愛犬が「咳をする」、「なんだか呼吸が苦しそう」という状態ならば、肺水腫に気をつけなければいけません。
肺水腫は、肺での酸素の取り込みができなくなり、呼吸困難から急死する可能性がある恐ろしい病気です。
本記事では、そんな犬の肺水腫について以下のことを解説していきます。
・犬の肺水腫とは
・肺水腫の初期症状・末期症状
・肺水腫の原因、診断
・肺水腫の治療方法、余命
肺水腫という病気への理解を深め、愛犬にあった治療法を見定めるためにもぜひ最後までお読みください。
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犬の「肺水腫」を徹底解説!
犬の肺水腫は、肺に液体が溜まり、酸素をうまく体に取り込めなくなった状態です。
全身に酸素が行き渡らなくなり、命を落とす可能性もあるので、緊急性の高い病気の1つです。
また肺水腫は一度治ったとしても、うまく管理できていないと何度も再発を繰り返してしまいます。
飼い主さまは、肺水腫に適切に対処できるように、しっかりと症状や原因、治療方法を学んでおきましょう。
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犬の肺水腫の初期症状・末期症状は?
犬の肺水腫の症状は、肺水腫の進行段階によってさまざまです。
肺水腫の初期段階での症状は、飼い主さまがなかなか気づかない場合も多いので、小さなサインを見落とさないように初期症状を知っておきましょう。
ここからは、犬の肺水腫の症状を初期症状と末期症状に分けて解説していきます。
初期症状
犬の肺水腫の初期症状は、以下の通りです。
・咳をする
・呼吸が荒い
・散歩で疲れがちになる
・食欲がなくなる
・動きたがらない
・伏せや横になる姿勢ができない
咳や呼吸が荒くなるといった呼吸器症状が認められることが多くあります。
また、呼吸器症状がなくても、食欲がなくなったり、散歩に行きたがらなかったりすれば注意が必要です。
何かいつもと違う様子を感じたら、早めに動物病院を受診するようにしましょう。
末期症状
犬の末期症状は以下の通りです。
・舌色が青紫色になる(チアノーゼ)
・よだれ
・ピンク〜赤色の液体を吐く
・呼吸困難
犬の末期症状では、うまく酸素を取り込めず、舌が青紫色になるチアノーゼが認められ、呼吸困難になります。
また、咳と一緒に肺の中に溜まったピンク〜赤色の液体を吐き出すこともあります。
このような肺水腫の末期症状が認められた場合には、命を落とす可能性が非常に高いので、緊急で動物病院を受診しましょう。
犬の肺水腫の原因となるのは?
犬の肺水腫の原因は、大きく心原性と非心原性の2つに分けられます。
心原性は、心臓病が原因で肺水腫になっている状態であり、非心原性は、心臓病以外の原因で肺水腫になっている状態を意味します。
それぞれ詳しく解説していきます。
心原性
肺水腫の多くは、心臓病によって引き起こされ、これを心原性肺水腫と呼びます。
肺水腫を引き起こす原因となる主な心臓病は以下の通りです。
・僧帽弁閉鎖不全症
・拡張型心筋症
犬は、心臓病になると体の全身にうまく血液を送り出すことができなくなり、肺から心臓へと流れる肺静脈の血液のうっ滞が起こります。
その結果、肺の血管から血液の液体成分が滲み出て肺水腫となってしまいます。
非心原性
肺水腫のうち、心臓病が原因でない肺水腫を非心原性肺水腫と呼びます。
非心原性肺水腫の原因は、以下のようなものが考えらえます。
・重度の炎症
・気道の閉塞
・電源コードの噛みちぎりによる感電
・腫瘍
・煙の吸入
・アナフィラキシーショック
・中毒
心臓病以外の原因としては、全身性の重度な炎症や気道の閉塞などが多いです。
しかし、肺水腫は感電や煙の吸入などでも起こり得る病気のため、しっかりと飼育環境を整え、ペットの害になるものはなるべく愛犬に近づけないようにしましょう。
肺水腫になりやすい犬種
肺水腫になりやすい犬種は以下の通りです。
・キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
・チワワ
・トイ・プードル
・ミニチュアシュナウザー
・マルチーズ
・ポメラニアン
チワワやトイ・プードルなどの小型犬やキャバリアは、心臓病から肺水腫になりやすいので、愛犬が該当する場合には注意しましょう。
犬の肺水腫の検査や診断法
犬の肺水腫の検査方法としては、以下のような検査が考えられます。
・視診、聴診、触診
・X線検査
・超音波検査
肺水腫は、身体検査やレントゲン検査、超音波検査を行い総合的に診断していきます。
レントゲン検査では、肺の状態を確認します。肺が白く写っている場合には、肺炎や肺水腫の可能性が高いので注意が必要です。
また超音波検査では、心臓の状態を確認して、心原性か非心原性の原因による肺水腫かを判断していきます。
こうした検査の結果から総合的に肺水腫を診断し、治療を行っていきます。
犬の肺水腫の治療法とは?
