叱りつける
  • 体罰(叩くなど)を行う
  • 犬をかまいすぎる
  • お説教をする

犬の噛むおもちゃ・噛みつき防止グッズ3選!

噛みつき防止グッズ・ペット用品には、

  • スプレー
  • 手袋
  • マスク
  • エリザベスカラー
  • 口輪

などさまざまなものがあります。この章では、その中でもおすすめの3点についてご紹介します。

 

アヒル口の噛み癖防止用口輪

アヒル口のかわいいデザインで口輪に抵抗感がある飼い主さまにおすすめです。ただし、暑い日や長時間の利用は避けましょう。

商品:https://item.rakuten.co.jp/dog-choice/duck-muzzle/

 

しつけに適したペットグローブ

補強付きの耐久性に優れたグローブで60cmの長め丈も選べます。しつけ・トレーニング中の飼い主さまの身を守るのに効果的です。

商品:https://item.rakuten.co.jp/i-chanshop/nin1151/

 

ドギーマンの毎日ハミガキコットン

コットン100%のロープが歯の根元によく食い込み、引っぱりっこ遊びにも使えるため人気でリピーターもいるようです。しつけと並行して使用しましょう。

商品:https://www.doggyman.com/whident/?t=toy

 

【獣医師のアドバイス】噛みつき防止グッズの注意点は?

グッズにはいろいろな種類がありますが、あくまでしつけのサポート用で、噛み癖の根本的な解決につながるわけではありません。噛み癖の改善には時間がかかるため、このようなグッズを上手に活用し、ご家族や周囲の動物・人の身を守りながらしつけに取り組みましょう。

繰り返しお伝えしているように、まずは「愛犬がなぜ噛んでしまうのか」を知ることです。愛犬の気持ちに寄り添い、噛み癖の根本的な解決を目指しましょう。

犬の噛みつき・噛み癖に悩んだら?誰に頼ればいい?

ご家族だけで解決するのが難しい場合は、しつけ教室やペットトレーナーからのサポートを受けることもおすすめです。

また、獣医師相談サービスが付帯しているペット保険に加入していれば活用してみるのも良いでしょう。

 

ただし、病的な原因によるものやあまりに攻撃性が強い場合、しつけ教室やペットトレーナーでも解決できないことがあります。そのようなケースでは、動物の行動療法を専門としている獣医師に相談することがおすすめです。

まとめ│愛犬が噛む理由を見つけ解消することが大切

それでは、ここまでの内容をおさらいしてみましょう。

  • 改善には、噛む原因を解消することが重要
  • 愛犬のペースにあわせて、根気強くしつけを
  • ときには専門家に頼ることも大切

噛み癖をつけないためには、子犬期からの適切なしつけが重要です。

ご家族だけで無理に頑張ろうとせず、専門家に相談することもぜひご検討ください。

 

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増山綾乃
この記事の執筆者 増山 綾乃
獣医師・Webライター。2018年に北海道大学獣医学部を卒業後、複数の病院にて小動物臨床医として勤務。現在、獣医学についてさらに勉強するために、北米の大学にて勤務する傍ら、Webライターとして獣医療に関する情報を配信する活動を行っている。獣医療やペット保険に関する情報を、みなさまにわかりやすくお伝えできるように心がけます。

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