犬の肺水腫の治療では、主に以下のような治療方法が考えられます。
・酸素吸入
・利尿剤
・心臓薬
肺水腫を起こしている犬では、体の中が酸素不足になっており、呼吸困難であることが多いので、酸素吸入が必要です。
また、肺に溜まった液体を尿として排出するため利尿剤を用いることは必須でしょう。
さらに、肺水腫の原因が心臓病である心原性肺水腫の場合には、根本的な原因である心臓に対しても治療を行わなければいけません。
ここからは、肺水腫の原因となる心臓病別に治療方法を解説していきます。
原因別【僧帽弁閉鎖不全症の場合】
僧帽弁閉鎖不全症が原因により肺水腫になっている場合には、心臓に対しても以下の薬を用いて治療していきます。
・強心薬
・血管拡張薬
強心薬は、心臓の収縮力をあげる薬であり、血管拡張薬は、血管を広げ血液を体中に循環させやすくします。
こうした心臓薬を用いた治療によって、肺水腫を管理していきますが、治療に反応がない場合には、肺水腫を何度も繰り返す状態になるので注意しましょう。
原因別【拡張型心筋症の場合】
拡張型心筋症が原因によって肺水腫が起こっている場合には、心臓に対して以下のような治療法が考えられます。
・強心薬
・血管拡張薬
・抗不整脈薬
・タウリン補給などの栄養療法
拡張型心筋症では、不整脈を起こすこともあるので、通常の心臓薬の治療に加え、抗不整脈薬を用いることもあるでしょう。
また、タウリンと呼ばれるアミノ酸が欠乏することによっても拡張型心筋症になるといわれているため、タウリン補充療法も行っていきます。
肺水腫の治療費用
犬の肺水腫にかかる治療費は以下の通りです。
診察・治療内容 | 治療費 |
診察料 | 750円 |
レントゲン検査 | 4,000円 |
エコー検査 | 4,000円 |
内服薬 | 5,000~10,000円(1か月あたり) |
注射薬(利尿薬) | 1,500円 |
ICU入院(3日間) | 12,000円 |
犬が肺水腫になった場合、短くても2〜3日の酸素室での入院は必要です。
一度は治っても、すぐに再発したり、感染を起こして肺炎になる場合もあるので、しっかりとした管理が必要です。
重症度にもよりますが、入院が長引くと1回の入院で10万円を超えることもあるでしょう。
犬の肺水腫の予防法はある?
犬の肺水腫を予防するために、飼い主さまができることは以下の通りです。
・定期検診
・電気コードの管理
・肥満を予防する
・サイズの合った首輪・胴輪を用いる
犬の肺水腫を予防するためには、定期検診を行うことが一番大切です。
特に、肺水腫に一度なったことがある子は、しっかり薬で管理が取れるまで1週間に1回は動物病院を受診するようにしましょう。
また、非心原性の肺水腫を予防するためには、普段の生活環境から感電や肥満を防止したり、首輪のサイズを適切な状態に保ってあげたりすることを意識してください。
肺水腫の犬をケアする際に気をつけること
肺水腫の犬では、以下の点に気をつけて生活するようにしてください。
・肥満を防止する
・温度の管理を徹底する
・激しい運動をさせない
・塩分の高い食事を控える
肥満や寒暖差、運動、塩分濃度の高い食事は、心臓に負担をかけ、肺水腫を引き起こしますので、普段の生活から注意するようにしましょう。
肺水腫の犬は散歩をしてはいけない?
肺水腫の犬でも、激しい運動をしなければ散歩をしても大丈夫です。
散歩でしかおしっこをしないような子は、積極的に外でおしっこさせるようにしましょう。
おしっこを我慢していると、体の中の水分量が増えてしまい肺水腫になるリスクが高まるため、定期的に排尿させるようにしてください。
犬は肺水腫にかかっても復活する?
犬の肺水腫は、緊急性のある病気ですが、早期に発見できると助かることも多くあります。
しかしながら飼い主さまが動物病院を受診するタイミングでは、すでに重症化しているケースが多く見受けられます。
飼い主さまは、普段から愛犬の様子をしっかりと観察して異変にすぐに気がつくようにしましょう。
肺水腫になった犬の余命・最期
肺水腫になった犬の余命は重症度や薬の反応具合によってさまざまです。
愛犬がもし薬に反応しづらい難治性の肺水腫を繰り返し起こしている場合には、余命も数週間〜数ヶ月となることもあるでしょう。
飼い主さまは、「どこまで治療を継続するか」「家か病院のどちらで最期を過ごすのか」などを検討し、必要ならば自宅に酸素ボックスをレンタルし設置しておく必要があるでしょう。
かかりつけの獣医師さんとしっかり相談し、今後の方針を定めていくようにしてください。
まとめ
今回は、犬の肺水腫について解説してきました。
・肺水腫は、緊急性の高く命を落とす可能性もある
・咳、呼吸困難など呼吸器症状がみられる
・原因は、心原性と非心原性の2つ
・一度治っても再発することがあるため注意
・再発を繰り返す場合余命は数週間〜数ヶ月ほど
犬の肺水腫は、緊急性が高い病気であり、命を落とす可能性もあります。
再発が多い病気であるため、飼い主さまは普段の生活から愛犬の状態をしっかりと観察して、異変を認めたらすぐに動物病院に連れていくようにしましょう。
※動物病院は自由診療のため、医療費が高額になる可能性があります。
ペット保険に加入していなければ、全額を自己負担で支払わなければなりません。
万が一の備えとしてペット保険に加入しておくと安心です。
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